第二十二話 羞恥心
俺は気持ちは中年、身体は若く不本意ながらも〈吸収〉により〈絶倫〉のレベルもMax。初めこそ愛しさを抱きながら、ディーネと身体を重ねていたものの、何かのスイッチが入った俺は、貪る様にディーネを求め、何度も果てた。
ディーネも、何かを忘れたいが如く何度も俺を求め、そして何度も果る。そうして長く甘美な時間が静かさを取り戻した頃、ディーネは我に返った様で顔を赤らめ恥ずかしそうにしていた。
それを見た俺も急に恥ずかしくなり、顔を合わせられない様にディーネを抱きしめた。
『ありがとう。私、まだ自分がこれからどうしたいのか、よく分からないけれど、ヘータの側に居させて欲しい。』
「あぁ、構わないよ。俺もディーネには側に居て欲しい。」
そして、ディーネは父親から言われた事を俺に話す。
父親と母親との思い出が事実のほんの一側面でしか無かった事。もしくはディーネの願望が反映された美しい虚像でしか無かった事。
その事に自分の無知さ、小ささに絶望し、また他者への不信感しか生まれてこない自分の心。それらがディーネを暗く深い底へと閉じ込めた様だ。
「ディーネ、その父親の言っていた事は信じるの?」
『どういう事?嘘だと言うの?』
「いや、嘘か本当かを調べる事は出来ないけど、ディーネと同じ様に父親もまた母親の側面しか見えてなかったんじゃないのかな?と思って。」
「それに、本当だったとしてもディーネ自身が体験した事は本当の事だろ⁈仮にその裏にどんな思惑や計算があったとしても。」
『………。そうね……』
「だからさ、ディーネはこれから自分の意思で自由に生きれば良いと思うだよね。それが例え表の道でも裏の道でも。それに対して善悪の思いを抱くのはあくまでも他人なんだよ。ただ、それだけ。」
「俺がやっている事なんて、人族から見れば悪だし、精霊から見れば善だしね。見る立場によって変わるもんさ」
『確かにそうね。何か憑き物が取れた気がするわ』
『もう少し気楽に考えて見る。ありがとう!ヘータ。』
その後、俺とディーネはそれぞれ風呂に入り、汗を流した後、同じベッドで深い眠りについた。
久しぶりによく眠れたのか、ディーネはスッキリとした顔で朝食を作ってから、俺を起こしてくれた。
ディーネと今後の話をする。俺は今まで通り、午前中は〈精霊樹〉の周囲の魔物駆除、午後は旅を続ける。ディーネは午前中は薬草畑やポーション作り、午後は俺と一緒に旅をする。
1週間ここでは六日間だが、そのうち二日間はお互いに自由な日、つまり休日みたいなものだ。
ディーネもそれで問題ないと了承する。あまり固く決めずに何かあれば臨機応変に対応する。ヤミーとブイオさんの方からの救出依頼もあるからね。
一方、ヤミーとブイオさんは王都〈スドファータ〉へ向かいつつ、旅を楽しんでいる様である。時々立ち寄った街の食べ物や種子などをお土産に買って来てくれる。
そのお陰もあって、ダンジョンで育てている作物や薬草は充実しており、食費がかなり浮いている。
精霊達の力は凄く、作物も通常よりも早く、そして美味しく育っているのだ。また畑や自然は、精霊達の居心地の良い場所らしく、精霊達の回復にかなり役立っているみたいだ。
これはダンジョンとダンコの功労だ。
そんなダンコと言えば、ステラ(ドラゴン)の卵とダンジョンの世話、ドロリーとのお茶で毎日穏やかながら、充実した日々を送っているらしい。
俺とディーネはダンコとドロリーの所へ顔を出す。
『ディーネさん、元気になった様っすね?良かったっすよ〜!』
『ありがとう。あと、ごめんね!心配かけちゃったね。』
『ディーネさんが元気になって良かったです。でも、あの…』
ドロリーが言いづらい様に言葉を飲む。
『ディーネさん、声のボリュームが半端無いっすよ!精霊さん達がびっくりしてたっすよ!』
『その、もう少し小さくしてもらうか、事前に教えておいて頂けると助かります…』
そう、ダンコとドロリーから言われたディーネは顔を真っ赤にして、一言。
『ごめん……』
『いや、謝る事は無いっすよ!元気が1番っすから!』
『決して迷惑という訳じゃなくて、ビックリしたと言うかなんと言うか…』
俺も滅茶苦茶に恥ずかしくなった…
そしてダンコが
『ヘータさん、提案があるっすよ!〈DP〉も潤沢にあるっすから、階層増やして2人だけの家建てるのどうっすか?』
「宜しくお願いします……」
ディーネも嬉し恥ずかしそうに頷く。
こんな理由から、ダンジョンの増築計画が始まり、全20階層になり
◆20F ダンジョンコアルームフロア
・ダンコの家ステラ(ドラゴン)の卵あり
・ゲストハウス(会議室兼、宿泊施設)
・入場規制あり
◆19F 自然フロア
・作物、薬草の畑
・ポーション工房
・馬用の厩舎
・精霊達の家
◆18F 俺とディーネ専用フロア
・家
・露天風呂
・軽い自然
◆14〜17F 今後の為の予備フロア
こんな感じで、ダンジョンを増改築し、俺とディーネの情事で他所様への迷惑は無くなる事だろう。
『これで何の問題も無いっすね!』
話の方向を変えようと俺は
「ちなみにさ、もう一個入り口増やせるじゃん?人が多い所と、〈魔素〉の多い所とどっちが良いと思う?」
『ん〜そうっすね… 感覚的には今は〈魔素〉が多い所の方が良さそうな気がするっすね』
「了解!んじ、やっぱり大森林か死の大地かかな…」
「ダンコ、ダンジョンの増改築ありがとうね〜」
『いやいや、これで心置きなく出来るっすね〜!頑張るっすよ〜』
恥ずかしい……
確かにダンコはダンジョンコアであって、人では無い。しかも、俺より長く生きている大先輩だ。が、見た目が少女…なんか小中学生の姪っ子に恋愛や情事を応援されている感覚で非常に恥ずかしかった……




