9. ウチらこれから、すごいことになるよ
溶け出していく。温かいお湯に。
胸に渦巻いていたモヤモヤも、溜まった疲労も、何もかも。
「はぁ……」
湯を張った浴槽に浸かり、口元までぷくぷくと身体を沈める天音。
結局夏希は、今夜は秋本家に泊まっていくことになってしまった。夏希がどう考えていたかは知らないが、早苗だけは最初からそのつもりだったようで、久方ぶりの可愛らしい来客をもてなす用意をあれこれと準備していた。
数年ぶりに再会した夏希と話せることが嬉しいようで、夕食を囲む席でも二人のトークは止まらなかった。天音はすっかり聞き役だ。
大人しかった頃とはうってかわってよく喋るようになったことが早苗にとっても新鮮なのだろう。天音がシャワーを止めると、二人の声が浴室にまでほのかに届いていた。
ちゃぽん、と足先をお湯から出して、痛みの引いた小指の様子を確かめる。
もう何度思ったかしれないが、本当に今日は色々なことがあった。ありすぎた。
天音の人生でここまで激動だった一日は未だかつてない。
一週間越しの初登校日。不安だったけれど、和沙と出会えて、希望が湧いてきたと思ったら、夏希と絵美が突撃してきて。
気絶からの保健室、からのSPとの逃走劇、からのコンビ組みたい宣言。
声が枯れるほど怒り散らかして、本当に喉が疲れてしまっている。なんだこれ、バカみたいと笑う元気ももう残っていない。
でも、不思議と心は軽くなっていた。
小学生、中学生とずっとつらい時期を過ごしてきて、高校こそはと張り切っていた計画がおじゃんになって。
予想外な出来事の連続に心の中まで引っ掻き回されて、けれどこれまで溜め込み続けた思いの丈を、夏希との口論の中で声に出して発散することができて、ずっともたげていた何かがすうっと消えていったような気がした。
明日がどうなるか、これからの学校生活がどうなるか、自分でももうわからない。
でも、まあ、なるようになる。今の天音にはそう思えていた。
とりあえずは夏希がいる以上、もうひとりぼっちではないのだ。
大好きな散歩に飛び出していくイヌのように、ぐんぐんと前に前に走っていってしまうであろう夏希。その首輪に繋いだリードをしっかり握って管理していくのが、これからの天音の日課になるだろう。
それはとっても大変そうだけど、ひょっとしたら、楽しいこともあるのかもしれない。
知らない場所に連れていかれて、知らない景色に出会えて、いろんな思い出になっていくのかもしれない。
何が起こるかはわからないけれど、そうそう悪いものでもないような気がする。そんな予感が天音の心を軽くさせていた。
「あま姉ー、入るよ~」
「はぇっ!?」
突然、浴室の扉がノックされて天音は思わずずるっと浴槽内ですべりかけた。
磨りガラス調の扉の向こうに、肌色の何かが動いているのが見える。天音は慌てて浴槽を出て、今にもバタリと開けられようとしていた扉をすんでのところで押さえ付けた。
「ちょっ、バカ! 何してんの!?」
「いやーやっぱり一緒に入っちゃおうかと思って」
「入るわけないでしょ!? さっきジャンケンで順番決めたの何だったの!? ってか一歩ずつお願いって言ったよねぇ!?」
「だってあま姉、けっこー長風呂なんだもん」
「わかった、もう出るから! 出るからあっち行ってて!」
半分くらい服を脱ぎかけて、なんか色々見えてしまっていた夏希を追い返し、急いでお風呂から出る用意を整える天音。
たぶん、こういうのだ。こういうのがこれから先いっぱいあって大変なんだ。
上気した頬を落ち着かせながら、ドキドキと高鳴る胸をバスタオルで押さえた。
*
夏希との入れ替わりでお風呂から上がると、早苗は電話機の横まで持ってきた椅子に座って、何やら長電話をしているところだった。
