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ーーーーどうして、こんなことになってしまったのか。


今思えば、全ては勇者護衛の依頼を受けるところから始まっていた。あれさえ受けなければこうはならなかった。いや、そもそも借金をしなければこうなることはなかった。どんどん考えると逆に過去の全てがこれを引き起こしたんだと分かってしまう。


こんな、こんな、異常な...。


『ここが冒険者ギルドか。我もこれからここで冒険者として働くんだな』


キラキラと期待しながら魔王が喋っているところはギルドのはるか上空。私、ディル、魔王...いや、レイは空に浮かびながらギルドを行き来する冒険者たちを眺めていた。誰一人としてはるか上にいる3人の人には気付いていない。


全てはあの魔王襲撃事件の後から始まった。レイはあのあとそのまま陛下の寝室へ行き、勇者を使って陛下を脅した。


『調子に乗りすぎだ、王よ。なぜそこまでして魔族の国を滅ぼしたいと願う?答えよ、この国の王よ。我らが力をつけているからか?...やめておけ、我がその気になればこんな小国なんてすぐに滅びる。お前が召喚した勇者とやらもこのザマだ。お前には選択肢が2つ、ある。我に国を滅ぼされるか、この二人と共に行動をすることを許してもらうことだ』


そうしてレイは私とディルを指した。


この状況に陛下はなんて答えると思う?私とディルと一緒にいるとわかればレイの監視が出来る。そこにデメリットはないはずだ。


予想した通り、国王は私たちと一緒にいることを条件にして戦争を止めた。その時の国王の表情はまさに恐怖に塗り替えられており、自分のことしか考えていなかった。仮にここでレイが『自分が死んで国は平和になるか、国が死んで自分が生きるか』的な選択肢を与えたとする。だとしたら陛下は喜んで自分が生きる道を選ぶだろう。彼はそういう表情をしていた。


去り際に、私とディルは国王に止められた。


「しっかり、監視しろよ」


念を押すように一つ一つの言葉を強調する。


「心得ております」


と、答えて私たちは彼の後を去って行った。











そして現在に至る。


エリーナとの借金の件に関しては、国王に会った次の日に彼女が返済してくれた。そして借りている客室に入ってきてすぐに謝罪をしてきたのだ。「これまでの無礼どうかお許しください」と。一体どういう変わりようかと不思議に思った。だがまあ、何があろうといい方向に変わってくれたのは嬉しいことであり、そこまで深くは考えなかった。私も感謝の言葉を述べて、それ以来彼女には会っていない。


「レイはまず最初にその容姿をどうにかしないとね」


気軽に話すことを許された私たちは、こうして今レイとは友達と変わらないような会話をしていた。


『む?容姿?』


彼はそのことを気にしたことがなかったのか、自分の服装を見つめる。漆黒のマントにルビーが埋め込まれているベルト、服には金色の刺繍が施されている。そして頭には王の印である黄金の冠と、魔族の印であるつのが生えていた。


このまま冒険者ギルドに連れて行ったら大騒ぎだ。多分戦場になる。


「人間に擬態とかできないの?」


ディルが付け足すと、魔王は『ああ』と、理解したかのように頷く。


『そうだな、この姿だと少しまずいか』


「後できればその直接脳に話しかけるような会話の仕方もやめてほしい」


『む....』


レイは胸をトントンと二回叩く。


「これでどうだ?」


私は頷いた。これなら普通の子供と変わりない。その声が可愛くも思えてしまう。弟ができたらこんな感じなんだろうか、と思ってしまう。


「擬態は、こんな感じでどうだ?」


服装は私たち似せて冒険者風に。あとは角を隠しただけの簡単な擬態だった。だが、漆黒の髪に真紅の瞳からは微かに王の存在を感じる。その度に思ってしまう、私たちはどうしてこんな見るからにヤバそうなやつと一緒に行動しなければいけないのか。

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