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試練の入口2
紅い衣の狐面の少女は、倒れた火竜ノ娘を見つめていた。
きっと彼女は“幻夢”の中に入っただろう。
どれ、少し彼女の“幻夢”を覗こうとした、…そんな時だった。
紅い衣の狐面の少女はふと、斜め上──天を見上げた。
「…何かが、起こっている。
何かが、起ころうとしている──」
天の方を見上げて、紅い衣の狐面の少女が呟く。
ソレはまるで、独りだけの空間だった。
*
彼の手を、かすめた。
ソコでラシュフェーニカは、動くわけでもなくソノ場に立ち止まった。
──ねぇ、今まで私…、“どうしてた?”
ただ遠くからいつも“アノ人”を見つめていた。
横に立っていながら、いつも遠くから。
そして追いかけては隠れて、近づいては隠れて…、……いつもいつもソレを繰り返してきた。
ラシュフェーニカが俯く。
「ねぇ、明様」
ラシュフェーニカが声をかける。
明の後ろ姿は声に反応せず歩いて行く。
「私、アナタに伝えたいことがあるんです。
だから、…迎えに行くことにしました。
アナタを」
ソコで歩いて行く背は、ハタリと足を止めた。