なんとなく聞こえてくる会話の端々からして、電話口の向こうにいるのは夏希の母……秋穂のようだった。
「ううん、全然! 迷惑なんかじゃないって~。天音もね、なーんかぷりぷり怒ってたけど、本当は嬉しいんだと思うよ~」
「……」
天音と夏希が疎遠になってからというもの、早苗と秋穂の連絡の頻度もとんと減っていた。こんな風に楽しそうに電話している母を見るのも久しぶりだ。
天音が帰宅したときには、もうすでに早苗宛ての電話が夏希からかかってきていたが、きっと秋穂を通じて番号を教えてもらったのだろう。
自分が入った高校は天音の入学先でもあったこと、それを秋穂が初めて知ったのも、ひょっとしたらその時なのではないだろうか。
受験という人生の大きな転換点さえも利用して秘密裏に実行に移してしまった娘の計画を知り、動揺したであろうことは想像に難くない。
「うん、そう。今日はこっちに泊めてくから、安心して? 明日は天音と一緒に行けばさ……ねっ、そうよね」
話したいことが多すぎるのか、早苗も秋穂もやけに盛り上がっていた。べつに立ち聞きしたいわけではないので、天音はすたすたと早苗の前を抜けていく。
細かい内容まではわからなかったが、しきりに「よかったね、本当に」と言っていたのは聞こえた。
『~~~~!』
(ん……?)
天音がなんとなくリビングの方を見やると、テレビがついていた。
いつもよりだいぶ音が大きい。普段は天音が嫌がることを知っているため、早苗もボリュームを落とし気味にして見ている。恐らくはさっきまで夏希が見ていたのだろう。
何の気なしに画面の方へと近づくと、バラエティ番組がやっていて、ちょうどカメラが切り替わり、そこにトマトメイトの二人が映し出された。
(あっ……)
ひな壇の前の方に座って、MCとやりとりしながらスタジオを沸かせている。
もはやお茶の間には馴染みの光景なのかもしれない。しかし天音にとっては画面越しに父親の姿をちゃんと見るのが久しぶりすぎて新鮮で、今のトマトメイトってこんな感じなんだと、少し興味が湧いた。
今までは、「私がみんなにイジられるのはこれのせいだ」と敵視していたテレビ番組。天音は内心ドキドキしながらソファに座り、その様子をまじまじと眺めてみる。
イサオが喋り、ノリフミが喋り、スタジオやゲストから笑い声が上がる。
楽しそうにしている父親たちが画面に映り、スタジオが沸くたびに、天音の心は少しだけ揺れ動いた。
芸人になりたいなどという夏希の夢は、やっぱりまだ天音には手が届かないほど遠いもののように感じる。自分には人を笑わせることなんて、できないだろうから。
そんな難しいことを、父親は毎日当たり前のようにこなしている。家に疲れて帰ってくるときはあんなに大人しいのに、画面の中のイサオはものすごくアクティブだ。
自分にスイッチを入れ、しっかりと声を出して。渾身のボケエピソードを披露して、ノリフミにツッコまれては、笑いをとりまくっている。
父親がこんな仕事についてさえいなければ、という気持ちはやっぱり今でも自分の胸に根強く染みついてしまっている。けれどこの仕事は、誰にでもできるものじゃない。
自分の父親は、本当にすごい人なのかもしれない。煌々と輝くテレビの光を顔に浴びながら、天音はほんの少しだけそう思った。
娘のそんな様子を、早苗はやや離れたところから目を細めて見ていた。
*
夜。就寝するにはいつもよりやや浅い時間だったが、今日一日の疲れが限界に達していたし、遠い学校を選んだせいで朝も早めに出なければいけないので、早々に身体を休めることにした。
天音のベッドの隣に予備の布団が来客用として敷かれている。天音たちの入浴中に早苗が用意していたものだ。
寝るために髪を下ろした夏希の姿がなんだか懐かしい。さっきまでは、見慣れたあの頃と同じ髪型で……
(……えっ?)
