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星24 特訓



 課題の発表があった後、ステラは学校内にある訓練室にやって来ていた。

 毎日授業終わりにここで剣の練習をしていくのが、最近のステラの日課だった。


 無心になって剣を振ると、心がとても落ち着いてくる。


 だが、数分もしない内に、男子生徒の言葉によって中断してしまう。


?「何だ、誰かと思ったら女じゃねぇか。けっ」


 声をかけて来たのは、赤紫の髪をした男子生徒だった。


ステラ「心外ね、剣を振るのに男も女もないと思うのだけれど」

?「はっ、本気で言ってやがんのかよ。女なんざ、男の足元にも及ばねぇくせに、無駄な剣なんて振ってんじゃねぇよ。邪魔になんだけだ」


 そういう事を言われるのは初めてではない。

 ニオやイリンダなどの女生徒がこの学校に在籍して剣を振るっているとはいう物の、まだまだ騎士として剣を振るっているのは男性の方が多い。


 そういう差別を受けるのは、日常茶飯事、と言う程ではないが、珍しい事ではなかった。


 いつもなら無視するか軽くあしらうところなのだが、その日のステラは機嫌が悪かった。


ステラ「なら、本当にそうなのか試してみればいいじゃない」

?「はっ、女の分際で俺様とやる気かよ」


 剣を向ければ嘲笑するような表情を返される。


 やるだけ無駄、とでも思っていそうな態度だった。

 こちらに対して、まるで身構えようともしない。


?「俺様とやりたけりゃ、平和ボケしてるその頭直してからにしろ。ぬるま湯につかったガキ風情が」

ステラ「なっ、何ですって……」


 さすがにカチンときた。

 売られたケンカに即飛びつくほど単純ではないと自任しているステラだが、そこまで言われては黙っていられない。


 だが無理もない事だと思った。

 先程の言葉は、自分なりに一生懸命剣を振ってやって来た今までの努力を否定されたようなものだったからだ。


 到底許せる事ではない。


 ステラは用意されている木剣を拾い上げて、相手へと投げつけた。


ステラ「拾いなさい。貴方は貴方が見下した女にこれから負かされるのよ」

?「ほぉ、本気か。調子こいてっと、ボロ屑にしてやる」


 さっきの様な物が辺りに満ちるのを感じる。

 男子生徒が、猛獣が浮かべる様な獰猛な笑みを顔に刻みつけて、足元にある木剣を拾おうとするのだが……。


 なぜか、あらぬ方向を向いて、舌打ちをした。


?「ちっ、仕事かよ」


 そして、どこかへと歩き去って言ってしまう。


 仕事、と言ったのなら何か用事でも思い出したのだろうか。


 部屋の入口に生徒会長であるクレイがいて、こちらを見ている。

 そういえば、この学校の生徒会長には、色々なうわさがあるのだったか、角が生えてるとか、人間じゃないとか、元王族とか。

 ステラと被ってる……。


 まあ、一番目、二番目と違って三番目は嘘というわけではないのだが、学校内でその事については触れない方が良いだろう。


ステラ「何かあるの?」

?「テメェには関係ねぇだろ」

ステラ「用事があったのなら、引きとめてしまってごめんなさい」


 相手の都合を考えずに試合を吹っかけるのはさすがに駄目だろう。


 そう思って謝れば、その男子生徒が胡乱気な目つきでこちらに振り返った。


 そして、


レイダス「レイダスだ」


 そう言って去って行った。


 それがその男子生徒の名前だと言う事に気が付いたのは、それから数秒後の事だった。



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