57・お疲れなロブさん。
ギルドにナオミさんからの伝言が入っていた。
ウードからダートに向かうことを知らせておいたんだ。
手紙は着いたらしい。
「作成手順を別便で送ったから自分で作ってみろ!」
だそうだ。
まあ、しばらくはフロルには戻れないからねぇ。
通信教育ってヤツかな? コレって。
この世界には通信の魔道具もあるけど使えるのは各ギルドや各街の役所とかで
一般人にはちょっと遠い存在だね。
商業ギルドに特別料金を払えば使えるんだけど結構高いんだ。
音声じゃなく書類の文面を送るために使われることが多いね。
ファックスが一番近いかな。
リョーさんはココの役人さんに魔獣調査の話を通しに行った。
ガビーさんとソーヤさんがお供。
オレは騎士のロブさんに会いに行く。
ヒマだからとアランさんが付いて来た。
ダンさん達はこの街に知り合いもいるのでお休みを兼ねて街に出かけた。
うん、バラバラだねぇ。
ロブさんは元気だった。でもちょっと疲れ気味な感じだね。
「元気そうでなによりだ。奴隷を買ったなんて豪勢だな。
冒険者の仕事を始めてそんなにたってなかっただろう?」
あー、買ったんじゃあないんです。
まあ、拾ったとでも言うか……救助したと言うか……
「なんなんだ? ハッキリ言えよ」
ということで事情説明。
「ふ~ん、お前が異世界人でコイツも同じか……
あ! コイツも神殿でステータスをみてもらったらどうだ?
ココでのレベルも分かるだろう。
お前みたいに変な文字で出て来るかもしれないがな」
ありがとう。そうしてみます。
ところでなんだか疲れ気味に見えるんですけど。
やっぱり魔獣とか出てるんですか?
「以前は3年から5年に一度くらいだったんだがな。
このところ月一くらいで出てきやがるんだ。
まあ、お前に習った身体強化のおかげで大ケガをするヤツはまだ出ていない。
威力はまだそれほどでもないんだが回復魔法のできる神官が増えてくれたんで
なんとか凌いでるんだ。
領主さまにも兵員の増強をお願いすることになったんだよ」
実はココへは領主さまのご親戚の護衛で来たんです。
一応魔獣の調査の名目になってます。
ご本人は観光旅行なんておっしゃってますけどね。
ココのお役人のところに今日は行かれたのできっとその話を
聞かれてると思いますよ。
領主さまに話が通りやすいかもしれませんね。
「おー! そりゃあ有り難いなぁ。
領主さまも大変だろうとは思うんだがココは『森』に一番近いからなぁ」
やっぱり魔獣が増えたのって『森』のせいだと思いますか?
「まあ、他に原因が考えられないよ。
普通は『森』から魔獣が出て来ることはほとんどない。
魔素は『森』のほうが多いから余程の事が無い限りな。
だからなにか起こってるんじゃあないかと思うんだよ」
サトー領の東側に魔獣の出現が集中してると教えた。
ウードの街やボダの街までも移動しているのを確認したと。
「ココで多少なりとも食い止めていることになるのかな。
オレ達が感知できて逃げられたのは多くなかった。
領主さまから調査が来たのは知ってるんだが実地調査まで
派遣して下さったとはねぇ。
コレで少しはオレ達も楽ができるかな」
ハハハ、気を抜かないでくださいよ。
まだ対策はこれからでしょうしね。
あーそうだ!
オレちょっと回復魔法の腕が上がった気がするんです。
お疲れな皆さんで試してみたいんですけど。
「そりゃあ有り難いな。
イージス達神官に時々やってもらってるんだがタダって訳にもいかなくてな。
タダでいいならお試しでもなんでもいいぞ」
ハハハ、タダじゃあイージス神官に怒られますよ。
昼飯をごちそうしてください。
ココの兵舎のでもイイですよ。
……甘かった……
兵士さんと騎士さんのほとんどにかけるハメになっちゃった。
まあ、それだけ皆さんの疲れが溜まってたってことだね。
魔力の底が見えたのは久しぶりだねぇ。
兵舎のご飯は意外と美味しかった。栄養バランスもいい。
ちゃんとソレナリの待遇なんだね。
ココが『森』に近いことも関係してるのかもしれない。
でも、現場の人は大変なんだって分かったね。
さて、午後からは神殿に行ってみよう。
イージス神官ならオレの「何か」が分かるかもしれないからね。
お昼ごはんを奢るだけで騎士も兵士もほとんど全員
回復魔法を掛けてもらうだなんてなーんて美味しいんでしょうねぇ。
クローバー君は友達には盛大な好意を示します。
本人が負担にあまり思ってないからでもあるんでしょうが
ソコにつけ込もうと思う人って寄ってこないんですかね?
まあ、居てもそれこそ「お友達」なロブさんみたいなひとが
<オハナシ>するんでしょうけどね。




