40・変顔マスコット。
ダンさんの言う事には指の欠損を治せる神官はこのフロルの街にはいない、
多分この領地にもいないだろうと。
「その薬はあと二本しかない。
お前がソレを持ってると知れたらどんな騒ぎになるか……
だがオレがこのままこの街に居たら指が治ったのがきっとバレるだろう。
そうなる前にしばらくでも街から離れて居ようと思う。
戻って来て指が治っていてもこれは他所で高位の神官に治してもらったんだ
と言い張れるだろう」
すみません、治した後のことまで考えてませんでした。
「気にすんな!
ちょっと仕事で遠くの街まで出かけたと思えばいつものことだ。
指が戻ったからまた護衛の仕事ができるし弟に泣かれなくて済むしな」
でも、そんな高位の神官なんて居るところはそうそう無いですけどねえ。
あ! 領都のブランへ行きませんか?
この前行ったときに領主のガイ様に雇ってもらいました。
紹介状も書けます。
あの街なら他所からの人も多いですから偶然そういう高位の神官さんが
来てたことにできるでしょう。
ガイ様の所にならそういう人が立ち寄ってもおかしくないと思いますからね。
領主さまと聞いてムチャクチャ遠慮されたが手紙を届けてもらうことにして
納得させた。
彼等には薬各種も荷造りしてガイ様に届けてもらおう。
サトーさんに効くものがあるかもしれないから。
アイテムボックスの中は整理してなかった。
訳の分からない妙な道具もあるけど分かるものもある。
すこし整理してみることにしよう。
ダンさん兄弟は三日後に領都に旅立って行った。
高位の神官さんの情報はココの街より領都のほうが有るだろうと言う話を
さりげなく流したりした。
みんなダンさんを心配してくれていた。
指の欠損が治ることをみんなが祈ってくれた。
ホントはもう治ってるのでみんなを騙してる気がしてなんだか心苦しかった。
ダンさんから壊れたあの物理ダメージ軽減効果があったマスコットを
返してもらった。
ちょっと興味がわいちゃったんだよ。
コレでダンさんは助かったんだしね。
ギルドでたむろってる魔術師さんたちにも色々聞いて調べてももらったけど
壊れたものは直せないそうだ。
壊れることで持ち主を守るモノらしい。
「造れるヤツが街の外れに住んでるぜ。
もう死にそうなヤツだから死んでるかもしれないけど。
アイツがもし生きてたら話くらいは聞けるかもしれない。
あー、性格は悪いから気を付けろ」
どうやら一癖ありそうな人みたいです。
なんだか誰かを連想しかけました。
はて? 誰だろう?
ともかく訪ねてみることにしましたよ。
プププ、マスコットみたいな変な顔じゃあないとイイんだけどね。
ダンさん……いい人だなあ。
クローバー君が余計な騒ぎに巻き込まれないためだけに
引っ越ししてくれるなんてねぇ。
アイテムボックスの中っていったいどれくらい広いんですかね。
馬車一台分どころじゃあない容量はありそうです。
薬一式をガイさんのところへ……か。
この薬ももしかしたらココの世界では規格外かもしれません。
エリクサー、出しちゃっていいのかねぇ。
フロルに戻ったらスタート地点とか調べるのかと思ってたんだけど
なんだか変顔のマスコットに引っかかってますね。
アレって変顔でないと効果が無いとかだったら……
ハハハ、ドン引きかも~~。