枕元に置かれた翌日の着替え、その上にちょこんと乗せられているリボンには見覚えがあった。
経年劣化で色は褪せ、くたくたに縒れてしまっているリボン。それは幼いころ、天音と夏希が親に連れて行ってもらったショッピングモールで、「夏希に似合いそう」といって天音が選んであげたものだ。
そういえば髪型も、幼少期の天音が親に教わりながら夏希に施したものと似ていた。
髪が伸びていたり、夏希なりのアレンジが入ったりしていたが、夏希はどうもあの頃天音が作ってあげた髪型を今も続けているようだった。
「……そのリボン、まだ使ってたんだ」
「そうだよっ。あま姉にもらった大切なものだから」
「なんで……もうそんなボロボロじゃん。変えなよいい加減」
「だめっ! ウチとあま姉の繋がりなの!」
「……」
ぴょこんと近づいて愛しそうにリボンを撫でる夏希。天音としては嬉しいよりも申し訳ないが勝つ。自分の何気ない行動によって、思いがけず夏希を縛ってしまっていたような、そんな気分に襲われる。
けれど、そんなにも自分のことを想っていてくれたのかという愛情のようなものも同時に伝わってきて、恥ずかしいというか、もどかしいというか、今すぐベッドに飛び込んでぐしゃぐしゃ泳ぎたいような変な気持ちになった。
夏希の傍に置かれたケータイが振動し、折りたたまれたそれをチャッと開く。夏希は先ほどからカコカコと手慣れた手つきで何かを打っては閉じていた。
「メール?」
「うん、エイミーから」
「あ……」
「実は……あま姉が怒っちゃってから、エイミーが凄く不安そうにしてて。あま姉に嫌われちゃったら、もう生きていけないって泣いちゃってさ」
「……」
「全部ちゃんと片づけてくるって、説得してから急いでこっちに来たの。あっ、エイミーのこと嫌いにならないであげてね! 今回のことは本当に全部ウチが持ち出したことで、エイミーはそれを手伝ってくれてただけだからっ!」
「……大丈夫だよ。なんとなくは、わかってるつもりだから」
トマトメイトの大ファンであるお嬢様、可愛川絵美。
自分が入学した先に、あの大好きなトマトメイトの娘たちが二人とも揃っていて、しかもその片割れが娘同士でコンビを組みたいなどと計画していることを知れば、絵美は全身全霊でもってその夢の成就のために協力を願い出るであろうということは、少し顔を合わせただけの天音でも雰囲気から察せる。
「エイミーもね、あま姉とお友達になりたいだけなの」
「……」
「あま姉が来るまでの一週間、どんな子なんだろうって、ずっと楽しみにしてたんだよ。今日もちらっとあま姉が来てることを確認したときは、『可愛い可愛い!』って大はしゃぎで。『バレちゃうでしょうが!』って、大人しくさせるの大変だったんだから」
けらけらと笑う夏希に、天音の頬も少しだけほころぶ。
明日もし会ったら、絵美にも謝らないといけない。強引な手であれこれとかき回されてしまったが、悪い子ではないのだろうということは天音にもわかる。
「もう明日も早いから……電気、消すけど」
「んー」
ぱちりと部屋の電気を消し、夏希のことを踏まないように気を付けながら自分のベッドにのそのそと乗った。
柔らかく沈みゆくマットレスとシーツの肌触りが気持ちよく、それだけで一気に眠気が襲ってきたような気がした。
仰向けになって枕を頭に乗せ、大きく深呼吸する。身体の芯の部分が底の方にゆっくり落ちていくような感覚に、ああこれはすぐに寝られそうだと確信する。今日は本当に疲れた。もう起き上がる気力もない。
すぐそばにいる夏希がもそもそと動く音が聞こえる。自分の部屋に誰かを泊めるなんて、それこそ幼稚園に一緒に通っていた頃の夏希以来だろう。
相手が気になって眠れないのではないかと少し心配していたが、疲労感のおかげで杞憂に終わってくれそうだった。目を閉じればすぐにでも夢の世界へ行けそうだ。
