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29・吊り橋。

 ココの騎士さんも兵士さんもみんな熱心な生徒だった。

やっぱり魔力の少ない人が多くて魔法は発動できても手品程度だったよ。


回復魔法のできる人が一人だけいた。

この人は魔力の強い人だったので修行しだいで神官になれるかも……

と言ったら驚かれた。


領主さまは神殿の神官さんを呼んで彼の回復魔法を見てもらった。

多少の修行は必要だけれど充分神官になれる素質があるそうだ。


ココの領地でも神官も魔法使いも不足しているそうで

彼は出向みたいな立場で暫く修行することになった。


「戦争で兵士に助けられたことがあるので兵士になったけど

みんなを助けられるんなら神官も悪くないかも」


そう言ってくれたのでなんだか彼の将来を無理矢理変えた感じがして

気が引けてたんだけどちょっとホッとした。


次の日に王都に向けて出発。

王都が近いせいか魔物の気配がほとんどしない。

盗賊めいた集団を時々感知したけどこちらの護衛が多いせいか

襲われはしなかった。


アジトっぽく連中が固まっているところがあったのでガイ様に相談してみた。

「一応知らせておいたほうがイイかもしれない。」

ということで泊めてくれたココの領主さまの元へ使いを出してくれた。


あとでやっぱりソコは盗賊のアジトだったと知らせが来た。

教えた身体強化は充分役に立ったそうでケガ人も少なく済んだそうだ。

今までと同じ人員で戦力を強化できるんだから

〔身体強化〕はやっぱり便利なんだなと思ったね。


王都が見えるところまで来たのに進めなくなってしまった。

川が増水して橋が流されていた。

オレ達の一行の他にも川岸で大勢の人たちが困っていた。

まだ、水は引いていない。

遠くの山に降った雨のせいでの増水なのでココの天気が良くても関係ないそうだ。


さて、どうしたもんだろうね。

岩をつくって橋脚にしてもいいけどやっぱりこの水の勢いだと

組み立ててる間に流されそうだ。

となると吊り橋か……


ガイ様に応急の橋を造ってみたいと言ったら許可してくれた。

責任は取ってくれるとまで言われたから張り切っちゃったね。


まずは魔力の矢に魔力のヒモを付けて向こう岸に飛ばす。

ヒモを伝って魔力を送り込んで土魔法で橋を支える橋台や

ロープを支える主塔を二本立てる。

こちらの岸にも同じモノを造った。


最初のフロルの街で薬草採取の依頼で行った森で面白そうな植物を集めた。

アイテムボックスは生きてる生物は入らないけど

根っこが付いてない植物は生でも入った。

でも、根が無くても木魔法を使うと根は再生する。


ゴムの木に似たツル性の植物を取り出した。


インドにはゴムの木を使った生きてる橋があるそうだ。

十年以上かけて向こう岸まで木を誘導して造るという。

でもココは異世界でオレは木魔法が使える。

魔力のヒモを伝わせて伸ばすのも簡単だ。


橋の幅は三車線ぐらい。

土魔法で少し土を盛ってから舗装してみた。

耐荷重が心配だったから鑑定を掛けたけどこの植物は

丈夫なようで馬車の十台くらいは平気なようだ。


なので土魔法で石板を造って橋のたもとに看板を立てた。

「馬車十台以上は一度には渡らないでください。橋が落ちます。」


試しにオレが渡って、それからカラの馬車。

そして皆が渡った。

川岸で困ってた商人さんや貴族の一行も続いた。

コワゴワながら渡れてほっとしていたみたいだった。


ガイ様は顔見知りらしい貴族さんにお礼を言われていた。


あー、責任取るなんておっしゃってたけどココは多分王都の管轄だろうなぁ。

王族とかから叱られないといいんだけど。

 あー、またやらかしちゃってるよ。

ガイ様もいいのかねぇ、やらせちゃって。


婚約者の元にご令嬢を送り届けるのが遅れるのが

イヤだったんですかねぇ。


クローバー君はインドのことなんか思い出してますね。

妙なムダ知識を持ってますけど思い出したことに

気付いてないみたいなのがご愛敬ってとこですね。


さて王都です。それなりの大都会ってサトーさんが

言ってましたね。

おのぼりさんなクローバー君。

キョロキョロしてると危ないよー。お気を付けてぇー。

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