chapter44 従う者たちの戦闘
ぼくは探査魔法で位置を把握する。
三匹。距離は十五メートル。
囲まれる前に仕掛ければ問題ない。
「落ち着いてください。狙いは外してもいいです。まずは動きを止めることを優先で」
自分でも驚くほど、声が硬い。
緊張しているのは、たぶんみんなと同じだ。
カラスバさんの風刃が放たれる。
だが軌道がぶれ、ゴブリンの肩を浅く裂いただけだった。
次の瞬間、甲高い叫び声。
ゴブリンがこちらへ突進してくる。
「下がらないで……前を維持してください。大丈夫、まだ余裕があります」
ぼくはできるだけ落ち着いた声で続ける。
鳥沢さんの魔法が今度は直撃し、緑色の体が地面を転がった。
血が、飛ぶ。
一瞬、誰も動かなかった。
(……止まるな)
「右にもう二匹います。焦らなくていいです」
ぼくの声で、みんながはっとしたように動き出す。
サギジマさんの魔法が震えながら放たれ、ヒョウヤさんが追撃する。
最後の一匹が倒れたとき、静寂だけが残った。
荒い呼吸。
震える手。
視線は、地面に転がるそれに向いている。
(これが最初の一歩だ)
「……よくできました。本当に」
自分でも驚くほど、静かな声が出た。
ぼくはすぐに探査魔法を再展開する。
周囲には、まだ反応がある。
「無理はしなくていいです。でも……行けそうなら、次に向かいましょう」
疲労の色は濃い。
それでも、誰も異論は口にしなかった。
その後も索敵を続け、遭遇のたびに戦闘を重ねる。
動きは少しずつ洗練され、魔法の発動も安定していった。
ぎこちなかった風刃は狙いを定め、
震えていた手も、次第に迷いをなくしていく。
そして――十四匹。
それぞれが、自分の手で一匹を倒した。
歓声はない。
達成感よりも、重い沈黙のほうが近い。
(戦える。ぼくが教えた通りにやれば)
少なくとも、守られるだけの集団じゃない。
ぼくは小さく息を吐き、
次の索敵へと意識を向けた。
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