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右も左も魔女ばかり ~離島の魔法特区にある高専に入学した僕の想定外な日々~  作者: 於田縫紀
第2章 魔女のいる日常

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第32話 釣り大会は大物狙い

「詩織先輩、それじゃ誤解されるぞ」


 愛希先輩がそう言って解説してくれる。


「ここの費用は基本的に香緒里先輩の会社持ちなんだ。そのかわり、月に1回位半日ほど工場作業をするんだけどね。バイト代も別に出るよ」


 なるほど。

 そんな訳ないと思いつつも危険な想像をしてしまった。

 何せ朝一番で、あんな状態を見てしまったし。


「そのバイト代の一部でここの食費等もまかなっているのです。だから遠慮せずに食べるなりしていいのです」


 なるほど、全て了解した。

 これも納得はいかないけれど了解した。


「それより食べたら今日は1・2年対抗釣り大会だぞ。釣りは自信はあるかい」


 そう言われても困る。

 何故なら……


「幼稚園の頃ザリガニ釣りをした位しかありませんね」


「親父にさびき釣りに連れて行ってもらった事はあるけれど」


 僕より典明の方がましなようだ。


「そんなものじゃないぞ。何せ資源保護の為に、40センチ以下はリリースのルールだから」


 40センチって……

 俺の横で典明が両手手で40センチの長さを作っている。


「それって相当大きくないですか」


「小さいの釣り出したらきりがないからさ、この辺は」


 ワイルドすぎる。


「参考までにどんなのが釣れるんですか」


「去年の5月だと、カンパチとメジマグロとイソマグロとギンガメアジかな、大きいのは。あとハタとかシマアジとか」


 何か凄そうな魚名が聞こえたような。


「沙知がいるから、釣れない事は無いな」


 あの鋭角系の美人だけれど変な先輩か。


「沙知先輩って、釣りの名人なんですか?」


「あいつの魔法はレーダーみたいな物でさ、何がどの辺にいるかがわかるんだ。まあ行ってみてのお楽しみだな、その辺は」


「参考までに、昨年はどれくらい釣れたんですか」


「7人で行って4本竿を下ろして合計300キロを超えたかな」


 それは釣り大会というより、漁なのではないだろうか。


「食べきれなくて魚祭りをやったですね、結局」


「ルイス先輩がカンパチとマグロの解体ショーをやったんだよな」


 何かやっぱりこの連中、常識が間違っている。

 だたもう突っ込む気にはなれない。


 ◇◇◇


 これを下からみたらさぞかしシュールな風景だろう。

 古い漁船が空を飛んでいる。


 学生会所有の空中飛行型漁船は学生会工房前を出港した。

 ふわっと5メートルほど浮上して。

 そのまま飛行しつつ学校裏の崖を超え、海へと斜めに降りていく。


 乗船しているのは学年上から愛希先輩、理奈先輩、沙知先輩、美雨先輩、エイダ先輩。

 それに僕と典明の合計7人だ。


 愛希先輩が操船を担当し、理奈先輩が獲物が大きすぎた際のヘルプ担当。

 そして2年の先輩3人と僕と典明が釣る担当という訳だ。

 竿は4本用意してあり、それぞれにでっかいリールと太い糸、そしてルアーがついている。


「そろそろ目的地なので魔法をかけますわ」


 沙知先輩がそう言った1秒後、ふっと頭の中に何かが浮かぶ。

 視覚のようだが少し違う3次元感のある感覚。

 解像度はあまり高くないが何かが何処にいてどれくらいの速度で動いているかはわかる。


「お2人は初体験ですか、探知魔法。目標を意識したらより細かい情報がわかりますわ」


 これが沙知先輩の探知魔法か。

 試しにカンパチ、と意識するといくつかの物体が明らかに反応した。

 なるほど、これがあれば釣りは楽だな。

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