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初恋の行方  作者: おしるこ


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2/2

初恋の行方、その後

《なんで先生は教師になろうと思ったの?》


進路指導中に一人の生徒から、そう聞かれた


[先生はなーちょうど君と同じ頃、"落ちこぼれ"って呼ばれてたんだ

進級テストで赤点を取ったら、進級できないところまで成績が落ちてた

でも、親身になって勉強を教えてくれた"先生"がいたんだ

その先生のおかげで、進級もできたし

大学にも入れて…俺みたいな落ちこぼれのような生徒を掬い上げられるような先生になりたいって思ったんだよなー]


《へぇーその先生とは今も連絡取ってるの?》

[あぁ、もちろん 俺の大事な人だからな]

《ふーん…先生って恋人いる?》

[いるぞー]

《なーんだーいるんだ

先生みたいな人がいいのに》

[恋人を探すなら俺みたいな年上じゃなくて、

同年代で探しなよ 同年代はいいぞー

一緒に切磋琢磨して成長できるんだからなー]

《同年代かぁ…》

[あ、ちょっと待った

彼氏よりもまずは進路だぞ!

もうそろそろ提出期限だからなー?

2年だからっててきとーにやんなよ?

親御さんとよーく話し合ってくるんだぞ]

《はいはいーわかってるってばー》


生徒を帰らせた後、

俺はパソコンに生徒たちの情報を記録していた


教師になりたい、なんてやつはいないんだなー

俺のクラスだけかもしれないが


確かに、教師の仕事は大変なことも多い

聞き分けのいい生徒ばかりではないし、

こちらが良かれと思っても

そうは受け取られないことも多い


授業中もまじめに受ける子と、そうでない子の差が激しい

楽しく学校に来てくれるのはうれしいが

授業はちゃんと聞いてほしいんだがー…


まぁ、俺もあの頃はそうだったしなー

わかるけど、さ


あまりにも真剣に向き合いすぎて、

体を壊してしまった同僚もいた


何事も すぎる…ってのはよくないな、なんて思う


あの子たちの将来がどうなるのか

道標になってあげたい気持ちはあるが

なかなかそうはなれないもどかしさがある


経験もまだまだ足りないしな…


とりあえず、今は舐められない程度に友達感覚で

何でも話してもらえる教師を目指して奮闘中だ


あー…それにしても、

やることが多すぎるんだよ…


部活をまかされてると、土日も出勤しないといけないし

それがない分、まだこれくらいならマシではあるが…


昔の先生たちって、もっと仕事量多かったんだろうな…

すげーよ 俺、あんなには無理かもしんねー


なってみて、初めてわかることって多いんだよな


よし、終わったー

そろそろ職員室に戻るか




「…先生 終わりましたか?」

[うん、今終わったところだ…ん?どうした?

なんか顔が赤いぞ?]

「…先生のせいです」

[え!?何、なんで!?]

「私のこと…話してましたね もう…」

[あ…聞いてたのか?でも嘘じゃねーし]

「教室の前を通りかかった時に…その…うれしかったです…」

[そっか…あ!飯食って帰ろうぜ あかり]

「はい…駿介くん」


彼女は俺の"先生"だ

そして、今は婚約者でもある


結婚したら、別々の学校に赴任することになるから

今のうちに同じ職場を楽しんでいるところだ


あかりも2年生を受け持っている

生徒からも他の先生からも人気があるから

ちょっと…いや、だいぶ心配なんだけど…


「駿介くん、明日は打ち合わせですよ?」

[おう、わかってるよ 9時だよな?]

「はい」

[綺麗なんだろうなー…]

「…駿介くんってば…」

[なぁ、泊まって行けばいいじゃん]

「え?」

[心配だろ?俺が起きられるか]

「もぉ…いつも起きてるでしょう?」

[心配してくれねーの?]

「…してます!」

[な?来いよ…あかり]

「…はい」


明日は結婚式の打ち合わせなんだ

ウェディングドレスの試着があるんだ

絶対綺麗だよなー…どんなの着るんだろ


今日は金曜日だし、あかりを連れて帰ってきた

ほんとは早く一緒に住みたいくらいなんだけど…


[なぁー!なんで離れて座るんだよ]

「だって…」

[なんだよー?こっち、ほら!]

「…駿介くん」

[ん?]

「かっこいいんだもん…」

[は?]

「…」

[そろそろ慣れてくれよ…何年付き合ってるんだよー6年だぞ?]

「駿介くんは、ずっとかっこいいです…」

[…]

「…駿介くん?」

[あー早く結婚してぇ]

「え!?」

[こんな可愛いこと言ってくれる彼女と早く一緒に住みてぇよ]

「…もう…」

[なぁ!今日から住もう?]

「き、今日から!?」

[おう 離したくねぇ]

「…はい 離さないでくださいね」

[当たり前だ よーし じゃあ、風呂入ろうぜ]

「…お風呂は別々で…」

[やーだ!我慢できねぇ 行こ?]

