表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネヴァースフィア  作者: 天城なぎさ
Connect login
PR
10/18

#010

 温泉はいつぶりだろう。公衆浴場が、市場にあるなんて、なんて優しい世界なんだ。

 日々の業務の疲れが、一気に取れていく。


「よぉ。また会ったな。ニイちゃん」

「えっ、あ。セイラスチーズの、おっちゃん?」


 のんびりと温泉に浸かっていたら、セイラスチーズをくれた、農夫のおっちゃんが、隣にやって来た。


「まだ市場に居たのか。冒険には出ないのか?」


 そのセリフを言われると、何だか頭が痛い。


「出ようと思ったんですけど、相方が、無茶苦茶でして」

「ハハハ。仕方ないさ」

「屋台をやろうと、しているんですよ?」

「屋台か。金も稼げて、良いじゃないか」


 良くないんですよ。おっちゃん。


「事は深刻なんですよ……」

「必要な物は揃っているのか?」

「全て相方が、揃えていましたからね。俺は分かりません」

「材料は、どうするつもりなんだ? 何を作るのか、俺は知らねえが、屋台をやるなら必要だろう?」

「色々必要です。小麦粉に砂糖、あんこにカスタードクリーム」

「小麦なら、スフィアの大地全域に自生している、ライト小麦を製粉すれば、使えるだろう。ホルタンクのミルクと混ぜれば、パンケーキが作れる。砂糖は糖花(とうか)から精製すれば、手に入る」


 おっちゃん、いい人過ぎる。何者なのかも知らない俺に、ここまで教えてくれるなんて。


「ホルタンクって、何ですか?」

「ホルタンクは乳牛モンスターさ。家畜として飼っている者もいるが、野生にもいる。白い肌に黒のぶち模様のやつなんだ」

「乳牛ですか」

「煮詰めて砂糖を加えると、クリームも出来るから、ニイちゃんたちには、良いんじゃないか?」

「そうですね。おっちゃん、ありがとうございます」


 そろそろ出るか。これ以上入っていたら、逆上(のぼ)せてしまう。


「今夜、泊まる所はあるのか?」

「いえ。馬車の中で寝ようと、思っています」

「それなら、俺ん家に来るか? 何も飲まず食わずは、倒れちまう」

「ありがとうございます。でも、ご家族にご迷惑が」

「構わないさ。何かの縁だ」


 良かった! これで、俺の身の潔白が証明される! 

 俺は、無実のままだ!


「俺はKOH(コウ)って言います。魔法使い(ウィザード)です。相方はサーラ。回復術師(ヒーラー)です」

「俺はリチャード。農夫をしつつ、市場でパンとチーズを売っている。よろしくな」

「こちらこそ、よろしくお願いします!」


 おっちゃんことリチャードさんの、お世話になることになった俺たち。

 馬車の中で寝ようなど、どこぞの世間知らずが考えることか。


「えっ!? おっちゃんの家に、泊めてもらえるの!?」

「あぁ。何度も言わすな」


 天然温泉を出て、先に待っていたサーラに、事の成り行きを説明する。


「賑やかになるなぁ。KOH(コウ)とサーラが来てくれたら」

「おおお、おっちゃんに何故、私の名前がぁ!?」

「おっちゃんことリチャードさんに、サーラのことを伝えた」

「おっちゃん、リチャードって名前なのかぁ。よろしくね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