星63 再びの遺跡
ツェルト達に頼んで、再び王都の周囲にある森へ向かった。
そこには、シェリカやエルルカも一緒だ。
精霊の気配を辿って、再びあの遺跡へと向かう為だ。
人数はできるだけ少なくと思ったが、どうしても彼女達の力が必要だった。
そんなわけを口にして話せば、水臭いと言われたが。
シェリカ「こっちよ。付いてきて」
エルルカ「私はそんな風にはっきりと分からないのに、やっぱり姉さんは……」
シェリカ「エルルカ?」
エルルカ「何でもない」
やがて、ツヴァイとやってきた時のような泉を発見。
その近くを歩いてみれば、洞窟を見つける事が出来た。
ここから先は気を引き締めていかなければ。
一度見た遺跡の中を再度歩いてくと、以前は見なかったものを見つけた。
死者の骸。
外套をはおった骨だけとなってしまった死者が、剣を抱いたまま、壁に背を向ける様にして座り込んでいたのだ。
ステラ「これ、前には見なかったわね……でも」
周囲にある埃の積もりぐらいからして、ずいぶん長い間動かしていないように見えた。
けれど、当然目立つそんな物が置いてあったのなら、以前来た時に気づいたはずだった。
ステラ「かなり強力な精霊魔法がかけられているわね。認識阻害の魔法。生者から己の存在を認知できなくさせる類いだわ」
ステラはその死者に近づいていく。
ニオ「ちょ、ステラちゃん」
ライド「よしなって剣士ちゃん、何があるのか分からないだろ」
ツェルト「ほんとだぜ、俺のステラに何かあったら……」
何故だが、胸が詰まって悲しくなってきそそうだった。
ステラ「終わったら、ちゃんと埋葬してあげなくちゃいけないわね」
そう思い、剣を抱いたその手に触れると、剣が幻の様に消えてなくなってしまった。
まるでステラの体の中に吸収されるかの様な。
温かい力の様な物の気配を感じた。
ステラ「え、今のは……」
シェリカ「驚いたわ」
ステラ「シェリカ、何か知ってるの?」
シェリカ「これは勇者の剣よ。貴方は勇者の座を継承したんだわ」
ステラ「え、じゃあこの人って……」
シェリカ「ええ、勇者。残念だけれど」
シェリカの話からいる事は分かっていたが、もう死んでしまっていたなんて。
顔も名前も知らない人なのに、何故か無性に悲しくなった。
もしかしたら、ヨルダンの事を止めるためにここに来て、戦いを挑んで負けたのかもしれない。
そうだとしたら、ステラ達は戦うわけにはいかなくなる。
自分一人なら、ツヴァイが心配だと言って無茶をしていたかもしれないが、他の者達まで巻き込むわけにはいかない。
勝てない戦いに無茶をして挑むわけにはいかないのだ。
シェリカ「行きましょう」
ステラ「シェリカ?」
シェリカ「あと、ほんの少しだけ進んで考えればいい。気になるんでしょう、あの人の事が」
ステラ「それはそうだけど、でもだったら……」
エルルカ達だけでも引き返すべきだとそう言おうとするのだが。
シェリカ「私達は一蓮托生。ここまで来たのなら、引き返すより、進んだ方がいい。本当に危なそうだったら、その時考えれば良いわ」
ステラ「……ちょっとそういう考え方、うらやましいわね」
シェリカらしい簡潔な考え方だと思う。
ステラは彼女程、思い切りよくはなれそうにない。




