第4話「甘さは罪か、旅は続く」
―村人との会話と、次の目的地の気配
柚子まつりの翌日、ユズレ村は少し静かだった。
だし男とポンヌは、宿の軒先で、村の老婆とお茶を飲んでいた。
「……で、そなたが“神酢”を集めておるというのかい」
「そうなんです、あ、はい……その……“だし男”です」
「変な名じゃのう。ポンヌ様、これは本物かい?」
「彼の名前の話よね?」
「そこ!?」
老婆は湯呑をふぅ、と冷ましながら語り始めた。
「昔話があるんじゃよ。“涙の神酢”の次に現れるは、“甘き記憶のしずく”。
それは忘れられた恋の街に眠っておるとか……」
「恋の街……?」
「そう。遠い西の都、フルーナ。甘酢と果実の香りで満ちた、記憶の迷路よ」
「果実……甘酢……うわ、なんかキュンと酸っぱいぞ……」
「……恋が終わった者ほど、よく酢に染まるというしのう」
だし男(心の声)
(恋の街……そんなとこ行ったら、ポンヌに変なこと思われないかな……)
(いやいや、そもそも俺は帰るために旅してるだけで、別に……その……)
ポンヌ(心の声)
(“忘れられた恋”……だし男が昔、誰かを想ってたとか?)
(……聞くわけない、聞けるわけない……でもちょっとだけ、気になる……)
「その街では、本当に大切な味は、最後まで隠されているらしいよ」
「“最後まで隠されている”って……」
「まるで……誰かの気持ちみたいね」
「……急に詩的だな、ポンヌ」
「そういう日もあるのよ」
――次なる神酢の手がかりは、“甘き記憶”の中に眠っている。
だし男とポンヌは、そっと腰を上げた。
「じゃ、行くか。フルーナへ」
「ええ、“味の神話”は、まだ始まったばかりよ」
そして、二人の旅は次なる味へ。
少しだけ胸を甘酸っぱくしながら
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☆次回予告: つぎは夜の番外編としまして「甘酸っぱいって、こういうことか」をお送りします、お楽しみに!




