86・挨拶。
アイツは仲間の中でも召喚回数の多いヤツだ。
アランさんとどこかで会ったことがあるのか?
ちょっと考え込んだと思ったらアイツは、「あ!」という顔をした。
そのままアランさんの腕を引っ張って皆から少し離れた。
そうしてなにやら二人で話し込んでいた。
アランさんは後でオレ達にも事情を話してくれた。
彼がヤラカシタ事件をアイツが解決したのだと。
その事件のせいでココの世界に強制転移されたのだと。
でもやったヤツを恨んでる訳ではないそうだ。
帰ることができても誰も幸せになれる訳ではないので迷惑でなかったら
ココに居させてほしいと言う。
アイツは家族に伝言を頼まれたそうだ。
まあ、家族だからね。
色々あっても心配くらいはしてるだろうし。
強制転移させたヤツの減刑嘆願も入ってたらしい。
う~ん、ヤラカシタことを反省してるってことなのかな?
アイツによると赤ちゃんの弟が召喚されてソレに巻き込まれたので
弟の代わりに解決をしたんだそうだ。
あー、ナルホド……なんか思い出してきた気がする。
記憶はまだ全部戻ってないけど徐々に思い出せそうだね。
オレが、帰るならココのお世話になった人たちに挨拶してから帰りたい
と言ったら仲間はオッケーしてくれた。
転移でトエイーに戻ってダンさん達に事情説明。
迎えが来たのを喜んでくれた。
彼等はココへの補充の兵士や騎士が来るまで留守番役をすることになったそうだ。
ダートの街に転移。
神官のイージスさんも喜んでくれた。
お別れは寂しいけれど、もしまた来ることがあれば必ず
ココに寄ることを約束させられた。
子供達とも遊んだ。
また来られるかは分からないので元の世界に帰るとは言えなかった。
でもしばらく仕事で遠くまで行くと教えた。
無事を祈ってくれたよ。
リョーさんは神殿長のセイルさんと何やら話し込んでいた。
大人のお話には口出し無用だよね。
領都にも行けるというのでリョーさん達と転移。
ガイ様に事件の詳細な報告をした。
「そうか、お迎えが来たのか。よかったね。
まあ、こちらとしては残念でもあるけどね。
君を専属にしそこねた(笑。)
だが最悪の事態はなんとかなったということになる。
ありがとう」
イージスさんと同じようにまた来ることがあったら必ず寄るようにと
「命令」されてしまった。
「命令」する根拠が分からないんですけど。
オレって専属では雇われてないし護衛の任務は済んじゃったんだし(笑。)
図書館のオクタさんは驚いていた。
お迎えが来たなんて話は図書館の資料の何処にも無いと言う。
そうしてオレの仲間の神官と延々と薬の話をしていた。
どうやらオリジナルの回復薬並のものがココでもできるかどうかに
ついてだったようだ。
なんだかオタクが二人で盛り上がってるって雰囲気でおかしいやら
うんざり(笑)するやらだった。
神殿のギリーさんはお迎えが来たことをご存じだった。
ダートのイージスさんから連絡が来てたんだそうだ。
「よかったですね。
召喚者が帰れたというのは神殿の記録にも見当たりません。
中には戻れた人もいたのかもしれませんが。
ココの世界の勇者のハズだった方まで召喚者だとは驚きました。
彼についてはお告げが神殿長さまに降りているので安心して下さって結構ですよ。
ココの神殿から元の世界に帰って頂くことになりました。
帰ってしまわれるのは寂しいですね。
子供達にも会ってやってください」
うん……遠くにお仕事に行くことにしてお別れを言ったよ。
また来られるならいいんだけどね。
世界が違うから。
最初の街のフロルにも転移してもらった。
師匠のナオミさんにも挨拶をしないといけない。
そうして一つどうしても聞かないとイケナイことがあるんだ。
……元の世界に帰る気があるかどうかを。
いつの間にやら挨拶する人が増えてましたね。
また来るなんてことができるんですかね?
でも皆、コレで永久にサヨナラってことにはしたくなかったのかも……
「命令」までしちゃうんだもんなぁ。
あれ?
クローバー君、リョーさんには聞かなくてもイイのかい?




