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右も左も魔女ばかり ~離島の魔法特区にある高専に入学した僕の想定外な日々~  作者: 於田縫紀
第1章 魔女の洗礼

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第13話 学生会長は苦労性

「それで大変申し訳ないのだが、うちの詩織が何か迷惑をかけたなら遠慮無く言ってくれ。例えば脅されたとか騙されたとか」


「ルイス、だからそれは酷いのです。私の人徳と魅力のたまものなのですよ」


「そういう事を言うから余計信用できないんだ」


 何か上席で揉めている。

 ただ誰も困った様子等は見せないので、ひょっとしたら日常のことなのかもしれない。

 そして山下理奈先輩、ファーストネームで呼ぶから理奈先輩が肩をすくめて教えてくれる。


「学生会は例年、人数を確保するのに苦労しているんですよ。最低2人から3、4人確保したいのですが、いつもギリギリですから。それにルイスさんは苦労性だし詩織さんはああいう人だから、いつもこんな感じですの」


 なるほど、よくわかる解説だ。

 ならさっさと事情を話して、ルイス先輩を楽にしてあげるべきだろう。


「ルイス会長、別に騙されていないから大丈夫です。僕は刀作りの入門からここへ入りましたし、隣の緑山……典明は工房と詩織さん所有の工作機械に惹かれて自分でここに入会しました。だから問題はありません」


 ルイス先輩は、明らかにほっとした表情をした。


「そうか。ならいいんだが。あと、まだ5月までは研究会所属は本決まりでは無いから、もし他に行きたい所があったら遠慮無く申し出てくれ」


 ルイス先輩は一見美男子で格好もいいのだけれど、ここで話してみると大分イメージが変わる。

 オリエンテーション等で挨拶をしている時はまさに『ただしイケメンに限る』という感じのオーラを振りまいていた。

 しかし今はまるで別人だ。


「という訳で私の魅力で、早くも2人入ってきてくれたのは事実なのですよ」


「工房とお前の工作機械の魅力だろ。ロビーと同じだ」


「否定できないのデス」


 何か学生会のイメージがかなり崩れてきた。

 でもまあ、長居するならこれくらいの雰囲気の方が楽かな。


「ところであの工房とか刀鍛冶が学生会担当というのは、何故なんですか?」


 詩織ちゃん先輩には成り行きだとごまかされたのだが、ルイス先輩なら教えてくれるだろう。

 ルイス先輩は、少し考えながら話してくれる。


「何というのかな。学生会は本来、魔技高専の学生生活を支援するのが主な役割であり仕事だ。ただそれとは別に自分の専門に近い活動を学生会内の同じ学科の先輩後輩と組んでやっていて、それが魔法工学科の場合はあの工房の訳だ。もっとも同じ工房を使っているけれど、ロビーと詩織では専門にしているものはだいぶ違うけれども」


「魔法工学科はまだいい方ですわ。ルイスをはじめ攻撃魔法科と詩織ちゃんは、校内最大の魔法集団である攻撃魔法研究会にもよく殴り込みをかけていますしね」


 副会長のソフィーさんが付け加える。

 ルイス先輩は苦い顔をして訂正した。


「殴り込みじゃなくて練習試合だ。魔法戦闘でも最後は実戦経験がものをいうからな。ただ今は攻撃魔法研究会も少し弱体化したから、学生会うち対他の攻撃魔法関係の研究会の連合軍になったけれど。詩織がいなければ、これでほぼ対等だ」


 何かルイス先輩が微妙に変な事を言っている。

 確かさっきの自己紹介では、学生会に攻撃魔法科は4人。

 それで他の攻撃魔法関係の研究会連合軍と対等って、学生会側が異常に強くないか?


 わからない事はさっさと聞くに限る。

 という訳で。


「他の攻撃魔法関係研究会の連合軍って、大体何人位なんですか」


 まずはこっちから聞いてみよう。


「うーん、いつもの練習試合だと、向こうは30人位かな。あまり増やしても戦力は上がらないから、それくらいに調整しているな、いつも」


 愛希先輩が答えてくれる。

 でもそれなら、やっぱり。


「その相手を学生会側は4人で戦うんですか。戦力比無茶苦茶じゃありませんか」


 あ、ルイスさんが凄くまずそうな顔をしている。

 なかなか表情が読みやすい。

 そして今度もソフィーさんが教えてくれる。


「こう見えても、4人とも各学年の攻撃魔法科筆頭ですから。まあ愛希と理奈はどっちが上という順番は付けにくいのですけれど。何故かそんなのが集まってしまうんですよね、学生会(ここ)は」

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