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琥珀色の幻燈

 夕暮れ時間。何してるの―川辺のベンチに寝転がっていた私は突然彼女に話しかけられた。何もしてないよ―私はそう応えて彼女をちらりと見る。どうも学生らしい。それより君は何をしてるんだ―ふと私が返すと彼女は微笑んで、何もしてない―と応えた。


 夕焼けは夜の青と混ざり合って紫になる。一筋の飛行機雲が夕と夜を分ける。風は凪いでいる。その温さの中で私は目を閉じる。自転車を漕ぐ音が聞こえる。川辺で語り合ってる男女の笑い声が聞こえる。学生の鼻歌が聞こえる。目を開けた時、彼女は私に尋ねた。何を見ていたの―私は彼女に応えた。


 夕闇が白線を超えてこちら側にやって来た。川向かいのマンションの部屋に灯が点る。一つ一つ。琥珀色のそれは誰かがこの世界にいる証。それとも神様が私のために用意したイルミネーションの点火時間―彼女はそう言って微笑む。じゃあ君は神様が私のために用意した人形になるのかい―私が意地悪に尋ねた時には彼女はそこに居なかった。意地悪にも神様が片付けたのだろうか。


 夜になった。琥珀色の幻燈は甘い輝きのまま光っていた。私はそれを見てから片付けられるのを待った。

まだ続きます

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