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ネコ  作者: 秋月心文


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12/19

誰も何も知らないまま「わかりました~」と言った話

 私が通っていた小学校は、グラウンドの先に未開発の林が残っていた。

 そこは子どもたちの恰好の遊び場だった……のだが。


 ある日、○○くんが首に謎の装具を付けて教室に入ってきた。

 歩くことさえ辛そうにしていた。

 クラスの中でも、明るく元気に走り回っている子だったのに。


 先生は○○くんが林に入った際、ダニに刺されて脊髄?とやらに後遺症が残ったという話をした。

 ダニ?

 ダニというのが危険な生き物だということはわかった。


 先生は、

「林に入るときはダニに注意してくださいね」

 とだけ言った。


 しかし、それ以上のことは教えてもらえなかった。

 ダニとはどういう生き物なのか。

 なぜ、○○くんがダニにやられたのか。

 どうすればダニから身を守ることができるのか。

 何も教えてくれなかった。

 おそらくだが、先生も何も知らなかったのだと思う。


 よくわからないが、注意すれば防げるものだと理解した。

 誰も何も知らないまま、クラスのみんなはこう言った。

「「「わかりました~」」」


 実に昭和っぽい話である。


 体の機能に支障をきたすというのだ。

 しかも、注意すれば防げるということだった。

 さぞかしデカい生き物なのだろう……と思った。

 カブトムシくらいの大きさの生き物だと、ずっと思い込んでいた。


 そんな事件があったというのに、ダニがどういう生き物なのかを知ったのは、何十年も経ってからだった。

 小学校で、クラスメイトが身をもって教えてくれていたのに、こんなに後になってしまったのは、なんとも情けない。


 テレビの報道を見て知った。


 ダニは動植物に引っ付いた状態で潜伏している。

 草や動物に触れたときに、人の肌へ移る。

 血を吸う。

 危険な病原体を人に感染させるダニもいる。

 ……という話だったと思う。


 危険な病原体に感染すると、38度以上の発熱、嘔吐、下痢、食欲低下などの症状を経て、体の機能に支障をきたす後遺症を残したり、死亡したりすることもある。


 野良ネコや野鳥などに触れたときに、ダニが人肌に移ってしまうこともあるらしい。


 私はネコに対して禁断症状をきたしている。

 野良ネコにさわると、危ないと言われるが……。

 それでも、みつけるとさわりたくてうずうずしてしまう。

 さわりたい。でも、危ない。

 さわりたい……。

 う~ん、これでは、私が危ない人みたいではないか。

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