正気の沙汰じゃないような
‥‥‥目の前の空間に 凍てつく様な冷気を生み出し‥‥‥
‥‥‥液体を入れ 両手で包む様に持った瓶の中も 氷点にまで冷やし‥‥‥
‥‥おもむろに顔の前まで持ち上げ‥‥‥
振るっ!!振るっ!!とにかく振るっ!!!……………
……………よ~し完成!柔らか 出来たてバター!!!
まだ酸化してない新鮮なバターって、ミルクの風味がちゃんとして、口の中にサーッと広がって 後口もスッと引いて、クドく残らないから美味しいんだよねぇ~~。
‥‥まぁ、一回の量はちょっぴりしか出来ないけどね。牛乳の脂肪分なんて3.6%くらいだし‥‥
何回かこれを繰り返し、疲れてきたら魔法でガーーっと中を掻き回して、ある程度量を作って………
さ~てこれを使ってアミガサタケを料理しましょっと!何作ってやろうかなぁ~。
と、その前に残った液体をカップに注いでグビグビ‥‥うん、低脂肪乳 バター風味って感じ。
まずは小麦粉にバターを入れて切り混ぜて、さっきのバターの残りの液体を 魔法でキンキンに冷やして入れて‥‥水の代わりにコレ使うとコクが出るんだよねぇ‥‥更に切り混ぜてからキュッとまとめて、一時間ぐらい雪室で寝かせて…………
それから二つに分けて、それぞれローラーで伸ばしちゃ畳み 伸ばしちゃ畳み、生地がだれたら魔法で冷やしつつ、表面がキメ細かくなるまで繰り返し、それからまた雪室で寝かせて‥‥よし、パイ生地はOK。
では、呪いのアイテム‥もとい、アミガサタケに手を付けましょ。
黒っぽいキノコの頭を嗅いでみると‥‥しんねりとした菌類特有の匂いの上に、ナッツっぽい香ばしめな香りと 肉とかイカとかみたいなタンパク質系の香りが相まって、何となく干しイカとかドライササミとか干し貝柱のような‥‥
そこに‥‥レーズン?干し柿?なんかドライフルーツっぽい香りも少しあるかな?
うん、なかなか美味しそう。
縦に真っぷたつにすれば、中は中空、ピーマン張りに すっかすか。
………あっ、カタツムリが住んでた………
同じ様に幾つか割ったらサッと洗って、
品種改良狙いで[成長促進]させていたポロネギを拝借して来て、それを斜め切りしたのと一緒にバターで炒めて塩振って‥‥コショウがあれば使いたかったなぁ‥‥
にしても、なかなかいい匂いするなぁ~。
さてこれを 皿に移して冷まして‥‥‥ ちょっと一個、熱い内に味見してみよっかな? 前世じゃそんなに取れなかったから 一個を細かく刻んでシチューにしちゃって、よく味がわからなかったんだよなぁ‥‥‥
‥‥‥旨!!!!なんだこれ!!味 濃!!!!
ドカンとの旨みが溢れてきて、何故か味にもタンパク質っぽさが!!!!!
なるほどこりゃ高いのも頷けるわ~~!
あと結構香ばしさも強く出るなぁ~。
いやぁ~~出来上がりが楽しみになってきた。
さてもう一回バターを作って、
フライパンで溶かして小麦粉を少しずつ混ぜていって………それから牛乳で溶いていって塩で味を整え‥‥このちょいと固めのホワイトソースをさっき炒めたのと混ぜて冷ましてっと。
パイ生地を四角く伸ばしてフォークで穴開けて、さっきのを乗せて‥‥擦り下ろしたチーズも掛けてみよっかな。
上からパイ生地かぶせて周りを折り返して、フォークで押し付けて閉じて、爆発しない様に上に切れ目を入れて、後はオーブンで焼き上げっ!
アミガサタケのパイ、ほぼ いっちょ上がりっと!!
続きましてアミガサタケとカブ、戻した塩漬け肉をバターで炒めて塩振って、
牛乳と、牛乳の上に溜まってた生クリームに、肉を戻した汁を加えてトロミが付くまで煮込んで、少し塩で味を整えて‥‥返す返すもコショウがあれば………
まぁよし! アミガサダケとカブのミルクスープ完了!!
いや~~面白くなってきた。雪室に確か、生の牛肉残ってたな‥‥
みじん切りにした、たっぷりのアミガサタケをバターで炒めて………くわぁ~~!!強烈な香り!!!
ここにお湯を入れて多少煮込んでおいてっと。
お肉を フライパンで表面焼いて、煮込んだエキスと塩漬け肉の戻し汁を それぞれ少し加えて、蓋して蒸し焼きに………
程良く火が通ったら肉を取り出して、肉汁に水飴少々と 煮込んだみじん切りをエキスごと合わせて煮詰めて、お酢少々と塩で味を整えて……ソース完成!!
さしずめ 牛の蒸し焼きステーキ・アミガサソースってとこかな?
もう一丁!
ナイフで叩いたミンチ肉に、塩と さっきの炒めたみじん切りを残しておいたのと 小麦粉を混ぜ込んで、縦に割ったアミガサダケの内側を濡らして小麦粉打って、肉ダネ詰めて焼き上げ!
