星57 参考に
職員室に行くと、なぜか少しだけ普段よりやつれた様子の先生がいた。
ツヴァイ「……で、わざわざそんなアホな事聞くために俺の所に来たのかよ。お前、知らない間にずいぶん神経太くなったな」
女子に告白する為の良いセリフを聞きにと、ツヴァイの所まで行ったらそんな風に言われた。
ステラ「神経は細くなったり、太くなったりはしないと思いますけど」
ツヴァイ「そういう意味じゃねぇよ。まあ、でもどうせお前の隣にいる恋愛脳がなんか言い出して、首突っ込んだんだろ」
ステラ「よく分かりますね」
ツヴァイ「俺がどれだけお前の事注意深く観察してる思ってんだ。いつも変な所でヘマする要注意見かけだけ優等生」
ステラ「何ですかそれ、心外です」
そんなやり取りをしている間、ニオは「いつも見てるだってー。きゃー」とか言って盛り上がっている。
よくは分からないが、たぶんニオが思ってるような意味ではないと思う。
ステラ「別に忙しいなら別に良いんです。どうしても先生の力を借りたいってわけじゃないんですし」
とにもかくにも迷惑だと言うのなら仕方がないだろう。
こちらも事情によって詳しい話ができないし、と背中を向けようとするのだが、
ツヴァイ「別に迷惑だなんて思ってねぇよ。他でもないお前からの頼みだからな」
ステラ「……良いんですか?」
背後でニオが「きゃー、ステラちゃんの頼みだからだって、きゃー」とか言っている。
先生は、どこか意地の悪そうな笑みを浮かべてこちらの手をとった。
なぜ、手?
ツヴァイ「ただし、お前らお子様には刺激が強すぎるかもしれねぇな」
ステラ「?」
ツヴァイ「感謝しろよ。ちょうどそういう気分だったからな」
背景でニオが「気分!?」とか驚いている。
ツヴァイ「アイツの事思い出してたら無性に懐かしくなっちまった。いいか、よぉく聞けよ。これからお前に教えてやるのは俺が実際に使った言葉だ」
ステラ「告白……したんですか、先生が? ええと私の目の前にいる先生が?」
ツヴァイ「そこで何で二回言う。そして何で心底驚いたみたいな顔をする。女の一人や二人いるに決まってんだろ、子供じゃねぇんだから」
考えた事も無かったが、確かにいてもおかしくはないのだろう。
先生くらいの歳の男性ならば。
ステラが想像できなかっただけで、いてもおかしくはないのだ。おかしくはない。
ステラ「変な感じ」
ツヴァイ「こんなロクデナシを好く様な物好きがいる事がか?」
ステラ「ううん、私の知らない先生がいるんだなって思って」
当たり前だけど、私と出会う前や再開するまでにいくらでも知らない時間を積み重ねているはずなのに、普段見ない面をみせられるまで、どうして人はその事を忘れているのだろう。
ステラだけが、変なのだろうか。
ツヴァイ「人間なんて、そんなもんだ。自分が見たいものしか目につかねぇように出来てんだよ。都合のいいものとかも、それが当たり前だ」
ステラ「……」




