緑
今回もグロ注意です
これからもグロは増えていくので警告タグを付けました
或る日の事。彼女は湖にうつ伏せに浮かんでいた。彼女の体は緑色で所々腐っているようであった。私は急いでボートを出し彼女を引き上げた。大丈夫か―と問うと彼女は微笑んで―大丈夫です。もう死んでおりますから―と応えた。
私は彼女を湖畔に在る家に招き入れた。長い間水に使ってたんだ。きっと寒いだろう。私は彼女にタオルと何か着替えになりそうな物を渡した。彼女は驚いた様子で深々とお辞儀をした。その際チラリと見えた首筋の紫の美しさ。彼女は直ぐに着替え始めたので私は他所を向いていた。ずっと紫の事だけを考えていた。
着替え終わった彼女は申し訳なさそうに―すみません。タオルを汚してしまいました―と謝った。毛羽立っていたから捨てるつもりだった―と私が言うと再び深々とお辞儀をした。
時刻は正午過ぎだった。私は彼女に何が食べたいか聞くと何でも良いと応えたので適当に作った。二人で合唱をして食べ始めるその時―彼女がフォークを握った時―腐敗していた彼女の指がぼとりと皿に落ちた。彼女が申し訳なさそうに謝るので笑顔で皿を変えた。美味だった。
食事の片付けを終え、部屋に戻ると彼女は泣いていた。どうしたのか―と問うと―このままではあと二三時間すれば腐って死んでしまう―と応えた。そして、貴方を食べれば時間は稼げるけどそんな事したくない。どうか湖に流してくれ―と懇願した。涙を緑色の皮膚が吸収していった。
私は仕方ないと諦め彼女の腐敗している頭を殴り殺した。
そして、その首筋以外を食べた。美味だった。




