chapter55 人間兵器
アイテムボックスを開き、鉄の腕輪を取り出した。
それを見た瞬間――みんなの表情が曇る。
ぼくの腕にくっついている雫さんが、わずかに力を込めたのが伝わった。
「みなさんも、わかってる通り、これは騎士たちが持っていた隷属の腕輪です」
「なんでお前がそんなの持ってんだよ」
犀田さんが不愉快そうに言い、みんなの表情がさらに暗くなる。
「雫さんに嵌められていたので外しただけですよ」
「は?」
ぼくがそう答えると、犀田さんが意味わからんとばかりにとぼけた声を上げる。
「外した?」
「雫?」
「だれ?」
周囲にどよめきが広がる。
「この腕輪は呪具なので解呪の魔法で外せたんです」
ぼくがそう言うと、空気が緩んだような気がした。
「解呪の魔法?」
「そんな方法が……」
「安心しないでください。
これは一時的なものであって、原因が解決したわけではありません。
そもそもぼくがこの腕輪を嵌められたら、解呪すらできなくなります。
この国にいる以上――安心はできません」
そう言うと、部屋の雰囲気が再び、引き締まった。
「召喚者は強い力を持つ傾向があるため、従順な“人間兵器”として扱いたいのでしょう。
隷属の腕輪を使えば、意のままですからね」
そう言って締めくくった。
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