7話 どうやら彼女は誘拐されるようだ
カチャ……。
普段は鍵がかかっており、開かないはずの放送室のドアが突然開いた。
本来ならば、職員室経由ではないと入れない放送室だ。
そう簡単には入れないだろうと思われるが、彼ならば入れるだろう。
「こんにちは、夏川 紫苑さんですよね?」
「出た……。ベルモンド……。そうだけど。私に何か用?」
紫苑は少しベルモンドを脅してみる。
次の瞬間、
「放送しなきゃ!」
と冷静になり、彼女は放送原稿を探し出す。
「紫苑さん、放送しなくて結構ですよ。あなたは喉は渇いていませんか?」
ベルモンドは紫苑にペットボトルの水を手渡そうとした。
「いいえ、結構です」
紫苑は拒否反応を示す。
「そんなこと言わないで飲んでいただけると嬉しいですのに……」
「……。どうも……」
ベルモンドは気が利くけど、今はいらないんだよなぁと思いながら紫苑はいやいやながらそのペットボトルを受け取り、蓋を開け、1口飲んだ。
「ふぁー……。眠くなってきちゃったー」
彼女は大きく欠伸をし、眠りについてしまった。
その間にベルモンドは放送を入れた……。
*
現在、5限目の授業中……。
突然の放送で全校生徒や全職員は驚いていた。
本来なら、放送するなら紫苑がするはずなのに、違う人が放送していたのだ。
「現在、ここ放送室に1人の女子生徒を誘拐しました。彼女が言った最後の言葉はこちらです。」
ベルモンドは放送器具を使い慣れた様子で、今度は録音テープを巻き戻した。
テープは巻き戻され、
『私達の学校の歴史についてを紹介します。昭和○○年4月、××高等学校からこの高校の歴史がスタートしました。……』
と彼女が最後に撮ったとされる言葉が放送された。
「さて、2人の先生には事前に予告状を届けました。それを受け取った2人は勇者として彼女を助け出してもらいましょう。ゲーム時間は今から1時間です」
と校内放送として流れた。
*
紫苑のクラスである3年5組では現代文の授業をしていた。
担当の先生はこのクラスの副担任である秋山。
「その声はベルモンドの声……。中間辺りは夏川の声っぽくないか?」
秋山は一旦教科書とチョークを置きながら生徒達に言った。
「確かに……」
「まさか……」
「紫苑がベルモンドに狙われたとか!?」
「その流れからしてそうだよね……」
「ベルモンド、最低!」
「ありえない!」
「かもね……」
「あの子は狙われるようなことをするような人じゃないのに……」
などと言い、クラス全員が驚いていた。
なぜなら、意外すぎる人物だったからだ。
*
一方の春原も授業中であった。
今は1年4組の生徒達が化学室におり、楽しそうな実験をしている。
今回の実験のテーマは『電気パンを作ろう!』。
黒板には実験の手順が書かれている。
そこでは、生徒達がワイワイガヤガヤと凄く楽しそうだ。
そんなときに流れたベルモンドからの放送……。
「今の中間のところは夏川の声……?」
と言い、春原はビーカーを持ってなにやら説明をしようとしたが、それを教卓に置いた。
「先生、どうしたんですか?」
「また、ベルモンドがきたとか?」
「そういえば、ベルモンドってうちらが入学してからやたら出てくるよね」
「また掃除が大変じゃん」
「だよな」
「ベルモンドが先輩を誘拐!? マジありえない!」
「なんか嫌な予感がするよね……」
「うん」
1年生もまだ困惑気味のようだ。
確かに今年度に入ってから今回で5回目である。
*
その頃、放送室では……。
紫苑は眠りについたままで、番組ディレクターは時間を止められたままで固まっていた。
「さて、彼女をどのようにしよう……?」
とベルモンドは紫苑の細身の身体を簡単に持ち上げ、何かを考えながら誰にも聞こえないように言った。
さて、彼女の行方は?
そして、彼女の運命はどうなってしまうのか?
2014/10/19 本投稿
2015/08/13 改稿




