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21 ディル視点

僕は地下へ続く扉に入った。扉を開けた後は地下へ続く階段が長く続いている。想像していたよりもはるかに整備されていた階段を僕は無音で降った。


ーー


「もしかしてアーシェさんとディルさんって...」


「違うよ!」「そうだよ」


ーー


アーシェはあの時、必死に否定してた。彼女は僕といるのがそれほどまで嫌なのか。前も離れる的なことを言っていたし。


あぁ、胸糞悪い。僕たちは運命で繋がっているのに。なぜ彼女は振り向かない。


あぁ、イラつく。どうしてもっと早く彼女が虐げられていることに気付けなかったんだ。


ーー


「『エンド』のあなたには、運命の女性が現れるでしょう。彼女もまた『エンド』で、あなたたちはいずれ結ばれるでしょう。運命の女性を一目見た瞬間-」


「うるさい、別に興味ない」


「......そうですか。では、これで私たちが会うのは最後ですね。体調に気をつけて」


「体調?そんなの『エンド』ならそもそも崩れないでしょ」


「......ただの見送り言葉です」


ーー


あの時の僕はまだわかってなかった。『あの人』の言葉を聞いたのはあれが最後。あの後、僕は自由気ままに世界を旅していた。そのうちに気づけばSランク冒険者になっていたり、結構楽しかった。


ある日依頼を受けて森の魔物を倒していると、彼女が現れた。


僕の自由の世界にするりと入ってきたんだ。貧相な体には似合わない綺麗に風になびく金髪。整った顔立ちに空のような瞳。


途端に、僕の体が脈だった。全身の血液が以前よりも活性化し、体が熱くなる。


おかしい、どこかおかしい。


呼吸困難になりそうなのを抑えながら必死に考えた。


「君...!もしかして」


そんなわけない。世界は広い、そんな偶然...。


だがそうであって欲しい。偶然であって欲しい。


彼女が近づくほど僕の体がどんどん熱くなった。


「やっぱり!」


運命だ。これはきっと運命だ。


彼女が欲しい、僕の運命の女性。彼女の全てを知りたい。彼女を振り向かせたい。僕を愛して欲しい。


これは本能なのか、それとも『エンド』によるものなのか。それはもうどうでもいい。今はひたすら彼女を僕のものにしたい。


...縛り付けてでも...


あの時から僕は、アーシェのことを愛しいと思った。借金を背負わせて返すまで一緒にいることはできる。だが金貨1000枚なんてSランク冒険者だったらすぐに稼げる。その間にアーシェが僕のことを好きになってくれないと困る。


階段を下っていると、衛兵らしき人たちが数十人、大きな扉の前に立っていた。


「ちょうどいい」


僕は不適に微笑むと、鞘から剣を取り出した。


「誰だ!」


衛兵も剣を構え、僕の方を警戒の目で捉える。僕はその場で剣を一振りした。すると、衛兵の首が上からなくなる。


「...発散には足りないか」


足で大きな扉を蹴破る。中には長いテーブルに13人ほどが囲って座っていた。


「貴様、どうやってここに!」


驚いた。彼らの服装からして上位貴族ばっかりだ。この国の貴族はこんなにも腐っているのだろうか。これくらい上位貴族がグルだったらそりゃ調査が行き渡らないわけだ。中には老人がほとんどで、若い人は一人しかいなかった。


「お前、ディルだな。Sランク冒険者の」


貴族の一人が冷や汗をかきながらこちらを怖がっている。


「そうだよ」


「貴様、我々は上位貴族だ!敬語を使わんか」


「罪人に敬語を使うなんてそんなことしないよ」


罪人の部分を強調して言う。お偉〜い貴族様たちはそれに怒りを覚え、僕に襲いかかってきた。


ストレス発散の開始だ。


ここで瞬殺するのは面白くない。かと言って外で結界を無理やり破ろうとしているアーシェを待たせるわけにはいかないし。このままだったら彼女の手に豆ができてしまう。それ以上切るのを続けたら彼女の柔らかい手が傷ついてしまう。


決めた、さっさと終わらせてしまおう。


まるでゴミを掃除するかのように僕の剣は動く。滑らかに、それでいて鋭くその場にいるみんなをあの世に送る。誰も僕の攻撃が見えていなかった。大部分は何が起きたかわからなく死んでいく。わかる者は皆口を揃えて


「化け物!!怪物!!来るなぁ!」


と言い、必死に逃げ回る。


そんなことをしても意味なんてないのに。


結局最後に残ったのはこの中で最年少の貴族の少年だった。


「お前、強いんだな」


貴族の少年だけは、自分の席から離れず、怖がりもせず座っている。


「ありがとう。君はここにいる爺さんたちとは少し違う空気を感じるよ」


そう答えると、貴族の少年は笑った。


「俺をこんな老いぼれと一緒にしないでくれ。こいつらはただ僕の遊びに釣れただけのおもちゃだ」


「ふーん」


特に興味はない。とにかく終わらせたい。


僕は剣をその場で振り、衛兵を倒したのと同じ方法で少年を倒そうとした。だが、それが少年の剣に弾かれる。


「おぉ...」


この攻撃を防げるとは、他の人たちとよりはマシだな。


「結構きたな。これがお前の必殺技だったら残念だが、そこで終わりだ」


自信満々に少年はそう言う。こんな初歩的な技が必殺技なわけない。必殺技を発動したらこの星が壊れるだろうね。


「必殺技、じゃないよ」


「大丈夫だって、誤魔化さなくても知って-」


叫び声が部屋中に響いた。少年の剣を持っていた方の腕が宙に舞い、少年は床に膝をつき、必死に我慢している。


「腕を切り落とされたくらい、自分で治せるはずだよ」


「そんなことができる人がどこにいる!」


「普通だって。今急いでるから手本は見せられないけど本当だって」


そして僕は彼の返事を聞く前に殺した。そしてふと、思う。


「これって、全員殺すんじゃなくて一人残して情報を吐かせなきゃいけないんだっけ」


失敗した。死者蘇生って結構めんどくさいのになぁ。


僕は自分の親指を噛み、その血を適当に転がっている首の一つに向かって落とした。


「『ギヴ・ライフ』」


その首を中心に魔法陣が浮かび上がり、死んでいたはずの貴族が起き上がる。


「わ、わしは死んだはず...」


「おかえり、現実へ」


老人をすぐに気絶させた後、転移魔法で路地裏まで戻る。


案の定、そこには必死に結界を剣で破ろうとしてるアーシェがいた。


「...それほどまで僕から逃げたいの...」


どんどん冷める自分をコントロールし、平常心を保つ。











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