女神の短杖を求めて。
女神の短杖は何処に?
「あの夜、確かに私の意識は有りました。けれど、身体は私の意思に反して行動を起こし、キュレを寝かせ宝物庫に赴き門番も眠らせた後、私は宝物庫の奥に安置していた『女神の短杖』を持ち出し、気付けば何処かの洞窟内に居て、誰かに『女神の短杖』を渡していたのです。
その時に確かに相手の顔を見ていたのに思い出せません。そして、その日から『女神の短杖』が行方不明だと発覚するまで、誰も私に問い質す等が無かった為に夢かと思っていたのですが、未だに見つかっていない事で、私自身、どうすれば良いか分からず、こうしていたのです。」
「シルフィナ王女殿下の意識を眠らす、または奪わなかったのは何らかの理由が有ったかと思うが知っている者が2人から1人に減ってしまった。が、どちらにしろシルフィナ王女殿下が不利になる事だろうから、この件は諦めよう。」
「そうですね。シルフィナ様が不利になる様な事があってはなりませんから。」
「でも、キュレ。それは穏便にする必要は有るけど、根本的問題解決にはならないわよ。」
「……そうですね。」
「まあ、何処に有るかは大体の目処が立っているけどな。」
「それは何処ですか?」
「根拠と言える事が1つ。シルフィナ王女殿下が一晩で、往復出来る距離にある洞窟内だな。
そこに『女神の短杖』が有る可能性が高いと思うが、近い所に洞窟で思い出す場所は有るか?」
「……!? 有ります。この国の地下に有る『ダンジョン』です。」
「やっぱり、ダンジョンが有ったんだな。」
「ええ。一般には秘匿していますが。」
「それなら、そのダンジョンに『女神の短杖』が隠されている可能性は高いな。それは国の外に持ち出されたという話は聞かないだろうし、近隣の国等から何らかの威圧的な交渉をしてくる事も無いだろ?」
「確かに、そんな話は聞いておりません。」
「だから、まだダンジョンの中だと思うがどうだ?」
「ええ。そうだと思います。」
「そこで問題なのが1つ。」
「それは何でしょうか?」
「シルフィナ王女殿下のやった事を国王に話すか話さないかだ。」
「私も王族の1人です。覚悟は出来ています。」
「分かった。なら国王に話して今度の方針を決めよう。」
俺達は連絡が届いて、国王達がスケジュールの調整している間に時間潰しで図書室に来ていた。
中には興味が引かれる物語が有った。
それは光の戦士とこの国を未曾有の危機に陥れた白銀の魔物退治の物語だった。
内容は、突然現れた白銀の魔物が国を襲い、存亡の危機に何処からか現れた戦士が光の剣を振るい、白銀の魔物を討伐して、その褒美としてこの国のお姫様と結婚しました。めでたしめでたし。で終わる物語だけど、興味が引かれたのは、その白銀の魔物との戦いや強さの描写の細やかさだった。
その物語に出てくる最強の魔法ですら、傷らしい傷を与える事が出来ず、騎士達の剣ですら傷を与える事が出来ず、光の戦士の剣だけが魔物を傷付け、倒す事が出来た。
そんな内容が書いて有った。
まあ、結局はこの国の宣伝用の物語だろうけどな。
数時間後、応接室で国王と宰相、シルフィナ王女殿下と俺達で、「女神の短杖」の行方不明になった原因と予想される隠された場所を伝えた。
勿論、国を預かる責任者という意味では国王もシルフィナ王女殿下のした事は許される内容では無いが、王家や王族を束ねる者として、そして、シルフィナ王女殿下の父親としては、どうにかしたい内容だった。
その為、シルフィナ王女殿下の身体が使われたという部分だけ隠して、魔族が起こした事件とする事で決定した。
まあ、言わなくても良い事は言わず、それ以外は事実だからな。
その後は先ずは宝物庫の門番全員を集めて、リーナとシャオにやって貰ったら全員が魔族を吐き出した。
これを見た国王も半信半疑だったが、俺達の話を信じて、国王も含めた重要な立場の者達を全員集めてやってみたら、国王と王妃の侍女の1人だけが吐き出した。
え!? 1人だけ!?
と思ったが、多分、魔族も動き始めたばかりなのだろうと判断した。
此所までで結構な時間が経過した為に、ダンジョンへの調査は明日になり、俺達は王宮に泊まる事になった。
翌日
俺達は朝食を頂いた後、シルフィナ王女殿下の案内で、王城の地下に有るダンジョン入り口に到着した。
「此所がダンジョンの入り口になります。」
「案内、ありがとう。」
「皆様、お気をつけください。」
「ああ。必ず『女神の短杖』を取り戻してくる。」
「皆様、御武運を。」
俺達はシルフィナ王女殿下に見送られながら、ダンジョンへと侵入した。
「これは、いつかはバレるという予測をしていたのかもな。」
「セツナ様、確かにそうかもしれません。」
そうなんだよなぁ。
王城の地下のダンジョンにしては、出現する魔物が強いんだよな。
誰か自由意思を持つ者がダンジョンマスターになっているかもな。
今回は「女神の短杖」の捜索の為にマッピングしながら、隅から隅まで調べた。
今、5階層のエリアボスの扉の前で、これまでの事を話し合っていた。
5階層までに誰かが居たという痕跡は無かった為、ダンジョンに食べられたか、ダンジョンマスターが所有している可能性がある。
だから、ダンジョンマスターを倒して、俺がダンジョンマスターになった方が早いと結論がついた。
「皆、一気に行こう!」
「はい!」×9
5階層のエリアボスを皮切りにどんどん進めて行き、今、15階層の今までと違う豪華な扉の前に到着した。
少し休憩した後、皆の意思を確認した後、俺達は扉を開ける。
そこには既に魔物が出現していて、俺達を見下ろしていた。
その姿は巨大な白い獅子を連想し、雄叫びを上げて俺達に襲い掛かって来た。
「グルオオオオオオーーー!」
「皆、行くぞ!」
「はい!」×9
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