chapter38 帝国の思惑
ぼくたちは、教育係と告げられた騎士たちに連れられ、郊外へと向かった。
人数は騎士を含めて二十三人。異世界に召喚され、共に暮らすことになった仲間たちだ。
「お前たちには、これから戦闘をしてもらう」
先頭に立つ男の騎士が低く告げる。
「ただし――魔物を殺せなかった者には、こいつを腕に嵌めてもらう」
懐から取り出されたのは、金属の腕輪のようなもの。男は口の端を吊り上げ、不気味な笑みを浮かべる。
その瞬間、ぼくは思わず呟いていた。
「……“隷属の腕輪”か」
仲間たちはきょとんと首をかしげたが、男騎士は目を細め、さらに笑みを深くする。
「ほう、知っているとはな。なら意味も分かるよな?」
……やはり、そういうことか。
「隷属……?」
「速水くん、知ってるのかね?」
白銀さんと部長が問いかけてくる。ぼくは小さく頷き、答えた。
「あの腕輪を嵌められた生物は、持ち主の操り人形になる。
魔道具というより……呪具、と言ったほうが近いですね」
仲間の間にざわめきが広がる。怒りや恐怖の声が漏れ始めるが、ぼくは手で制した。
「よくわかってるじゃない。異世界から来たばかりなのに、聡明ね」
女騎士が艶めいた笑みを浮かべ、挑発的に言う。
それを横目に、ぼくは騎士たちへひとつだけ尋ねた。
「質問です。魔物を殺すのは……どんな手を使っても構いませんか?」
男騎士は一拍置き、わざとらしく考える素振りを見せてから答える。
「ふん……まあ、今回は特別に、ひとりで仕留められなくても許してやる」
嫌らしい笑みを浮かべながら――そう言い放った。
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