84・ロトさんの帰国。
師匠の勇者は神さまからの依頼で邪龍退治をしたらしい。
弟子なオレ達は補助と見学ということで付いて行ったそうだ。
討伐の最後で邪龍は呪いの掛かった自分の魔石を爆発させて
カケラをそこら中に撒き散らした。
師匠は防御できたけど弟子たちは防ぎきれなかった。
その場に残れた者は神官と師匠がカケラを除去して無事。
でも、オレと剣士な勇者は世界にできた穴に落ちたらしい。
剣士はまだ見つかっていないので別な仲間と師匠が探しに行ってるそうだ。
「君はペンダントを外してただろ?
アレは死亡必至の時にだけ作動する帰還用のモノなんだ。
製造者が凝り性でね。
持ち主から離れると発信機が作動するんだよ。
だから世界が特定できたんだ」
あー、確かに。鎖が切れたんだ。
最初の場所で落としたんだけど後で拾ったんだよ。
「ところでこんな大きな森の中で何をしてたんだい?
大分人数も多いみたいだけど」
ソレにはリョーさんが答えてくれた。
魔物や魔獣の増加、街の壊滅、トロールとオーガの出現、オレによる殲滅、
中央遺跡の探査、地下第三階層に居た男。
連中の顔色が変わった気がした。
あの男は言うなれば造られたコピーで本体を捕まえるべく神さまとか
師匠な勇者さん達が動いてるんだそうだ。
指名手配されてるようなものらしい。
もう証拠は隠滅されていても一応師匠には連絡しようということになった。
幸いココは遺跡になっているとはいえ神殿なのでお祈りで
神さまに連絡をとれるそうだ。
聖域は神さまへのコンタクトが取りやすい場所らしい。
魔族のロトさんは探索の結果を一度魔王国に報告している。
一応の解決は付いたので国に帰ることになった。
「まさかあんな邪悪なヤツがこんなところに隠れてたなんて
思いもよらなかったよ。
アレが本体じゃあなくても当分ココには戻ってこないだろう。
しばらくとはいえ安全は確保できたと思う。
君が居たからヤツは攻撃しなかったと言った。
そのオカゲで国に帰れる。仲間もね。
礼を言わせてもらうよ。ありがとう」
彼を捕まえられればホントに安全なんでしょうけど……
彼はリョーさんと話して時々コノ遺跡をチェックすることを
国に提案することにしたそうだ。
オーガにされた魔族たちの遺体は返してあげられなかった。
彼等は〔消去〕しないと誰かに研究されてしまう可能性があるという。
なのでせめてと思って遺髪を渡すことにした。
ロトさんと彼の仲間たちは何も言わなかった。
申し訳ない気持ちにもなったけどオーガにされる人がまた
出ないようにしなければいけない。
ただただ……頭を下げた。
帰りはまた密林に近い『森』を行くというので魔力の矢を使って道を付けた。
仲間な連中が手伝ってくれた。
魔物や魔獣は防げない……
というかむやみに防ぐと環境に影響が出る可能性がある。
鳴子のベルは一応付けて置いたけどね。
ハハハ、鳴りっぱなしかもしれない。
仲間たちはすぐにでも元の世界に帰ろうというけどココには
お世話になった人たちがいる。
せめて挨拶くらいはして帰りたい。
そうして、リョーさんとナオミさん……
元の世界に帰る方法は仲間が持ってきてくれた。
でも、帰る気がまだあるだろうか。
ロトさんを『森』の外まで送って仲間の転移陣で中央遺跡に戻った。
リョーさんは困惑していた。
ココの世界の勇者が土下座してたんだ。
移動手段っていろいろあるけど転移とか瞬間移動が一番ですよね。
お仲間は転移ができますがココでは行ったことのある所か
妨害する物のない空中へ行けるようです。
ロトさん達は人数が多いのでちょっと無理だったようです。
さて、ココの世界の勇者さん……
リョーさんが困るようなお願いっていったいなんですかぁ~。