「…はい…」


俺、今からこんなんで結婚したら大丈夫かな

日に日に好きが増えていく


あの頃から、もう6年かぁ…

あっという間だったなー


【あかりpoint of view】


駿介くんと一緒に住むんだ…

たまにお泊まりさせてもらうことはあったけれど

住む、となると…

どうしよう…緊張しちゃう…


あの頃からずっと好きで、毎日職場で一緒にいられてうれしいし

たまに見せる駿介くんの強引さが

たまらなく愛おしい


ずっと変わらない優しさが、あたたかくて…


あ、そうだ…同窓会のはがきが届いたんだった

駿介くん 友達多かったし、行くよね…

どうしよう…あの頃もあんなに人が周りにいたのに…

今の駿介くんなら、もっともっとモテちゃうかも…

あ、こんな嫉妬深いところ…重いよね…

行くって言ったら、笑顔で送り出さないと…


「そういえば…」

[ん?]

「同窓会の案内が来ていましたね?」

[あ、そうだった まだ返事してねーや]

「行く予定ですか?」

[あかりはどうすんの?]

「私は…」

[なら、俺もパス]

「え?でも…」

[あかりー思ったことは何でも話す約束だろ?]

「…あ」

[あかりが心配なら、俺は行かなくていいよ]

「でも、みんな駿介くんのこと待ってる…」

[いいの!またそのうちあるだろうし]


ほっとしている自分がいる

わたしを選んでくれたみたいで

うれしくなる


でも、たまに…本当にわたしでいいのか、と思うことがある


私はもちろん駿介くんじゃなきゃ嫌だけど…

生徒にも他の先生にも人気な彼が

結婚相手に私を選んでいいのかな…


[あー俺幸せだー]

「…どうしたの?」

[だって、大好きな彼女が目の前にいるんだ

離したくねー]

「駿介くん…ありがとう」

[ん?なにが?]

「うれしいから」

[そういう時はさ、………っていうんだぞ]

「!!」

[言ってみ?]

「……ます」

[聞こえませーん]

「…愛して、います…」

[俺も愛してる あかり]


この人は本当に…

私が今欲しい言葉を、言葉にしてくれる

態度で示してくれる


私で、いいんだって思わせてくれる


「…幸せなのは、私の方です」

[それならよかった あかりが幸せじゃないと困る]

「え?」

[あかりは自分の気持ちをあまり外に出したがらないからな 無理に付き合わせてるんじゃないかって

不安なんだぞ?こう見えても]

「そ、そんな…私は…」

[なら、素直にそばにいてくれ な?]

「駿介くん…」

[籍だけ、先入れるか]

「はい…」

[!明日もらってこような]

「はいっ!」


思えば、いつもそうだった


彼は、私の常に先を歩いていて

後ろを振り返って手を伸ばしてくれる


私が迷うとすぐに見つけ出して

引っ張ってとなりに置いてくれる


この人じゃなきゃ駄目なのだから

自信持とう…彼のとなりに堂々といられるように


【駿介point of view】


いつもそうだ


あかりは俺を立ててくれる

自分の意見よりも、俺の気持ちを尊重しようとする


もっとわがまま言っていいのに


さっきも、行くのが心配だったんだろ?

顔には出なくても、目には出るんだ


そういう面ではわかりやすくて助かる

俺のことを好きでいてくれてるところも

目を見ればわかるから


だから俺は、見失わないで済んでるんだよ

お前を


これからは、もっとわがまま言ってくれよ

困らせてもいい

だって、ずっと一緒だろ?

先はまだまだ長いんだ


あっ、あかりに困らせられるっていいなー

考えただけでうれしくなってきた


[なぁ、あかり]

「はい?」

[さっきのあれ、ヤキモチ?]

「…!あ、あの…ごめんなさい」

[いいんだよ、もっと妬いて]

「…え?」

[俺のこと、縛ってくれよ]

「え?え!?」

[あかりになら、そうされてもいい]


「…私には…そんなこと…」

[してくんねーの?]

「どうやったらいいのか…」

[んー?そんなの、ほら、あれだよ

他の女の子のこと見ちゃだめです!とか

私以外の人としゃべらないで!とか?]

「駿介くん…仕事柄無理ですよ、それは」

[違うんだよーそういうの言われたいんだよー!]

「うーん…そうですね…」

考え込んでるなー…何言ってくれんだろ

「私以外の人を…好きにならないで…」

[そんなの当たり前だから却下]

「え!?…真剣に考えたんですよ?」

[だって、そんなことあるわけねーもん]

「…!」

[お前以外なんか興味ねーよ]

「駿介くん…」

[お前こそ…]

「え?」

[お前こそ、他の男なんか見んじゃねーぞ]

「!!駿介くん…」

[しゃべるのも禁止な]

「ヤキモチ妬きなんですか?」

[当たり前だろ?]

「一緒!」

[…わかってるよ やっと言ってくれた]

「え?」

[何でも言ってくれよ な?]

「…大好きっ」

[かわいいー]




[よし、一緒に出すぞ]

「はい」

[お願いします]/「お願いします」


伊藤明里と書かれた"それ"が手続きされているのを

見ながら

俺は 今また、これまでよりももっと

あかりのことを好きになるんだ




『駿介くん…やっぱり同窓会、参加しない?

私も行きますから…』

[…えー]

『?』

[あかりのこと誰にも見せたくねぇ]

そういって、俺はあかりを抱きしめた


タイトル〘初恋の行方、その後〙




                   Fin…


こちらの記事はnote様で同一名義にて投稿しております。

再編集して投稿しております。

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