パタンとケータイを閉じる音がして、またもそもそと布団が動く音がした。夏希も大人しく寝る準備に入ったようだ。
自分もこの春に高校入学祝いということで念願のケータイを買ってもらったが、まだ家族以外の連絡先は登録されていない。友人第一号として登録されるのは誰になるだろうか。
夏希とのアドレス交換は……したいような、ちょっと遠慮したいような。ひっきりなしにメールが届きそうで、大変な気もする。
でも、まあ、それも楽しいのかもしれない。
これから待ち受ける予測不能な女子高生ライフのことを思い浮かべて、天音はまた大きく一呼吸ついた。
部屋の中がしんと静まり返る。ドアの向こうからは早苗が立てる物音がほんのわずかに聞こえてくる。
早苗は専業主婦だが、天音と同じような時間に寝ることもあれば、収録を終えて遅い時間に帰ってくるイサオを迎えるために待っていることもある。
今夜は後者なのかもしれない。まどろみゆく頭の中でなんとなくそんなことを思ったとき、
もそり、と。
(えっ)
何かが動いて、そして自分のベッドがほんの少し揺れた。
感じたことのない感覚に違和感をおぼえ、ハッと目を開ける天音。
真っ暗な部屋の中、おそるおそる夏希の方を見ると……
夏希が床に膝立ちになって、天音のベッドに手を乗せ、こちらをまじまじと見つめていた。
「なっ、なに……?」
「……」
目蓋を閉じていたおかげで目は闇に慣れていたため、うっすらと夏希の顔を確認することはできた。
まるまるとした大きな瞳がこちらを見つめている。その表情は何やら真剣そうで、どこか優しげで。
そして、
「……」
「ひっ!?」
そのまま、ベッドについた手をさらに深くしずみ込ませて足を上げ、のしっと天音のベッドの上に身体を乗せてきた。
「ちょっ、ちょっと!?」
「……」
あわあわと起きて後ずさりする天音。しかしすぐに部屋の壁に背中がぶつかってしまい、それ以上後ろに退けなくなる。
夏希は無言のまま天音に接近し、ベッドの上を這うようにじりじりと距離をつめる。
天音の脚に夏希のすべすべの素足が触れる。
太もものすぐそばに夏希の膝が沈み込む。
またがるように、覆いかぶさるように天音の肢体に自分の身体を重ねていく。
天音はもうパニックだった。
(なに!? なんなの!?)
夏希の目があまりにも真剣で、まっすぐにこちらを捉えていて、何を考えているかわからない。
整った顔が急接近する。天音は完全に壁際に追い込まれる。
夏希の髪の香りがふわっと漂ってきて、胸の鼓動がどんどん早まっていく。
どうしたんだろう。何をするつもりなんだろう。夏希の意図がわからず、ごくりと唾を飲み込む。
ひょっとして、何かとんでもないことをカミングアウトしようとしているのだろうか。
もしかしたら、自分は女の子しか愛せないとか、そういうことを言い出すのだろうか。
本当はお笑いとか相方とかそんなの関係なくて、ただ私のことが好きでここまで来たとか言うつもりだろうか。
好きで好きで仕方なくて、頭がどうにかなっちゃいそうで、そんな気持ちを落ち着けるにはこうするしかないと思って、こうやって迫ってきているのだろうか。
夏希の突飛な行動に、天音の妄想は急激に膨れ上がって、目の奥がぐるぐるしてくる。
夏希の顔が天音の顔にどんどん近づく。発せられる体温を頬に感じられるほどにまで接近し、あともう少し動けば触れ合ってしまうようなところにまで迫る。
天音はもうまともに声を出すこともできない。
真っ赤になってしまった顔で、呼吸さえも忘れて、吸い込まれるように夏希の真剣な眼差しに目を奪われている。
「なつ、き……?」
夏希のしなやかな重みを、熱い体温を、甘い香りを全身で感じる。
唇と唇が、触れ合ってしまいそうな距離にまで接近する。
天音は、もうだめだと思ってゆっくりと目を閉じた。
強張ってしまった身体から力を抜き、何かを受け入れる準備をした。
そして、
「あま姉」
「ぇ……」
「一緒に、天下とろっ」
(……は?)
