星65 墓守
姿を見せたヨシュアはまず謝る。
ヨシュア「ごめんなさい、姉様」
ステラ「どうして謝るの」
そして弟だと思っていた人物から、思いもよらない内容の言葉を告げられた。
ヨシュア「実は僕、本当は姉様の弟じゃないんです」
ステラ「えっ?」
そんなはずはない。
ステラはそう思う。
だって、ヨシュアは王族で、ステラの弟で短い期間ながらもずっと共に過ごしてきたではないか。
そう思うのだが、ヨシュアは悲しげな表情で話を続ける。
ヨシュア「僕は墓守の、ジオ・スタンダード。勇者の墓を守るためにこの場所に住み着いた、人間と同等の知能を持った精霊なんです」
ステラ「ヨシュアが精霊」
明かされた内容に驚く。
だって、どこからどう見てもヨシュアは人間にしか見えなかったからだ。
ジオ「姉様達は知らない事でしょうけど、精霊は、魔物も元は人間だったんです。その昔、一つの木を巡る争いが起きてその時に色々あって、その時に別れた」
ステラ「え……」
そんな事を急に言われても理解が追いつかない。
精霊が人間だったなんて、いくら調べてもそんな内容は出てこなかったのに。
ヨシュアは一体何者なのだろう。
ジオ「精霊である僕は百年前に勇者様に出会い、彼が亡くなった後その墓が誰にも見つからないようにしていたんです。それを、ヨルダンに見つかってしまって、墓を荒らされたくなかったら協力しろといわれていたんですよ」
ステラ「でも、じゃあ私の弟のヨシュアは……」
質問に、ヨシュアの姿をする精霊は暗い顔をする。
ジオ「本物のヨシュアは生まれてきてすぐ、王族たちの影の争いに巻き込まれて……」
ステラ「そんな」
つまり、もうずっと前に亡くなっていたと言う事だ。
目の前にいるヨシュア……いや、ジオは沈痛な面持ちだ。
ジオ「僕はその穴を埋める様に、ヨシュアに成り代わったんです。王宮の特務騎士になって、騎士達の活動から墓の場所を探られないようにする為に」
ステラ「……」
彼は彼なりの利があって、今の立場にいる。
ヨシュアの顔をしたジオはこちらへと謝った。
ジオ「ごめんなさい」
ステラ「……いえ、大丈夫よ。こっちこそ、ごめんなさい。色々と考えたい事はある、混乱してる事も。でもこれだけは確かだから言わせてちょうだい」
頭の中が混乱してて、簡単には整理なんてつかない状態だ。
だって、長年そうだと思って接してきた人が実はそうではなかったのだから、驚くなという方がおかしい。
でも、だけど。
それでも確かで揺るがないものはあるのだ。
ステラ「ヨシュアは……いいえ貴方はやっぱり私の弟よ。それはどんな事になっても変わらないわ」
ステラ「姉様、ありがとうございます」
弟らしい、女性にも見える様な顔を柔和に動かして、笑みを作ったヨシュア。
その体は淡い光に包まれて、形を変えていった。
ヨシュアとは似ても似つかない姿。
けれど、どこかそっくりな人間の姿だった。
そして、そこに……。
ヨルダン「茶番は済んだか」
こんな所にステラ達が集まる原因となった張本人がやって来る。




