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右も左も魔女ばかり ~離島の魔法特区にある高専に入学した僕の想定外な日々~  作者: 於田縫紀
第4章 魔女と過ごす黄金週間

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第65話 偏見たっぷりな日本のカレー

 通称『強制労働』は結構みっちり午後6時までやった。

 3時のお茶の時間は、休憩したけれど。


 やってて『なんだかなあ』と思ったのは、魔法の無造作過ぎる使われ方だ。

 梱包を解く作業は、僕以外の2人はカッターでなく魔法でごく小さい炎の刃を出して梱包を解いている。

 在庫管理は完全にジェニーさんの魔法と連動して動作。


 そして作業台に並べる作業は、詩織ちゃん先輩1人で担当。

 それ魔法? テレキネシスじゃね? という感じでバネが自動的に作業台に飛んでいき並ぶ状態。

 詩織ちゃん先輩曰く。

『このくらいの工作魔法なら、私でも何とか使えるのですよ』


 全員が手作業しているのは梱包・発送部隊くらい。

 ただそんな感じなので効率はいい。

 おかげで魔法無しの僕は結構大変な状態だ。


 だがバイト代は、高かった。

 バイト代は終了後、その場でジェニー先輩から受け取る形式。

 封筒の中に入っていたのは、なんと5万円。

 時給1万円というデフレ何処行った、という感じの金額だ。

 休憩時間もしっかり勤務時間内に含まれているし。


「これ以上出すと税務署に睨まれるので勘弁してくれ。他は食費や旅行に還元するから」


 これは修先輩の言である。

 いやこれ以上の時給は、さすがに不味いだろう。

 色々な意味で。


「よし、これで明日は風遊美と買い物旅行よ!」


 由香里さん達、最上級生一同が息巻いている。

 そうか、風遊美先輩もかなり広範囲へ移動可能なんだよな。


 他に目立つのは、不敵に笑う広報班一同。

 広報班とはジェニー先輩筆頭にソフィー先輩、理奈先輩、美雨先輩、沙知先輩のグループで、名誉顧問が月見野先輩だそうだ。

 今はこの連中で合同広報誌を作成中とのこと。

 なお広報班の実態は腐女子班で、広報誌の実態は怪しい怪しい薄い本らしいけれど。


 今年の夏コミの申し込みはしているらしいが、通るかどうかは不明。

 どうも全国的に腐ったファンがいるらしい。

 春に作った第1回広報誌の委託販売が極めて順調だとか言っていたし。


 ちょっとだけ読ませて貰ったけれど、まあ目に痛かった。

 何せ登場人物が、ほぼ全員学生会の住人だ。


『この世界は生モノ禁止とされているので、一応はフィクションとしていますわ』


『その昔は元ネタありのお話が主流だったのですけれどね。大々大先輩世代があれこれやらかし過ぎまして、そうなったみたいですわ。後の世代の私たちには迷惑なお話ですけれどね』


 そう沙知先輩と月見野先輩が言っていたけれど。

 困った事になかなか面白い。

 微妙に実話臭い部分も混じっているし。


 ルイス先輩が『目覚めてしまった』瞬間の大コマは大笑いしてしまった。

 会長には大変申し訳ないけれど。

 まあ他にもルイス先輩が酷い事になっている。


 夏コミ当選の暁には、ルイス先輩に売り子としての出場を要請する予定だそうだ。

 本人のコスプレをさせて。

 今のところ本人からは、色よい返事は出ていないらしい。


 さて、保養所に着いたらここからは僕の戦場。

 本日の夕食は既にお題が出ている。

 『コテコテな日本風カレー』との事だ。


 欧風でもインド風でも他の東南アジア風でもなく日本風。

 宜しい、ならば独断と偏見による正しい日本のカレーを作ってやろうではないか。


 まず肉は豚肉、それも細切れだ。

 これを10キロ、寸胴もかくやというでかい圧力鍋にぶち込み、更にサラダオイル適当とカレー粉と唐辛子を入れて炒める。


 細切れを使う理由は簡単だ。

 細切れならどんな感じに盛っても、どの皿にも肉が大量に感じられる程度に入る。


 カレーの肉は正義だ。

 薄いと出し殻になるとか、ブルジョアな事を言ってはいけない。

 そんな贅沢は欧風カレーに任せておけばいい!


 その間に中華鍋も火にかけ、解凍した『飴色まで炒め済み冷凍タマネギ』500グラムを2袋ぶち込む。

 他にチューブのショウガとニンニクを3本ずつ全部ぶち込み、気分よく炒める。


 豚肉の方が気分良い感じに焦げ目がついてきたら、人参とジャガイモ投入。

 日本風のカレーならやっぱりこの2品は入れないとな。


 そろそろ焦げそうな中華鍋は一度火を消して、圧力鍋の方をじわじわ炒める。

 まあこの辺にしておいたるわい、位に手が疲れたら、カットトマト缶を3個投入して中華鍋側の材料も投入して牛乳を1パック入れ、更に足りない分の水を少々入れて圧力スタート!

 時間が足りないので圧力鍋で無理矢理火を通し、最後にルーを入れる予定だ。


 なおルーは、市販のそこそこクラス中辛を1種類だけ。

 下手に混ぜたりするよりこの方が美味しい、というのが今までの僕の実験結果だ。

 それにお題が『日本風カレー』だからルーで作るべきだろう。


 圧力鍋が仕事するまでの間、サラダをダッシュで作成。

 これも別方面から注文が来ている。

『本場タイ風ソムタム』だそうだ。


 色々注文がうるさい。

 あとパクチーをつけないと、一部方面から文句が出るし。


 ひととおりサイドメニューを終えたら、圧力鍋の火を止めて圧を抜く。

 野菜にほどよく箸が通るのを確認してルー投入。

 ついでにとろけるチーズも大量投入。

 混ぜて混ぜて火を入れて、ルーがねっとりするまで混ぜ続ければ完成だ!

カレーの肉は塊肉が正統派だとは思います。

ただ『どう盛っても肉がたくさん!』としたいので、今回は豚の細切れです。

他に『お安いブラジル産冷凍鶏肉を解凍後そのまま突っ込んだ、ゴロゴロ通り越しチキン』というレシピも正義だとは思います。ただこれだと、肉を選んで盛ってしまう人が出るので、終わりくらいにはカレー汁状態になってしまうのですよね……

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