9・魔獣退治。
商人さんも許可してくれたので魔獣退治に出かけた。
街から馬車で一日の丘陵地だね。
林が点在している。村も。
村はいくつか被害にあってるそうでほとんど避難していた。
索敵をかけてたら大きな魔力が引っ掛かった。
コレだろうな。
ほとんど動いてないのでこちらも警戒しながら休憩。
一緒に来た魔術師さん達に話を聞いてみた。
あんなのはしょっちゅう出てくるんですか?
「あんなのがしょっちゅう出てくるんならオレ達なんぞ生きてらんないよ。
この前出たのは三年前だったよな。
ともかくアンタは駆け出しなんだから無理すんなよ。
ダメだと思ったら下がれ!
もっとダメだと思ったら逃げろ!
命あってのモノダネって言うからな」
あー……ありがとうございます。
なんとか足を引っ張らないように頑張りたいです。
休憩も済んだので散開して魔獣に攻撃することに。
でもこの魔獣黒い霧みたいなのに覆われていて見えない。
結構大きい。
見えないのもなぁ……と思って風魔法で竜巻を作って当ててみた。
骨だな。しかもドラゴンだ。
オマケに混乱の魔法まで使っている。
後から攻撃するはずの騎士さんや兵隊さんたちが攻撃に入ってしまった。
これでは大火力な魔法は使えない。
味方に当たってしまう。
魔術師さん達も色々魔法を掛けてるけどほとんど効果無し。
さすがに光魔法の使える神官までは来てなかった。
デカい骨の塊……なんだかどこかで見た気がする。
何だろう?
でも考えてるヒマは無い。
聖水とか光魔法……だよな。
でもオレは神官じゃあない……はずだけどなんかできそうな気もする……
ダメモトで光魔法をかけてみた。
どんな魔法なのかもわからないけどともかく光属性なら効くかもしれないと
思ったんだ。
効いてくれたけどまだ死んでなかった。
騎士さんたちの混乱は治まったみたいだけどまだフラフラしてる感じだ。
一番近くに居た騎士さんに回復魔法を掛ける。
そうしてアイテムボックスから槍を一本出した。
コレは神官が魔力を込めたヤツだからきっと効くだろう。
騎士さんに渡してトドメを頼んだ。
魔力のこもった槍に驚いていたが引き受けてくれた。
もう一度光魔法を使う。
でもどうも俺では神官並とはいかないようだ。
魔力はもう底が見えた気がする。
でも意識を失うまいと頑張った。
騎士さんはなんとかトドメを刺してくれた。
確認できたのはそこまでだった。
気が付いたら宿に戻っていた。
丸一日意識が戻らなかったそうだ。
骨ドラゴンの討伐は成功した。
あの槍も戻って来た。
魔力は底をついたハズだけど元に戻っていた。
でも気になることもある。
なんで〔神官が魔力を込めた〕って分かったんだ?
どんな奴だったんだろう……神官。
騎士さんがお見舞いにきて礼を言っていった。
コッチもお礼を言った。
馬車は負傷者優先だったので騎士さんが担いで帰ってくれたそうだ。
魔術師さん達も来て駆け出しだと馬鹿にして悪かったと言ってたけど
駆け出しそのものなんですよ、オレ。
ギルドにはオレの情報は無かった。
まあ、骨ドラゴンをやっつけられただけラッキーだよな。
まあ、光魔法が使えてもオレが神官じゃあないのは確実だと思う。
他の魔法よりなんというか使い勝手が悪かった。
アレのせいで魔力が底をついちゃったし。
光魔法が苦手な神官なんていないだろうからね。
相性の良い魔法は魔力が少なくてもそれなりの威力になります。
でも多少適性がある程度だと相性の良い人に比べたら格段に
魔力の消費量が増えてしまいます。
燃費の良い車と悪い車みたいなもんですね。
さて、神官じゃあないと確定したクローバー君。
君って一体何者なのかねぇ。