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皆で仲良しアイドル!異種族アイドル同好会!  作者: フクキタル
第2章「始まり」
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第38話

今日は大好きなウマ娘の二期の放送開始の日です!とても楽しみです!

いつもありがとうございます!

「寮長室…」


本当に来ちゃった…


私みたいな普通な生徒ならあまり近づきたくないと思っているあの伝説の舎監室…もちろん部屋自体は案外極普通ですがドアから放たれるこの凄まじいオーラ…うう…やっぱり怖い…!


紫村(しむら)(さき)」。入学したばかりの私達が無事に学校に馴染めるように一生懸命励んでくれる旧校舎であったここ1年生の寮の寮長。

Scum(美化部)」の部長も務めている彼女はなんとこの学校が作られた100年前からこの学校に在校しているらしいです。

それが可能だったのは彼女の種族がもはや死ぬことも、老いることもできない「ゾンビ」だからです。

寮に入って何度も見かけたことはありますがそのおっかない見た目は今も忘れていません。

体中は傷だらけで針で縫って異なる皮膚を合わせたその姿…なんか考えるだけでもう…!


でも今の時間に外出するなら必ずあの寮長さんの許可が必要ですし…やっぱり思い切って入ることしか…!


「よし…!入るぞ…!」


ーこんこん


「入れ。」


うわぁ…!いる…!やっぱりいるよ…!どうしよう…!でもノックまでしちゃったからここで帰るわけにもいかないし…!


おずおずしながら叩いたドアの向こうから聞こえる女性の声…それはまるで死んだと思った亡骸が墓から這い上がるような湿って物騒な…じゃなくて案外普通だったのでそこがちょっとびっくり…


「し…失礼します…」


その声に自分の姿を現すのは相当の勇気が必要でしたがここまで来て引くわけにはいかないと思った私はやっと腹をくくって寮長室の中に自分を投げ出してしまったのです。


殺風景な部屋。「Scum」の部長が過ごしている部屋だから何だかすごいものを想像しましたが意外に普通な部屋…でも部屋をいっぱい詰め込んでいるこのタバコの煙はさすがに…


「何だ。」


煙の中からちらっと見える黒い目。それはまるで霧の中から黒く光っている未知なる生物のように鋭くて奇妙な雰囲気を紡いでいました。

ただ見るだけでも全身の毛が立ってしまうほど冷たくて強烈な眼差し。そのどす黒い眼光に睨まれてしまった時、私は指一本も動けなくなってしまいました。


「何か?」

「あ…!305号の「虹森三森」です!外出許可を取るのために参りました!」


この時間に何か用でもあるのかっと聞くその目はあまりにも強烈だったので私はついもう帰りたいって思われてしまいましたが私、どうしても外出許可を取らなければなりませんから…!

あんなに落ち込んでしまった先輩に素直に自分を伝えなきゃダメって思ってからここまで来ましたから…!

やっぱりここは勇気を出してはっきりと言わなきゃ…!


「こんな時間に?まあ、分かったからまずはちょっと落ち着きな。」


一目で分かるほど緊張している私をなんとか落ち着けようとする寮長さん。

心配していた割に思ったより普通な彼女の反応に少しずつ理性を取り戻してきた私は


「ゆっくり話してもいいからさ。」


っとお茶を出して優しく席に案内してくれる彼女の気遣いに驚きながらそのまま彼女の前に座ることにしました。


少しずつ落ち着いたところでやっと目に入ってきた彼女の姿は知っていたよりもっとひどいものでした。

普通な人とは到底思われないほど適当につなぎ合わせたバラバラな皮膚の色。まるで傷の図鑑を体にまるごと写したような傷だらけの体と腫れて肉ごと腐っている顔面。

黒髪の向こうからちらっと見える頬の方はもう修復ができないのか口の中が全部見えていてなんだかすごく心が痛い…

なんで世界政府が「ゾンビ」や魔界の「ミイラ」などのアンデッドの風習を禁止したのかちょっと分かるような気がします…


「あ、これか。」


っと中身がまる見えている自分の頬を指し示す寮長さん。でも彼女からは何の痛みも感じないようにその行動には余裕まで含んでいました。


「気にするな。全然痛くも痒くもないから。」


自分の傷をまるで勲章のように誇らしく見せつけているこの人。

彼女こそ第3女子高の正真正銘の「最強」、「ロシアンルーレット」と呼ばれる「永遠の3年生」、「ゾンビ」の「紫村(しむら)(さき)」さんでした。


「外出許可を取りたいって言ってたっけ。別にいいけどまずは理由くらいは聞かせてもらいたいな。」

「あ…はい…!」


思ったより話しやすい感じ…私はてっきりダメって言われると思ったのにちゃんと話を聞こうとするんだ…


「食べるか?」


っと飴玉まで渡してくれる寮長さん…!

