星69 双子の育てる木
森の中で出会ったエルドとレシアはとても良い兄弟だった。
身元の分からないステラ達に親切にしてくれて、家に置いてくれたのだから。
双子が過ごす家に大人はいない。
二人は、子供だけで暮らしていたと言う。
だが、ステラ達が思っているほど苦労はなさそうだった。
どれくらい過去の時代に飛ばされてしまったのかは知らないが。
畑を作って、小さな村々と物々交換したりするぐらいで、二人の生活は成り立っていたらしい。
不便は思ったほどは無かった。だが、ステラ達は無視できない問題に直面していた。
数日が経ったが、帰る方法が見つからないのだ。
庭に植えられた小さな木に水を上げているレシアに話しかける。
ステラ「ねぇ、その木って凄く不思議な感じがするわね」
小さな苗木なのだが、見ていると心が不思議と安らぐような気がするのだ。
レシア「わあ、ステラさん。守り手でもないのにこの子の事が分かるんですか?」
レシアは子供らしく喜んで笑顔になるが、ステラは別の所が気になった。
ステラ「守り手って?」
レシア「この森の主である大樹様から、苗木の育て役を命じられた人の事です。大樹様は凄いんですよ。人と同じように喋ったり考えたりする事が出来るんです」
レシア「そうなの、凄いわね」
それ本当?
と聞きそうになったが、やめておいた。
過去の世界にまで来れるくらいなのだ。そういう存在が本当にいるのかもしれないし、相手が大人ならともかく子供にまでそういう事を気にして話をしたくはない。
レシア「千年後か二千年後か、一億年後か、世界に災いが起きた時の為に自分の分身を残しておくんですって」
ステラ「そう。自分が生きてないのに、そんな未来の為に頑張ってるのね」
レシア「だって、関係ないからって何もしないでいるのは、寂しいじゃないですか」
ステラ「それもそうね」
気が合う事にステラも同意見だった。
未来に生きる人の事なんて、究極的には自分には何の関係もない。
けど、そんな風に割り切ってしまうのは、とても寂しい事だと思えた。
人は誰も一人では生きていけない。
それと同じくらいに、その時代だけで人々は生きてはいけないのだから。
皆、誰もが関係しあって命を繋いでいる。
ステラ「立派に育つと良いわね」
もし、元の時代に戻れたら、その木を探しに行ってみるのもいいかもしれないとそう思った。




