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右も左も魔女ばかり ~離島の魔法特区にある高専に入学した僕の想定外な日々~  作者: 於田縫紀
第3章 いきなりな課題

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第54話 その名はスケヴェニンゲン

 片付け終了後。


「いやあ、刺し身以外でこうなるのは初めてだな」


 修先輩が苦笑いしている。

 大広間には9人が移動困難で横たわって動かない。

 つまりは食べ過ぎによるトド状態だ。


「さっぱり系とかすっぱい系だから大丈夫だと思ったんだけど」


 そんな事を言いつつ、青葉まで倒れている。

 典明は、もう返事すらしない。

 他は鈴懸台先輩、世田谷先輩、ジェニー先輩、ソフィー先輩、愛希先輩、理奈先輩、沙知先輩、エイダ先輩。

 ほぼ前回トド化したのと重なっているのは、気のせいではない。


 何故か誰より食べているように見える詩織ちゃん先輩は平気だ。

 この人は胃袋もゼットントリオ級なのだろうか。


 そしてトド化した愛希先輩がのそのそ動いて、詩織ちゃん先輩に何か相談。

 何か会話した後、詩織ちゃん先輩は大きく頷いた。

 そして……


「今日は被害者の人数が多いので露天風呂を一部変更するのですよ。メインのあつ湯浴槽を寝湯の深さにして枕付きに変更するです。という訳でしばし待つのです」


 そんな機能がついているのか…… 

 そう思った時だった。


「ねえ、露天風呂って、何?」


 倒れている青葉からそんな台詞が。

 忘れていた。

 そう言えばそんな障害があったのだ。


「まだ誰も話していなかったですか。そっちの部屋の外は露天風呂になっています。ぬる湯あつ湯にジェットバス、寝湯にたる湯にサウナ2種と歩行湯。今日は横になりたい人が多いので、あつ湯の浴槽を寝湯に変えるそうですけれど」


 美雨先輩があっさり、ばらしてしまった。


「ん、それで聟島温泉という提灯なのね。了解したわ」


「寝湯に浸かったら大分楽になるぞ、前もそうだったし」


 一週間前にも倒れていた愛希先輩が恐ろしいアドバイス。


「ただここの露天風呂は混浴だけれどさ」


 しかも愛希先輩、そこまでばらしてしまう。

 ああ、終わった。

 これで魔法工学科1年の間で、オランダのデン・ハーグ市にあるリゾートビーチのようなあだ名がついてしまうのは確実だ。

 そう思ったのだけれども……


「広さを考えれば当然でしょ、どうせ変な事は出来ないだろうし」


 思った以上にあっさり、青葉が了解してしまう。

 おい、本当にいいのか。

 金井青葉の理性、ちゃんと仕事しているのか?!


「露天風呂、OKなのですよ」


 詩織ちゃん先輩の声がする。

 女性陣がぞろぞろ更衣室に向かっていく。


 今日は奥の部屋と中の部屋の2部屋を更衣室に使っているようだ。

 人数が多いからだろうか。

 そのうち動きが変なのが半数以上いるのがなんとも言えない。


「今日は人数の割には早いだろうな」


 これはルイス先輩。


「諦めて更衣室へ行きますか」


 俺達も更衣室へ向かう。

 今日は修先輩、ルイス先輩、ロビー先輩、典明、僕の5人だ。

 入って浴衣やタオル等を準備しているとすぐに声がかかる。


「今日はもう大丈夫なのですよ」


 何も見ないようにして洗い場へ移動するが、見える物は見えてしまう。

 それは大量殺人事件の死体置き場。

 いや違う、食べ過ぎのトド置き場だ。


 色気も何もあったものじゃない。

 それでも見えると、思わずどきっとしてしまう自分が悲しい。

 しかもトド置き場が2箇所に増えているし。

タイトルの意味がわからない人も多いと思いますので、注釈を入れておきます。

スケヴェニンゲン:一部の日本人小中学生には、『スケベ人間』として『エロ漫画島』『沖縄の漫湖』と似たような理由で有名な地名。オランダのハーグにある、北海に面した海浜リゾート地で、普通のビーチの他にヌーディストビーチもある模様。なお実際の発音は『スヘーヴェニンゲン』という感じらしい。

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