46・効き目。
サトーさんはベッドに入ったままと言う事になってるそうだ。
じゃあ目の前のこの人は?
「このとうり別人みたいになっちゃったんでね。
困ってると言えば困ってる。
助かったと言えば助かったんだが……」
一体何がどーなってるんでしょう?
「君がダン……だったよね?
あの冒険者に届けさせてくれたアノ薬のセットだよ。アレの所為だよ。
最初は回復薬を使ってみたんだ。並の物より効きすぎた。
久しぶりにベッドから離れた生活ができるようになった。
魔力の回復薬は若い頃の最大値まで魔力を回復させたよ。
エリクサーは止めとくべきだったよ。
でも好奇心が止められなくてね。
この通り変身したかと思うほど劇的に効いてしまった。
でも、別人と言うよりは若い頃の私に戻った感じなんだよ。
まあ、この状態がどこまで続くかも分からなくてね。
今の私は親族が遊びに来たことになってるんだよ」
えーと、エリクサーって……
体力と魔力と状態異常を治すだけかと思ってたんですが。
サトーさんはどう見ても若返っている。
ベットから出ることも困難だったはずなのに。
狼狽えているうちにガイ様が帰って来られた。
当然、怒られると思ったのだけれど。
「おかげでお元気なお祖父さまに戻られて嬉しいよ。
ちょっと薬が効きすぎた感じは否めないんだが。
いつまでアノ薬が効いていてくれるか分からないし……ね。
ただ、若返りの薬なんてものはちょっと刺激的すぎるんだ。
効果が一時的なものだったとしてもね。
君は造り方なんて知らないんだろう?」
魔力が凝縮されているという印象は受けるんですけど。
原料も分かりませんし……
すみませんでした。
状態異常を治すことは分かってたのでサトーさんの症状を
緩和できるかもと思ったんです。
「うん、君が善意で贈ってくれたことは分かってる。
だが、そういうものが存在すると分かってしまうとね、
危険を呼び込むことになりかねないと思う。
なのでこのことは内密ということでいいかな?」
勿論です。
混乱や危険を引き起こしたい訳じゃあありません。
回復薬とエリクサーはまだありますが暫く封印ですね。
「回復薬は効き目が強かったが上級薬ということにすれば
使っても目立たないだろう。
もう少し分けてもらえないかな?
専門家に分析と再現製造をさせてるんだよ。
あればサンプルがもう少しほしいと言われてね。
魔物が増えているのは調査で確実になったんだ。
神官が足りない今は効きのいい薬は有り難いからね」
やっぱり増えてるんですか。
来る途中でもリザードの群れに襲われたという商人さんに会いましたよ。
護衛さん達が追い払ったそうですがボロボロにされてました。
フロルの街のナオミさんという方に習った物理ダメージを
軽減する魔道具を分けては置きましたけどまたでたら困りますよね。
出現場所を報告したけどもう情報は上がってきているそうだ。
素早いね。
「追い払えただけでもよかったが退治して置かないとまた他の旅人が
襲われかねないからね。
一応、調査と退治のために騎士と兵士に見には行かせたよ。
通信の魔道具で警報も出したが次の被害報告はまだ来てない。
ところで君が追い払ったのかね?」
いえいえ、僕はすべて済んだ後に行き会っただけです。
回復魔法で治療はしましたがリザードとは戦ってませんよ。
「そうか、彼等はラッキーだったね。
そんな状態のままだと他の魔物でも出たら全滅しかねない。
回復薬も潤沢とは言えないからね」
サトーさんにナオミさんの事を聞かれた。
彼女は旅の仲間だったので元気だったのが嬉しいらしい。
ご家族がこの街に住んでいて手紙を頼まれたことを話した。
どうやらソレは知らなかったようだ。
ご主人の実家から動きたくないようだと言うとうんうんと頷いていた。
「アレの旦那も仲間だったんだよ。
無口な男だったが腕と性格はよかった。
ナオミさんは昔からあのとうりだったからまあ凸凹コンビな感じがして
見てて楽しかったよ。
ところで君はエリクサーはまだあるかね?
ちょっと頼みがあるんだが」
なんだかやっかいな頼み事なのがサトーさんの笑顔を
見た瞬間に分かってしまった。
う~ん、クローバー君の持ってた薬はココの世界の薬とは
レベルが違ったようです。
若返っちゃうなんてねぇ。
若返ったサトーさんのしたいことってなんなんですかね?
ベッドから動けない生活だったんですから色々ありそうです。
まあ、なんにしてもクローバー君はお供に決定! だね。




