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ジリリリリリリリ...。
目覚まし時計の音で私は目を覚ました。ゆっくりと体を起こし、カーテンを開けると眩しい光が私の目に直撃する。それに目を細める。
何もない普通の一日。だが、不思議な夢を見た気がする。どこか遠いところで過ごしていた、そんな夢。
妙にその夢に懐かしさを覚えながらも洗面所に行き、顔を洗い、歯を磨く。金髪の髪の毛を結び、再度鏡の中の自分を見た。
金髪に青い目。日本人にはない色だ。私の両親はどちらも日本に住んでいるアメリカ人で、その遺伝子が完璧に遺伝されているのが私。制服に着替えた後、通学鞄を持ち、一階のリビングへと降りた。
「アーシェ、ご飯よ」
テーブルに置いてある朝食。大体毎日同じ。ベーコンと卵焼きにサラダ。私は好きだから特に飽きるようなことはない。黙々と食べ、食べ終わった頃には時間も迫っていた。
「行ってきます」
両親に見送られ、玄関を出ると駅へ向かう。私は私立に通っており、家から一時間かかるから早めに登校しなければならないのだ。途中で友達に会うわけでもなく、学校に着くまでイヤホンで音楽を聞いていた。
学校に着き、クラスの中に入ると、友達が近寄ってくる。
「アーシェ!昨日ぶり!」
「おはよう、莉里」
カバンを机の横にあるフックにかけると、自分の席に座る。莉里は私の机の上に座り、普段よりニコニコしている笑みを浮かべていた。
「どうしたの?」
聞いてくるのを待ってました、という表情をしていた。
「今日はね、転校生が来る日だよ!」
転校生。確かそんなことを先生が言っていた気がする。特に気にしなかったので忘れていた。
「そっか」
「しかもしかも!!イケメンだとさ!あとあと、どっかの大手企業のご子息様だとさ!!うっふふ〜、玉の輿〜」
イケメンでも、性格が少し曲がってたら意味ない。そしてお金持ちは個人的に苦手だ。
心の中で出来る限り関わらないようにしようと誓う。
「うわー、アーシェ気にしてないでしょ?」
「...興味ないからね」
莉里は頬を膨らませた。
妹がいたらこんな感じなんだろう。
...妹...
その言葉にゾクッと背筋が冷える。妹という言葉が怖い。
違う。「妹」という存在自体が怖いんだ。まるでトラウマかのように。
私に妹はいないのに。どうして?
そんなネガティブな思考を頭から無理矢理消滅させると、ちょうど担任の先生が入ってきた。もちろん、その後ろには転校生が続いている。
すぐさま何かを察した私は耳を塞いだ。
「「きゃあああああああ!!」」
耳を塞いでいても聞こえるほどの威力。一体どこからそんな声を出しているのか。
転校生はホワイトボードに自分の名前を書くと、クラスの方を向いた。
「ディル・ローランド。よろしく」
思わず、目を見開いてしまった。
ディル、その声が心の中で響く。初めて会うのにどこか懐かしさを覚えて仕方がない。
知っている、知らない。知っているようで知らない人。彼が後ろの席に移動している時、目が離せなかった。
私はどうかしている。恋をしているわけでもないのに何故彼のことが頭から離れない。長く一緒にいた友達のような気持ちがして心が締め付けられる。
チラッと私たちの目があった瞬間、すぐに逸らした。
私、冷静になれ。落ち着け。現実逃避をするな。あの人は知らない人。ただのクラスメイト。それ以外の何でもない。
出来る限り、彼から離れないと。