ピーマンの肉詰めならぬ、アミガサタケの肉詰めOK!!さっきのアミガサソースを掛けよっと!!!
もひとつオマケに、ごくシンプルなアミガサタケとハルシメジのバター炒めも一皿!! 念の為【毒物鑑定】もしながら…あっアミガサタケにも毒あった‥‥でも予想通り、熱が入っていけば段々毒が減っていくわぁ~
それに毒の減り具合で 火の通りがわかるから、熱の入りの目安になって、ギリギリの焼き加減が目指せるというオマケ付き!
いやぁ~~良いことに気付いたわ~。
………ふ~~い 作りに作ったぁ~~。さてこれらを食卓に…
「おいどうした!?どっか悪いのか!!?」
‥‥あれ‥じいちゃんが妙なことを言ってきたよ‥‥‥
「いや‥いたって健康だよ?何で??」
「あっ、いや………なんか普通のことしかしてないから………」
………………じいちゃん自分の孫を何だと思ってんのさぁ!!!
‥‥‥とは、喉まで出かかったけど言わなかった‥‥‥
考えてみれば思い当たる節が、有るよ~な 無いような‥‥
「しかし物凄いいい匂いだな、流石モリーユ」
「……モリーユ?」
「あっ、そのキノコの名前だぞ?」
へぇ~ そーなんだぁ~。
でも 確かにいい香りだけど、そこまで絶賛する程かなぁ………
‥‥ポク‥‥ポク‥‥ポク‥‥チ~~ン
あっ、日本と西洋の好みの差かな?
「ささっ食べよ食べよっ」
「おぉ」
…………ではではパイにナイフを入れますと‥‥うわっ匂い濃!!!
うわぁ~じいちゃんの顔がみるみる綻んで‥‥作って良かったぁ~~。
早速パクリとやりますと‥‥
‥‥‥ぐおぉぉ‥‥凄っげぇソースに味出てるよ‥‥‥
肉類入ってないのになんちゅうコクだ‥‥
となるとミルクスープなんか‥‥うわっはぁ‥‥濃いぃ~~‥‥‥
そしてミルクとアミガサタケの香りが掛け算になってる‥‥
そのスープを吸ったカブが まった美味い‥‥‥
「いやぁ美味いな。‥‥‥うん美味い」
「ホントだねぇ~」
良かった~じいちゃんも気に入ってくれたみたい。
それじゃあそろそろステーキを‥‥‥ぅわっほ‥バチ当たりそうな美味さだなぁ‥‥肉の旨味を噛みしめているときに、ぐわっとキノコの味と香りが追い越して行く‥‥
恐る々々 肉詰めにも箸を伸ばすと‥‥‥
あ~~ダメだ、こりゃダメだ。
人間がダメになる美味さだぁ~‥‥‥
ではではバター炒めも‥‥
アミガサタケは、ハチノスみたいな傘は少しムニッとしてからザクッと切れる歯触り。もうちょっと瑞々しいと嬉しいんだけどなぁ‥‥
柄の方は、モチッと来てからパツッと切れる。こっちは小気味いい食感だぁ~
そしてやっぱり旨みが濃いぃ~‥‥
ハルシメジの方は、傘はコリコリ!柄はジャッキジャキ!!エノキがぶっとくなったような食感!!!
そして日本人が思いえがくようなキノコの旨味に、ほんのり爽やかな甘み‥‥
これは日本人好きするキノコだわぁ~~~
……………ふぅ~~~食った食ったぁ‥幸せぇ~~………
「いやぁ~ご馳走さまっ ホンット贅沢な思いさせてもらったよ~」
「えへへ‥お粗末さま」
‥‥ほんとに作って良かったなぁ………
さて、アミガサタケの天日干しに掛かりますか……………
……………………
「‥‥だぁ~から‥‥こーゆう大物があるんなら先に言ってくれないと手持ちがないぞ」
「いや、こんな事になるなんて思ってもなかったんだよ。それで、幾らくらいになる?」
今日は、トイヴォネンさんに干したアミガサタケを売ることに。
あの後また取りに行ったら、案の定 黄色っぽいのがボコボコ生えていて、自分でも呆れるような量になった‥‥いったい何キロあるんだか‥‥‥
高いとは聞いているけど、さて如何に。
「金はまた後日になるぞ?……まぁ大体‥今は100g 5500ターラーかな‥‥」
…………小麦の買い取り価格から鑑みるに、多分1ターラーは約1円程度‥‥‥
100g 5500ターラーって‥‥‥
‥‥‥松茸か!!!!!
‥‥‥まさかそこまでとは思わんかったぁ……小売り段階では幾らになるんだか………
‥‥結局、暫くどころか三年くらいは遊んで暮らせるらしいお金の確約と共に、乾燥アミガサタケが水飴なんかと一緒に 荷馬車で揺られて行った‥‥‥
因みに黒っぽいアミガサタケだけだと、100g 6000ターラーになった。分けといて良かったぁ‥‥‥




