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紅衣ノ狐4
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紅い衣に狐面の少女が両手の鈴をリン、リン、と鳴らすと視界は一度瞬きした瞬間でガラリと変わっていた。
ラシュフェーニカは息を飲んだ。
何故なら目の前には……、
探していた想い人──十八代目 天空ノ巫女──明が居たからだ。
「…明……、様…?」
──そんな、どういうことだろう?
ラシュフェーニカは混乱と、はやる心を落ち着けて目の前の人物に声をかけた。
「明様っ、明様…!」
明、と呼ばれた黒髪の少年は、ラシュフェーニカにふわりと美しく笑いかけると、背を向けて歩き始める。
ソレはまるで…、“何処かへ行ってしまう”かのように──。
「行かないで!
明様っ!!」
ラシュフェーニカが手を伸ばして歩き出す。
大事な人が今目の前に居る。
ソノ事実が、ラシュフェーニカの心に涙を溢れさせた。
会いたくて、愛たくて、触れたくて、抱きしめたかった人。
話したかった愛おしい人…。
ソノ人が今、目の前に居る。
これ程までに嬉しいことはなかった。
ラシュフェーニカが駆け、明に手を伸ばす。
ソレは後少し、というところで彼の手をかすめた。
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