星59 恋よりもまず剣
そんなこんなで色々あってステラが途中棄権してしまったニオからの相談の件だが、なんやかんや言って無事上手く告白は成功したらしい。
ツヴァイのやり取りをニオが上手くまとめて要約したらしい。
ステラが猛烈に理不尽な目に遭ったかいもある。
それはとても喜ばしい事だ。
事なのだが。
あれ以来ステラは自分の感情がさっぱり分からなくなってしまった。
何かもやもやする。
無視してはいけない問題を抱えているような気がするが、それが何なのか分からない。
ステラ「あぁ、もう。何なのかしらこれって」
気になる。
気になって、勉強が身につかない。
ツェルト「何かステラが分かりやすい感じで唸ってる。悩んでる! すっごいレアだな。そんなレアなステラも、珍しくて良いな!」
ちなみにツェルトはあの告白の問題の時、何かの誤解をしていたらしいが、ツヴァイとやりあって色々と解決したらしい。
何がなのかはステラには教えてはくれないままだが。
ライド曰く「聞いてやるな、可哀想になる」という事だし。
ツェルト「悩みだったら俺聞くぜ!」
ステラ「ツェルト、しばらく静かにしていてもらえないかしら」
ツェルト「戦力外!」
ツェルトの発言はすでにどこか彼方だ。
ひっかかる。
何かがひっかかる。
ステラ「恋をするとドキドキするって話だったけど、でもそれってびっくりさせられた時もそうなのよね。分からないわ。でもそれとも違う感じがするのよ」
ツェルト「こ、恋! ステラが恋。そんな嘘だろ。どこの誰だよ。言ってくれ、ちょっとこの世から消してくるから」
ツェルト煩い。
ステラ「ねぇ、ツェルト」
ツェルト「な、何だステラ!」
ステラ「ちょっと私を口説いて見せて」
ツェルト「そんなことなら、ってええっ! なにこれ、どういう事だよ。何が起こってるんだ。ステラが、まさかいやでも、もしかして相手は俺だったってオチか!?」
ステラ「あ、悩みの相手はツェルトじゃないわ」
ツェルト「そこだけはっきり否定された! ……、うぐぐ相手はどこの誰だよ一体! 先生じゃないんだよな。だったら他に誰がいるんだよ!?」
言わない。言ったら何か面倒な事になりそうな気がするし。
いや、素直に教えた方が良いだろうか。
何にひっかかるのか分からないから、判断がつかない。
ステラ「ツェルトが嫌なら他の人に頼もうかしら」
ツェルト「それは駄目だ! そんな事したらあっちこっちで大変な事になるからダメだ何このステラ、無自覚すぎて超怖い。あと小悪魔すぎる。これ絶対無自覚に気のある男子振り回しちゃうタイプだ。それ俺だっ!」
他に人に頼もうと思たが、それはまずい事らしい。
ステラには、どこが駄目なのかいまいち分からないが。
いちいちツェルトは興奮気味に何かのリアクションを取っているが、ちょっと大丈夫だろうか。普通?
ツェルト「誰かにとられるくらいなら、そんな事になるくらいなら、いっそ俺が! ステラ好きだ、超好き!」
ステラ「ええ、ありがとう。私もツェルトの事は好きよ」
ツェルト「あ、これ友達へのありがとうだ。泣けてきた」
普通だ。
しくしく泣いてるツェルトを放っておいて考えるが、とくにドキドキしたりはしない。
どちらかと言うと秘密を打ち明けられた事の方が嬉しかった。
まるで、背負った人生のほんの一部を見せてもらえたようで。
ステラでも、もっと他に力になれるのではないかと……、そんな勇気を。
ステラ「力になりたかった? 先生は十分凄いのに?」
そういうあれなのだろうか。
ステラ「……考えても分からない事は一旦保留にするしかなさそうね。頭の隅にでも置いておきましょう、それより、授業後の剣の訓練どうしようかしら、今日は訓練室空いてないのよね。困ったわ」
離れたところでそんな様子を見ていたらしいニオが何かを呟いている。
ニオ「うーん、恋煩いってそう言ってサっと横に退けられちゃう様なものじゃないと思うよね。やっぱりそれって恋じゃないのかな。ニオ分からなくなってきたよ、むむむ……」




