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人形
彼女は目覚めない。その白い肌に私は点滴を打つ。彼女を維持するために。
黒い瞳は白い透き通った瞼に隠されている。脳髄にはtriazolamが満ち満ちている。そのため彼女は目覚めない。
私は目覚めない彼女に化粧をし、服を着せ替える。彼女は痩せ型なので着せ替えるのはそこまで苦ではない。そうして綺麗に整った彼女に私は口付けをする。白い、血の気の無い肌に浮かぶ唇の紅さ。頬の朱さ。そして腕に浮かぶ無数の点滴痕の赤さ。その赤さが私の心を満たし―彼女を眠りに縛りつける。
私はふと彼女の腕を傷つけたくなった。それが彼女を壊す行為だと解っていながら私は彼女の手首を切った。紅い血が細く白い腕をつたう。私は堪らなくなってその腕にしゃぶりついた。私はしばらくその甘美さに溺れ彼女の血を舐めていたがすぐに彼女が壊れることを危惧し止血した。そしてもう彼女を壊さないようにナイフを捨てた。血の味も忘れようとした。
それから数週間経ったある日。彼女は壊れてしまった。あの日以来私は毎日彼女の血を飲むため彼女を傷つけていた。




