69・後始末。
神殿長さんは最近亡くなられたとかでまだ次の方は
決まっていなかったそうだ。
神殿にいたのは百人ほどだった。
順番を決めてもらって自宅や宿の瓦礫を片付けることにした。
アイテムボックスに全部取り込んでボックスの中で選別した。
石でできた部分、木でできた部分、布でできた部分、ガラス、金属、
山のような家財道具……
そうして……遺体。
アイテムボックスは生きてるものは入れられない。
植物は入るけど根と茎が切り離されていないと入らない。
遺体は入る……そうして名前が出て来るんだよ。
遺体のあった場所と誰なのかを記録して墓地に埋葬した。
この街はフロルやダートに比べると小さい。
それでも村よりは大きいので生き残りの人たちの関係してる
場所だけでもかなりの人数だった。
彼等は一時フロルに避難することになった。
5日後にはダートから救援が来るので彼等に護衛してもらって
行ってもらうことになった。
オレが瓦礫の山と遺体の処理をしてる間にアランさんに鳴子の
ベルを造ってもらって街の周辺に設置した。
ちょっとでも生き残りの人たちを安心させたかったんだ。
近くの丘の土を使って城壁の修理もした。
以前のより厚みを持たせたよ。
有効かどうかは分からなかったけど。
街の瓦礫を全部片付けるのに三日かかった。
家は潰れていても保存食糧とか無事なモノもあったので
ソレは生き残りさん達に使ってもらった。
何も無くなってしまった街の一角に選別した瓦礫を入れて置く
倉庫モドキを造ったよ。
もしまたココに人が戻ってきたらコレを有効活用できるかも
しれないからね。
もちろんもうゴミとしか言えないモノも多かったんだけど。
魔法で片付けたとはいえ何もなくなってしまった街は
寒々しい印象になってしまった。
片付けてしまってよかったんだろうか……
神殿長の代理をしていたという神官さんは
「瓦礫になってしまった街を毎日見なければいけないほうが辛いと思います。
見えなくなれば諦めもつくでしょう。もう無いのだと納得できますから。
住民の遺体も丁寧に扱って頂きありがとうございました。
彼等の代わりにお礼申し上げます」
リョーさんは顔には出さなかったがショックは大きかった。
魔獣が出ても大丈夫なように城壁とか守備隊とかを整備して来たんだからね。
領主を孫に譲っているとはいえ彼はココの領地の主だった。
その責任を感じていたのかもしれない。
アランさんの造ってくれた鳴子のベルを『森』の周辺にも設置することにした。
魔獣は退治できていない。
強力すぎるぐらい強力なヤツラだった。
見てはいなくても今まで会った魔獣とはレベルが違うと皆思ったからね。
5日目にダートの救援隊が着いた。
ロブさんが隊長だった。
途中の村にも警報を出してできる者はダートに避難するように
してきてくれたそうだ。
次の日にフロルに向かって皆で避難することになった。
街に残っていた持ち主の居ない財産、まあ金目のモノはオレが
アイテムボックスで運ぶことになった。
商業ギルドの口座に入れて生き残りの人たちの為に使って
もらうことになるだろう。
でも、そう簡単には避難できなかった。
いざ出発しようとしたら鳴子のベルが鳴り出したんだよ。
トロールとオーガが戻って来たんだ!
ココが襲われたのはなぜなんでしょうね。
まあ、魔獣なんで何を考えてるかなんて分かりませんが。
友人は田舎の実家を取り壊したら百万では足りないくらいの
費用がかかったそうです。
古い家でもちゃんとお終いにするにはタダって訳には
いかないみたいです。
全部タダで片付けちゃったクローバー君。
君、やらかしちゃってるのに気が付いてないよね。




