第四章:異変-第二話
最強の去っていった方角を少し見たあと、ヒーロー自身も任務が残っていることを思い出し、支度をしていた。
「ヒーロー、ちょっと来い」
「ん?どうした、ユダ」
その最中、ユダに引き止められた。
「すまんが、護衛部隊は城下に残ってもらいたい。この近辺でも異様な数の任務の増加と、その内容の変化が見られた」
「それは…B級以下じゃダメなのか?B級にも俺らに匹敵する隊員は少なくないぞ」
「少なくないが、多くもない。お前らが必要だ」
「ユダ、お前は司令塔だ。冷静に考えて欲しい。その上で、俺らが必要だってんなら、喜んでいくさ。
…近くの任務を片付けてくる。帰ってくるまでに、もう一度考えてくれ」
そう言ってヒーローも任務へと飛び立つ。
ユダの顔は、考えることが多いのだろう。疲れが滲んでいた。
一方、ヒーローは同僚ふたりの異常に心を乱されていた。
最強は自分だけが頑張ろうという自己犠牲精神が暴走している。
ユダは…分からない。任務の内容の精査ができていない自分に苛立っているのだろうか。それとも最善手を模索し続けて疲れているのだろうか。普段しないであろう指示をしている。
他から見れば自分も何かしらの異常をきたしているのだろうな、とヒーローはため息を着く。
「よぉ、隊長。こんな曇天じゃあ、ヒーローの笑顔も消えちまうのかい?」
「レオナードさん…」
「ははっ、いつも言ってるがさん付けはやめてくれ。年は上だが地位は下なんだ」
「地位だって、あなたは元S級じゃないですか」
「元、な。今は違う。んで、隊長は何をそんなに悩んでんだ」
ヒーローは、少し迷った。
同僚の悩みひとつ自分で解決できない自分は、どうなのだろうと。
__でも。【ヒーロー】とは、頼り頼られの存在なのだと、昔どこかで見た物語を思い出した。
「最強と、ユダについて」
レオナードを見据えるヒーローの目は、いつも通りとまでは行かずとも、力を取り戻していた。
そこから、彼女らの異常についてレオナードと相談を始めた。
「そんな感じで、最強は外見にも異常が見られた」
「外見にもか…またアイツは無茶をしてるんだな」
「また?以前にも似たようなことが?」
「あぁ、まだアイツが【最強】じゃなかった頃の話だ。
…はは、知りたいって顔に出てるぞ」
歩きながら語ろうか、とレオナードは懐かしい思い出をなぞるように話し始めた。




