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貴族街。

すみません。

遅くなりました。

 俺達は、気紛れで貴族街を散策している。

 こういう時にしか、行く事が無いからだ。

 テンプレという万が一を避ける為に、先ずは、貴族街の治安維持を務める兵舎の位置を確認する。


 その後は、高さ3階までの貴族屋敷を観賞した。

 何でも、それ以上高くすると、王家に反意有りと判断されるらしい。

 だから、貴族街の屋敷は、外見に拘る傾向に有る様だ。

 暫く歩いていると、一際(ひときわ)悪趣味な外見の屋敷が有った。


「リーナ、これは?」

「私も見るのは初めてだけど、噂とかで聞いた事が有るよ。……確か、『ナーリキン子爵』の屋敷だと思うよ。」

「どんな貴族?」

「商人上がりの貴族で、献金と経済的に苦しい子爵家の次女と婚姻して、他の子爵家の後押しで子爵家になったの。」

「良く、一貴族の事を知っているというか、覚えているな?」

「まあ、一応王家の義務というか、特にこのナーリキン子爵には、黒い噂が絶えないから。」

「なる程な。なら、早く移動……」


 後方から、馬車が近付いて、俺達とナーリキン子爵邸の間に止まった。


「ここは、うす汚い冒険者如きが、居て良い場所では無い! 即刻立ち去れ!」


 馬車の護衛らしき男が文句を言ってきた。


「待て。」

「は!」

「良く見れば、そこそこ見れる者が居る。まあ、『混じっている』者も居るが。」

「あぁ!」


 俺は思わず声が出たが、馬車の中に居る男は話を続けた。


「うむ。まあ、良かろう。私の側女として飼ってやろう。『混じっている』者は、痛めつけるのが飽きたら、部下に与えれば良いな。」

「ほれ、冒険者。代金だ。」


 バシッ!


 俺は、護衛の男が持ってきた小袋を強く払い棄てた。


「貴様、何をする!」

「それはこっちの台詞だ!」

「何!」

「何を勝手に話を進めてやがる。」

「冒険者風情が粋がるな! 馬車に居られる方は貴様程度が、口をきくのも烏滸がましいのだぞ。この高貴な方と出会えた事を感謝して、代金を浅ましく拾い、立ち去れ!」

「ふざけるな!」

「ふざけているのは貴様だ! 良いだろう。貴様程度にこの高貴な方を教えるのは破格の慈悲だ。 ……宜しいでしょうか?」

「許す。」

「この馬車の中に居られる高貴な方の名は、『ナーリキン子爵』様だ! 身分の違いを足りない頭でも理解しただろう? 命だけは見逃してやる。立ち去れ、冒険者風情がっ!」

「断る!!」

「貴様! 折角の慈悲を捨てるとは、冒険者風情の命1つなど、誰も気にしないのだぞ?」

「もう良い。時間の無駄だ。掃除しておけ。」

「は! おい!」


 護衛の男の一声(ひとこえ)で、馬車の周りを囲っていた他の護衛10人が、俺を囲み、護衛の1人がニヤニヤしながら話し掛けた。


「素直に金を受け取っていれば命だけは拾えたのにな。馬鹿な冒険者だ。」


 護衛の男が命令を下す。


「……殺せ。」


雷乃弾丸(ライトニングバレット)!」


 俺は、囲んでいた護衛の奴等に、「雷乃弾丸(ライトニングバレット)」をそれぞれの両肩と両足に撃ち込む。


「がぁっ!」×5

「ぐっ!」×5


「何!?」

「貴様! 分かっているのか? 貴族の護衛に剣を向けるという事は、その貴族に剣を向ける事と同義だぞ!」

「はん! 関係ない!」

「貴族に逆らうという事は、貴様だけでは無く、家族や周りに居る者にも関わるのだぞ?」

「俺や周りに居る者は、その程度で頭を下げない!」

「魔法をそこそこ使える事で、天狗になっている様だな。ナーリキン子爵様。もう暫くお待ち下さい。直ぐにこのゴミを片付けますので。」

「時間が勿体無い。早く片付けろ。」

「は! さて、ゴミ掃除するか。 死ね!」


 そこそこ早い踏み込みで剣を抜き、間合いに入った護衛の男を、俺は更に踏み込み、勢いのままに、鳩尾に右肘でボディブローして、そのまま右手で護衛の男の顎を掴み、左手で護衛の男の右手首を握り、『山嵐』で、地面に叩きつける!


「ぐっ! ぐはっ!」

「刹那兄さん、何故そこで『山嵐』!?」


 何と無くの気分で。


 護衛の男が沈んだ事で、馬車からナーリキン子爵が降りて来た。


「なかなかの腕前だな。良かろう。私の護衛として雇ってやろう。光栄に思うが良い。」

「あんた、馬鹿か?」

「なっ!? 下郎が! 折角の士官を棒に降るのか?」

「お前の様なワーム以下に誰が士官なんぞするか!」

「うす汚い冒険者風情が、護衛に勝った程度で粋がるなよ。ここは、私の大邸宅だ。私が合図すれば、私の兵が押し寄せるのだぞ?」

「ふん! 無駄な足掻きだな。」

「ならば、捕縛して、拷問の果てに私に楯突いた事を後悔しながら死ぬが良い。 『やれ!』」


 ナーリキン子爵が右腕を掲げ降り下ろした。

 その瞬間に屋敷から、わらわらと兵達が出て来た。


「璃音! あの台詞を譲ってやる。」

「刹那兄さん、良いの?」

「ああ。」

「ありがとう、刹那兄さん。 『皆、やってしまいなさい。』」



 11分後、ナーリキン子爵を捕縛して、ナーリキン子爵の全兵を沈めた。


 リオンに貴族街の衛兵に連絡に行って貰った。


 3分後にリオンと衛兵が到着した。


「衛兵。何をしている!? 貴族で有る私に手を上げたこの冒険者風情の大罪人を捕らえろ!」

「一応、説明をお願いしても宜しいでしょうか?」

「はい。先ずは、此処を訪れたのは観光です。そして、この屋敷の前に来た後に、馬車が止まり、護衛の男が、『女は飼い、代金をやるから、男は消えろ!』と言われたので拒絶したら、護衛に襲われ抵抗しました。落ち着いた所で、貴方達衛兵を呼びました。」

「そうですか。ナーリキン子爵様。本当ですか?」

「嘘だ。全て出鱈目だ! こやつらが、屋敷に到着した時に襲って来たのだ!」

「……と、申していますが?」

「仕方ない。璃音! もう1つの台詞も言って良いぞ。」

「本当!? 刹那兄さん、大好き。」

「あの、何を?」

「俺達の潔白を証明しますよ。」

「どうやって?」

「璃音、やれ!」


 いつの間にか、フードを被っていたリーナを前に出す。


「此方におわす方をどなたと心得る。現国王アレス=イバス=キリュウ陛下の第3王女リーナ=イバス=キリュウ殿下なるぞ! 皆の者。頭が高い。平伏せよ!」


 リーナがフードを取り、リーナ用の身分を証明する王家の短剣を見せる。


「本物!?」


 衛兵の人が叫ぶ。


「本物だ! 皆、膝を着け!!」


「衛兵達よ。このナーリキン子爵は、貴族としての矜持と責任を忘れ権力を振るい、無理矢理に人を買おうとしました。

 更に、ソレを拒絶されれば、口を封じる為に殺そうとしました。


 その罪、許されません。この王国の王家に連なる者として、リーナ=イバス=キリュウが命じます。引っ捕らえ、全てを洗い出し、罰を与えなさい!!」


「御意!!」



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