「ウチが相方でよかったって、絶対思わせるからね……!」
希望に満ち溢れた笑顔で、夏希はそう言った。
何かに満足したのか、もそもそと自分の布団に戻っていこうとする夏希と、唖然とする天音。
言葉の意味がわからない。行動の一部始終の意味がわからない。
ただ緊張状態にあった自分が、何かを覚悟して唇をほころばせかけたのに、何にもされなかったことへの落胆というか、安堵というか、困惑というかで茫然自失とするしかなかった。
夏希は、自分たちがお笑いコンビとして大成すると信じているようだった。
カッコつけるために、急に変なことを言ったのだ。
一歩ずつだって言ってるのに、全然聞いちゃいない。もうほとんどコンビを結成した気になっている。
ドラマチックな演出が好きで、くさいセリフを恥ずかしげもなく言うのが好きで、思いついたらやらないと気が済まない。
それが、楢崎夏希だった。
夏希は「おやすみー!」と明るい声で言うと、満足そうに布団に身体をすべりこませた。
再び無音に包まれる室内。
天音はまだ先ほどの体勢のまま固まっている。
ドキドキと高鳴っていた胸が少しずつ落ち着いていくと、そのドキドキが占めていた部分に急激に満ちていくように、呆れのような、怒りのような感情がむずむずと膨れ上がっていった。
「~~~~っ!」
天音はばっとベッドを飛び下りて、すぐそこで寝ている夏希の身体を小突く。
「ばかっ!!」
もすっ、と布団の上からひっぱたいて、逃げるように自分のベッドの上に戻り、すべてを忘れたくてぎゅっと目を閉じた。
夏希は、嬉しそうに笑っていた。
*
「おかえりなさい」
「あれっ、起きてた?」
「そろそろ終わると思ってたから。特番の収録」
「そっ。ちょっと押したけど、まあ、終わった」
「ねえ、夏希ちゃん来てるよ?」
「えっ!?」
「うふふ……色々聞いちゃった」
「……え、今いるの?」
「うん。もう寝ちゃった。天音と一緒に」
「へぇ……」
「いろいろ教えてあげたんだってね。夏希ちゃんに」
「……ああ」
「パパ、天音の学校名とかちゃんと覚えてるのかな~って思ってたのに」
「覚えてるよ、そんくらいは」
「学校のパンフレットがなくなっちゃった~と思ったら、次の日に普通に出てきたことがあったのも、思い出した。パパが持ち出してたのね」
「……お礼だよ」
「お礼?」
「オレもほら、最初はコンビ組みたいって、楢崎の親父さんたちに無理言ったから」
「あっ……」
「就職考えてたアイツの家行って、何回も説得して……メチャクチャ怒られたけど、なんとか許してもらって」
「そうなんだっけ……」
「夏希ちゃん見てたら……その時のこと思い出してさ。夏希ちゃん、真剣だったなぁ」
「うふふっ」
「天音は……? 怒ったりしなかった?」
「してたわよ~。あんなに怒ってる天音は初めて見たって言うくらいね」
「げっ」
「ふふっ……パパにじゃなくて、夏希ちゃんによ。今日だけでもいっぱいケンカしちゃったみたいだけど、でももう仲直りできたっぽいから」
「……そっか」
「これからまたお友達に戻って、明日も、一緒に学校行くんだって」
「……ああ、よかった」
「ねえ……二人は、芸人になれると思う?」
「どうかな……」
「まあ、なったら、面白いよな」
「……そうね」
――秋本家、とある夫婦の会話。