い…いただきます!うわぁ…それより寮長さんって本当に手も大きんだな…


口の中でごろごろしながら広まっていくレモン味の飴玉。甘いものが入ったからでしょうか…ちょっと落ち着いたかも…


「それで?何の用でこんな遅い時間に外出するんだ。あまり夜遊びとかする子には見えないんけど。」


あ…!そ…そうだ!外出許可…!


「は…はい!実は同じ同好会の先輩にどうにかしても直接話したいことがありますので…!」

「そうか。でも電話とかではダメなのか?私としてはあまりこんな時間に生徒を外に出せたくないからさ。」

「そ…それは…」


至って正論…反論もできない…


確かに「大家」の事件が起きた昨日のこと以来、学校から生徒の安全に以前より気を使っているのは事実です。それにまだ言わなかったんですが多分この寮長さん、私がその「大家」の子ということも既に知っているはずです。

だからなおさらこの遅い時間に私を外に出せたくないんでしょう…


でも私はどうしても先輩に自分の言葉で直接話したんです。これで少しでも先輩が元気を取り戻したらいいなって思って…こんな時期に、しかもあの事件の当事者である私がこんなこと言ってもワガママに過ぎないかも知れませんが…


「うん。でも許可してあげる。」


っと急にあっさり許可を出してくれる寮長さん…!ほ…本当ですか!?


「別に悪いことする子には見えないからさ。でも危ないからこっちから護衛を付けさせてもらうからそのつもりで。」

「ご…護衛ですか?」


護衛って…ちょっと大げさっぽいかも…でもなんか大人気の芸能人っぽくてちょっと嬉しいかな…えへへ…


っと喜んでいる私の目の前からどこかに電話をかける寮長さん。私の予想では多分「Scum」の部員じゃないかと思っていましたが


「ゆうき、ゆうな。ちょっとこい。」


その時、彼女の口からは全く予想外の人物達の名前が飛び出してしまったのです。


「まさかお前があの「鉄国(てつごく)七曜(しちよう)」の孫娘だったとはな。」

「…やっぱり知ってたんですね、寮長さん…」


予想はしたんですがこう面と向かって自分の隠したいと思った過去を言われるのはあまり愉快な気分ではないかも…仕方ないのは十分わかっていますが…


「心配すんな。これはあくまで私個人の情報だから。他のやつには言わないから安心しな。」

「りょ…寮長さんはおかしいだと思わないんです…?私が「大家」の子ってこと…」


心配してそう聞いてくる私のことを少しじーっと見つめる寮長さん。

でもその黒い目から感じられるのは嫌悪や軽蔑ではないひたすらの優しさだけでした。


「似合わないとは思う。お前はどう見ても表の人間だ。優しくて温かくていい子だ。目的のためなら親族でも殺しまくるあのクソみたいな奴らとは根本から違う。」


彼女は私の頭をなでつけながらこう言ってくれました。君はいい子って、ちゃんと他人のことを思える温かい心を持ったとても優しい人って…

私は初めてばかりなのに私のことをそう言ってくれる彼女のことがなんだかほっとしてとても優しく感じられちゃいました。


「大丈夫。さすがにあの薬師寺でもこれからお前の護衛につくのは「結日(ゆうひ)」家の兵器達だ。あいつらなら命がけてお前のことを守り切るから。まあ、うちのやつはあまりあの家と関わりたくないと思ってるんだけどとにかくやる時はちゃんとやるから心配すんな。」

「うちのやつって…まさか…」


そう思った時、ふと浮かぶのは昼の会議場から見たある女性の顔でした。


背も高くて典型的なイケメン顔。後ろにはあの団長さんみたいに一本の刀がかかっていてなんだか少し怖く見えていましたがその紅と黄金の色違いの目には一目で分かるほど温かい優しさと強い正義感がいっぱい宿っていてなんだかとても心強かったです。

今の寮長さんと同じく「Scum」の黒いセーラー服を着ていた彼女は昨日のことで責任を取る席だった今日の会議場から一言も言わずただひたすらもう一人の責任者であった「百花繚乱」のある変態団長さんのことをじーっと見ているだけでした。


切なくて悲しそうだった目。私はなんだかその目が忘れられませんでした。


「姉と比べても全然劣ったりするやつじゃないから。腕だけは私が保証するぜ。」

「あ…ありがとうございます…」


姉…やっぱりあの人、そういうことだったんだ…


「迎えが着たようだな。早く行きな。」


外の廊下から聞こえるざわめき。そこから今夜の私の護衛を務めてくれる人達が到着したことを気づいた寮長さんは


「気をつけて行ってきな。何かあったらすぐ行くから。」


そう言った後、読みかけの新聞を持ち上げました。


そんな彼女に礼を言った後、寮長室を抜けた私。そこで私を待っていたのは


「こんばんは~みもりちゃん♥また合ったね♥」


今日はもう合いたくないと思っていた「百花繚乱」のある変態さんと


「今日はよろしくお願いします。」


もう一人の「人龍」の先輩でした。

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