45・花火。
領都までの途中でひっくり返った荷馬車を見つけた。
道から大幅に外れてる。
馬はケガをしてるしやっぱりケガをした護衛さんたちがへたり込んでいた。
魔物が出たんだそうだ。
う~ん、もうちょっと早ければお手伝いができたかも。
でもあの草原に寄ってたもんなぁ。
魔物はリザードで小さいながらも群れだったそうだ。
なんとか追い払ったけど皆キズだらけだった。
端から回復魔法を掛ける。馬にも。
商人さんは無事だけど馬車がいかれてた。
次の村なら直せる人がいるそうだ。
呼んできてもらうのも大変なのでオレのアイテムボックスに
入れて運ぶことにした。
ちなみにこの商人さんはフロルの商業ギルドの会員さんで
話したことはなかったけど顔は見たことある人だった。
馬車が丸ごと入ったので驚かれたけどホントはもっと山ほど入るんだよね。
内緒だけど。
お礼を受け取ってほしいと言われたけどオレは神官じゃあないからねぇ。
次の村で晩ご飯を奢ってもらうことにした。
村の職人さんは優秀だったよ。
一晩で完璧に馬車はもとどうりだった。
商人さんも上機嫌だったね。
無事に領都に着いたので門の前でお別れ。
商人のジンさんに頼まれた商品を配達してカジノへ行く。
ナオミさんからお孫さんに手紙を頼まれてたんだよ。
以前の手紙で引っ越す予定だと書いてあったそうでカジノで聞けば
一発で分かるはず、と言われたんだ。
店員さんに聞いてみようとしたら以前来た時にガチャの機械の
説明をしてくれた人だった。
あー、そんなに顔色をかえなくたって……
遊びに来たんじゃあないんです。
お手紙を届けに来たんですがコレコレの人を知りませんか?
ご本人だった。
弟子入りしたことを教えてココへの仕事のついでに手紙を頼まれたんだと告げた。
「あー、すみません。祖母のお弟子さんですか……
魔法の? ああ、魔道具ですか。
父も孫のオレたちも魔力は大したことはなかったんです。
それで誰も魔道具とか魔法とかできなくて。
ココに一緒に来てほしかったんですがあの通りガンコで。
父も同様なんで余計にね」
ご主人のご実家なんで離れたくないみたいですよね。
「そうなんです。心配なんですけどね。
でもあの通りで……
できるだけ手紙とか書いてはいるんですが」
ひとり暮らしでもナオミさんにはちゃんと心配してくれる家族がいるんだね。
魔法、使えないんですか?
オレ、発動方法を知ってますからちょっとやってみませんか?
はーい、ちゃーんとできましたぁ。
まあ、手品程度だけどね。
できるってのは自信になるみたいで王都のギルドの受付嬢も
スッゴイ喜んでくれたんだよ。
ナオミさんのお孫さんもご同様だったね。
「祖母の魔法はとってもすごくて子供の頃には夜空に花のような火魔法を
打ち上げてくれたりしたんです。
あこがれましたが私にはできませんでした。
ちょっとでもできるって嬉しいですね」
魔法で打ち上げ花火を再現したのか……すごいね。
なので試しに手持ちタイプのオモチャの花火を再現してみた。
お孫さんもやってみたけど線香花火みたいだった。
でもキレイだったよ。
「もうじき彼女のひ孫が産まれるんです。
子供に見せて祖母はもっとすごかったって教えたいですね」
手紙のお礼と魔法の発動のお礼を言われてお別れ。
ガイ様のお屋敷へ向かう。
門番さんはもう顔見知りなのですぐに取り次いでくれた。
でもガイ様はお留守だった。
サトーさんが代わりに会ってくれたんだけど……
えーと、ホントにサトーさん?
まるきりの別人がソコに居た。
花火は好きです。危ないですけどね。
ド派手な打ち上げ花火もいいですが線香花火が好きです。
まあ、アレでもヤケドしたことがありますから油断は禁物なんですけどね。
田舎の花火大会で打ち上げが半分くらいにあがった時に雨が
降りだしたことがありましたよ。
後になって昔は雨乞いの儀式に大きな音を立てることがあったと聞きました。
鐘や太鼓で大きな音を立てると空気が振動して雲の中の雨粒が落ちて来る
というウソかホントか分からない理屈があるんだそうです。
打ち上げ花火の大きな音なら雷様もびっくりして雨を降らせてくれるかもしれません。
花火のご褒美が雨ってのは嬉しくない気もしますけどね。




