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右も左も魔女ばかり ~離島の魔法特区にある高専に入学した僕の想定外な日々~  作者: 於田縫紀
プロローグ

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プロローグ 魔女の笑顔

 4月始めだというのに大半は半袖の私服姿。

 先生方もポロシャツ姿が大半だ。


 ここ魔法技術高等専門学校に制服は無い。

 そして確かに東京から900キロ以上南のここではもう半袖で十分だ。


 僕こと三輪朗人みわあきと15歳はこの4月、第一志望だった魔技高専に入学した。

 冗談みたいな倍率とかどんなに頑張っても合格判定Cまでしか出ない難易度を運と奇跡で乗り越えて。


 今日で魔法特区のこの島で暮らし始めて3日目。

 毎日がまあ、カルチャーショックの連続だ。


 寮務教官が受付にいるだけ、他は単なるマンションと同様な学生寮とか。

 中学時代からは想像付かない程の学校の自由さとか。

 日本以外の出身者の多さとかそのくせ食料品店が1軒しか無い田舎くささとか。


 今日は学生会主催のオリエンテーションで学校は終わり。

 少し斜めになった日差しの中、僕は校舎を出る。

 学生でごった返す帰り道はオリエンテーションで紹介のあった研究会やサークルの勧誘でいっぱいだ。


 何となく人と人の間を避けるように僕は歩く。

 騒がしいのは得意では無い。

 研究会とかは今日もらったパンフでも見てゆっくり考えよう。

 そう思っていた時だった。


「突然ですが、刀の制作に興味はないですか」


 いきなりだった。

 目の前に誰もいなかった筈だった。

 でも今、腰まである長いツインテールの小柄な女の子が立っていて、僕にパンフレットを差し出している。


「刀ですか」


 そういえば少し前に何かで見た覚えがあった。

 魔技高専で刀を作っているという話は。


「そうなのですよ。注文は多いのですが作れる人が少なくて困っているのですよ」


 女の子はそういって、頬をぷーっと膨らます。

 中学生位にしか見えないけれど、どうやら彼女も高専生らしい。


「何でしたらちょっと工房を見てもらうだけでいいのです。お願いなのです。ちょっとだけでいいのですから」


 何かちょっと必死っぽいので、思わす僕は頷いてしまう。  

 彼女がそれを見て、ぱあっと笑顔を浮かべた。

 この時の彼女の笑顔を、僕はきっと忘れないだろう。

 今までの僕の彼女いない歴=年齢だとか、そもそも近い年の女性にそんな笑顔を向けられた事が無いとかの事情は別としても。


「それでは行くのですよ。工房はこっちなのです」


 彼女は僕の右手を捕まえると、ずんずんと大股で歩き始める。

 早まったかなとか、刀制作の研究会なんてオリエンテーションでは聞かなかったなとか。

 そう思う僕に全くおかまいなく。

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