79・部屋の主。1
驚いて思わず反応しかけたオレをリョーさんが止めた。
そうしてオレの代わりに質問を始めた。
「この子を知ってるのかね?
できたら詳しいコトを教えてほしいんだが」
『聞きたいのはその子のことだけじゃあないでしょう?
まあ、ココまでたどり着いたんだからご褒美に教えてもいいかな。
なんでもどうぞ(笑。)』
オレについては大したことは知らないそうだ。
名前すらも……
でもオレは最強勇者と呼ばれる男の弟子で師匠の仕事を手伝ってたらしい。
他にも何人か仲間がいてこの男の研究やら遊びやらの妨害をしたんだという。
『まあ、別に恨んじゃあいないから安心したまえ。
今のところ、逃げおおせてるしこれからも捕まるつもりは無いからね』
それにしてはなんだか随分と弱そうです。
街や村の普通の人達と変わらないレベルです。
これだと簡単にココの皆に捕まえられそうなんですけど。
「彼のことはその程度か……残念だね。
彼は記憶を失っているんだよ。何か分かると思ったんだが。
ところでココで何をしてたのか教えてもらえるかね?」
『モチロン研究と遊びですよ。
トロールに言うことを聞かせるのは出来たんで森の中で色々動かしてみたら
魔獣どもが外に逃げ出したりしてね。
まあ、魔王国側へ追い込んでみたりしてたんだよ。
ちょっと魔族にはウラミってやつを持っててね』
「禁忌のオーガを造ったのはなぜかね?
アレが禁忌だって知っててやってたんならそれこそソノ最強勇者殿が
飛んでくるんじゃあないのかね?
この子は無意識状態でもアレを有無を言わさず〔消去〕した。
相当ヤバイ代物なんだと思うんだがね」
『実を言えば自分で造ったのは初めてなんですよ。
理論を書類にしておいたら魔道具が誤作動を起こしてね。
自動でコピーしてアチコチの世界に自動送付しちゃったんだ。
おかげでなかなか楽しい騒動が引き起こされてねぇ。
最強勇者とその友人たちに追いかけまわされるハメになった。
なのでこんなところに隠れてたって訳なんだ』
「なるほど、それで他の子はどうしたか聞いた訳か。
この子が君を探しに来たと思ったんだな。
ところであのガラスの水槽の中の連中は無事なのかね?」
『アレはガラスじゃあ、、、まあ、似たようなモノだけど。
あー、無事ですよ。治療のために入れてあるだけだから。
オーガにした連中はコレに入れてもダメだったんで有効利用のつもりだったんだ。
自作してみたことが無かったしトロールみたいに自在にコントロールが
できるかどうか知りたかったしね』
「コントロールできたのかね?
ウチの領地の街が一つ壊滅したんだが」
『壊滅させろって命令を出したのは魔王国側で人の国じゃあなかったんですよ。
トロールはできてもオーガはなかなかコントロールが上手くいきませんねぇ。
まあ、もう少しすれば何とかなりそうな気もしますけど』
魔族のロトさんは我慢できなくなったようだ。
こんなにノンキな風に後悔のカケラも無く大した事でもない
と話してるんだもんなぁ。
あ! 爆発する!!
全然悪いコトしてるとかって思ってませんね。
でもごく普通に見える〔人〕みたいです。
目立たないとかごく普通な人が実は! って結構ありがちです。
良い方向ならイイんですけどね。
どうもこの方はちょっと方向がオカシイみたいです。
困ったですねぇ。




