↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
辺境の村の英雄、四十二歳にして初めて村を出る  作者: 岡本剛也
第3章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

302/302

第275話 イベント


 昨日は急遽休みにしたが、今日はダンジョンに潜る。

 ダンジョン攻略はダンジョン街で経験済みのため、手こずることはないと思う。


 この後行われるであろう模擬戦に向けての肩慣らし感覚。

 ダンジョンの規模自体も、ダンジョン街と比べたら小さいみたいだしな。


「よし、到着。久しぶりの王都のダンジョンだな」

「懐かしいですね。あのときは怖いという感情しかありませんでしたが、今は楽しみという気持ちが勝っています」

「ジーニアなんか、一番成長したといっても過言じゃないしね! 私は今も前も楽しみって感情のが大きい! まぁ前回はなんもしてないけど!」

「そもそも前回は攻略をしていないもんな」


 そんなことを話しながら、受付を済ませてダンジョンへ向かう。

 ただ……何だか人が多いな。


 王都だから、これだけの人がいるのか?

 それにしては、冒険者っぽくない恰好の人が多い気がするんだよな。


「なんか人が多いですね。前に来た時もこんなに人がいましたっけ?」

「前回は模擬戦大会が行われることを知られていたからな。それなりに一般の人がいた記憶がある。……ただ、それでも前回よりも多い気がする」

「私もこんなに人が多かった記憶がないんだけど!」


 ジーニアとアオイも人の多さに疑問を抱いている様子。

 やはり王都に近いダンジョンといえど、明らかに人の数が多い。


「ねね! ちょっと聞き耳を立ててたんだけど、パラなんとかが勝つ!とか話してたよ!」

「私も聞いてました。賭けてるってワードも出ていた気がします」

「勝つ? 賭ける? ……もしかして、ダンジョンで何かイベントが行われるのか?」


 二人が聞いたワードから察するに、模擬戦のようなイベントが行われる可能性が高い。

 だとすれば、この人の多さも納得がいく。


 普通にダンジョン攻略がしたかったんだが、これはタイミングが悪かったかもしれない。

 まぁでも、イベントが入口付近で行われるとしたら、攻略において特に支障はない可能性も高い。


 少しだけ億劫な気持ちになりつつも、順番待ちの列に並んだ。

 そして並び始めてから、約二十分ほどでようやくダンジョンの中に入れた。


 まさかダンジョンに入るのに待ち時間が必要になるとは思っていなかったが、無事に入れたから良しとしよう。

 それにしても、一体何のイベントが行われるんだろう。


「ねー、ちょっとだけ見て行かない? これだけ並んでた理由が知りたいし!」

「寄り道している余裕はない。……と言いたいところだが、俺もさすがに気になってきた。何が行われるかぐらいは確認するか?」

「いいと思います。今日は肩慣らしのダンジョン攻略ですし、ゆっくりいきましょう」


 さすがに待たされすぎたこともあり、少しだけ覗いていくことにした。

 朝から行列を成していたわけだし、小さなイベントではないと思う。


 何が行われているかの見当もつかないまま、前回模擬戦を行った場所に向かうと、観客席には既に大勢の人が座っていた。

 そして、観客席前では怪しい風貌のおっさんが賭けを取り仕切っている。

 見た目からして、ノミ屋ってところか。


「あの人に話を聞いてみよう。賭けを取り仕切っているってことは確実に詳しいだろ」

「話だけ聞いて怒られないかな?」

「怒られたら少額だけ賭ければいい。ちょっと話を聞いてくる」


 見る限りでは少額でも賭けられそうだし、情報料として支払うつもり。

 そんなことを考えながら、俺は一人でノミ屋のおっさんに声をかけた。


「ちょっと話を聞いてもいいか? これは何の賭けなんだ?」

「はぁ? そりゃどっちが勝つかに決まってんだろ! 世紀の一戦だぜ?」

「そんな凄い試合が行われるのか? ちなみに誰と誰が戦うんだ?」


 こいつマジかと言わんばかりの表情で見てきたが、ノミ屋のおっさんは話してくれた。


「最速S級に昇格した超新星冒険者カイル・パラシオスVS歴代最強と言われている王国騎士団団長パトリック・ヘヴンの一戦だ!」

「S級冒険者と王国騎士団の団長の試合なのか。ここではそういうイベントが開かれているのか?」

「本当に何も知らねぇんだな! 闘技大会は頻繁に開かれているが、今回は酒屋で揉めたことで決まった一戦らしいぜ! 闘技大会でもこんな豪華なカードは組まれないから、こんなにも客が押し寄せているんだわ!」

「へー。そういう事情だったのか。色々と教えてくれてありがとう。助かった」


 やはりこのおっさんに聞いたのは正解だったな。

 知りたかったことを全て知ることができ、俺は満足げにジーニアとアオイの下に戻ろうとしたのだが——。


「おい、おっさん! 賭けもしねぇで去るってのはちげぇだろ! 教えてやったんだから賭けてけや!」

「……分かった。いくらから賭けられるんだ?」

「最低賭け金は銀貨一枚! オッズ的にはヘヴンの方が人気だが、さあどっちに賭ける?」

「なら、パラシオスに銀貨一枚賭けさせてもらう」

「安いがまぁいいか! ほれ、この札を持っておきな! 賭けが当たっていれば、試合が終わり次第、札と金を交換してやるからよ!」

「ああ、分かった。色々とありがとう」


 適当に感謝の言葉を伝えてから、今度こそジーニアとアオイの下に戻った。


「おかえりなさい。なんと言ってましたか?」

「どうやら最速S級に到達した冒険者と、王国騎士団の団長が試合をするみたいだ。かなりのビッグカードのようで、これだけ人が入ってるらしい」

「へー! めっちゃ面白そう! せっかくだし見て行こうよ!」

「駄目だ。昨日は休んだし、今日はダンジョン攻略をしよう。俺は見学じゃなく、実際に戦う側でもあるしな」

「だからこそだって! 近いうちにここで戦うんだし、見ておいた方がいいじゃん!」


 気にならないと言えば嘘になるが、S級冒険者の方は模擬戦で戦う可能性もあるわけだしな。

 交流戦は腕試し的な一面もあるし、ここで見るのはフェアではない。

 ということで、駄々をこねるアオイを何とか説得し、ダンジョン攻略を行うことにしたのだった。



ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。

本作のコミカライズ版の第一巻が発売されております!!!

担当してくださった村下先生が漫画を描いてくださっており、web版を読んだ方でも楽しめるような素晴らしい作品に仕上がっております!

どうかお手に取っていただけたら幸いです<(_ _)>ペコ


↓の画像をタップしていただくと、カドコミに飛びます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  ▼▼▼ 画像をクリックすると、販売サイトに飛びます! ▼▼▼  
表紙絵
  ▲▲▲ 画像をクリックすると、販売サイトに飛びます! ▲▲▲ 
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。