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「アーシェは我らと戦うのか。それも一興だな」


「懐かしいね、試験を思い出すよ。あの時は楽しかったね?」


ちょっと待って先ほどの決勝進出の宣言に対してどうしてディルとレイは不満を持たないの?二人で私に勝って嬉しいか?それにディル一人でも十分私を倒せるのにどうしてそこに魔王のレイも加わるんだ。


もう勝ち目ゼロな未来に心の中にいるもう一人の自分は嘆き悲しむ。このまま投降してしまおうか...なんて考えてしまうが、やるなら最後までやろうと私の思考が叫んでいた。


そうだ、やるなら最後までやり切らないと。


私はそのまま闘技場の自分の位置へ移動する。先ほどまで睨み合っていた二人は今仲良く私を見て笑っていた。どうやって私を倒すか、頭の奥で考えながら。


ぞわりと背中を寒気が駆け上がる。


笑っている二人は同時に目を開けた。


「そうだ、アーシェ。君が勝ったら君の願いを一つだけ叶えてあげる」


提供している交渉はヴィタニーと同じだった。だが、それを約束するのがディルというところで彼は本当になんでも叶えそうなのだ。


「...また交渉?...そっちは何が欲しいの?」


ディルとレイは互いを見つめ合った。魔法で互いに会話をしているだろう。そして私には干渉させないように防御結界まで張って。一体何がしたいのだろうか、彼らは。


嫌な予感がする。途端に仲が良くなった彼らを危険視してしまう。警戒しなくても同じパーティーなのでいいはずなのに、なぜか目の前にいる彼らが途端に怖くなってしまった。


「僕たちが欲しいのは...」


ピィーー!と笛が鳴る。


「おっと、残念。僕たちが勝ったら教えてあげるよ」


「じゃあ、先に私の願いでも聞いて」


私は彼らが攻撃を始めるのを阻止した。


「何?」


彼らは待てない子犬かのように早く私を攻撃したくてうずうずしている。彼らは私から何が欲しいのだ。そんなにも早く決着をつけてまで欲しいものなのか。


「『エンド』が何か教えて欲しい」


その言葉にディルは驚いてもいなかった。それどころか、ニヤリと不適な微笑みを浮かべて私を見ていた。彼の感情が読めない。何を考えているのか分からない。その隣に立っているレイも、私を見つめているだけだった。


「レイ、もしかして...」


一つの予感が頭を過ぎる。


「うむ、我は『エンド』が何か知っている」


ひゅっ、と私は息を飲んだ。


「アーシェが知りたいなら教えてあげる。でも、教えたらもう戻れないよ?僕から離れられなくなるよ?」


「我ら、だ」


「はいはい」


なんの話か全く理解できない。だが、なぜか悪い予感しかしなくなっていた。まるで、勝っても負けても結果は同じになるんじゃないか、そんな感覚がする。


「始めよう」


強さを飲み込んで、二人に集中する。深呼吸して、息を整えた。











ーー私は、負けない。負けてはならない。






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