第35話
2020年最後の投稿ですね!来年もよろしくお願いします!
1年の間お疲れ様でした!いつもありがとうございます!
「ほ…本当にできたんだ…」
これが私の衣装…
手芸部から受け取った制服風のワンピース!先輩達の衣装とは同じデザインの色違いで私のは爽やかな空の色、ゆりちゃんのは心安らぐ緑の色で私とゆりちゃんのイメージにもバッチリ!
まだ製作中だそうで他のものはまだらしいがそれでもこれは立派なステージ衣装です…!
「いい出来栄えです…」
「うん…すごい…」
思わず目を丸っこくして感心までしちゃうゆりちゃん。そういえばゆりちゃんだってこんな立派な衣装を見るのは本当に久しぶりかも。
だからからでしょうか。ゆりちゃん、本当に嬉しそうな顔をしているんですね。
「こ…これが私達の…」
先、先輩から手芸部の部長さんに私達の衣装を頼んだって言われた時は嘘だと思っちゃったんですが実際に見ると…
「私、なんだかすごく感動しちゃったかも…」
何度見ても素敵な衣装…前に着た時だってすごく感動しちゃったんですがあれは結局先輩の衣装でしたし…
でもこれが本当に自分の衣装なんて言われるとなんだか実感が湧かないっていうか…
「みもりちゃん、すごく嬉しそうですね。もう可愛いほっぺがこんなにふやけちゃって♥ムニッ♥」
「ちょ…!ちょっと、ゆりちゃん…!」
ぷにっと私のほっぺを突くゆりちゃんの小さいくて細い指。先輩達の前でこういうのはちょっと恥ずかしいですがゆりちゃんがこんなに喜んでいるんですから。
「またこんなきれいな衣装で歌うんですね、私達。」
「うん…信じられないよ、私…」
二度とできないと思った古くてほこりっぽい夢。時を超えて巡り会えたこの感慨深い再会になんだか涙まで出そうに感動してしまう自分に少し戸惑いも感じてしまう。
でもそれ以上の喜びに私は体が震えてしまうほどドキドキしていました。
多分ゆりちゃんも今の私と同じ気分でしょう。だってキュッと握っているゆりちゃんの手から期待の鼓動がこんなに鮮明に聞こえているんですもの…
ここからまた始まるんだ…私達の昔の続きが…
でもなんか妙に先輩達のものより新品っぽい気がしますね。布とかすごく良い品質ですし。
確か先輩達の衣装は以前の衣装をアレンジしたものって言われましたけど…
「えへへー実はみもりちゃんとゆりちゃんの衣装だけ新しいもので用意したんです。残っていた部費を全部使うことになりましたがこんなに喜んでもらってマミーは本当に嬉しいです~」
っと喜んでいる私達に服の本当のことを教えてくれる先輩!
ってえええ!?いいんですか!?最後の部費って、そんな大事な金を私達のために使っても…!
「でもせっかく可愛い後輩ちゃん達が入ってくれたんですから何かプレゼントしたくて。結局私は去年何もやってあげられませんでしたから…」
「去年…?」
っと聞く私の話に慌てて口を塞いでしまう先輩。何かの失言でもしてしまったって顔で
「なんでも…!何でもありません、みもりちゃん…!あはは…!」
精一杯今のことをごまかそうとする先輩でしたが私はあの時、先輩の顔にかかった暗い影に心をざわめかせてしまいました。
「それじゃ試着室へ行ってみましょうか。」
「こ…ここで着替えるんですか!?」
「え?何か問題でも?」
何当たり前なことを言っているのかなって顔で私のことを見つめている先輩…!でも今ここ人が結構いますから…!
手芸部って弱小部って言われたのにうちの同好会とは比べにもならないほど人がいるじゃん!
それに…!
「試着室はこちらです、虹森さん。」
同じクラスの前原さんまでいるし…!
「本当にアイドルにチャレンジするんですね、虹森さん。応援させていただきますね。」
「あ、うん…!ありがとう…!」
親切に私を試着室へ案内してくれる前原さん…!でも同好会ではなく他の人の前で着替えるのはなんか抵抗があるっていうか…!しかも知り合いの前じゃ…!
「むむむ…みもりちゃんが私ではない他の女と…」
って何敵意モードなの!?ゆりちゃん!?
「どうぞこちらへ、緑山さん。」
って前原さん、自覚なさすぎ!!
「あ、そういえばカップルというのなら試着室に一緒に入るのが定番っというルールがありますがいかがですか。防音仕様で音が全然漏れませんからじっくり楽しめます。」
「あら、素敵♥」
って何いらない情報を教えてくれるの!?前原さん!?っていうかゆりちゃん、ちょろすぎ!!
「音が全然漏れないっと言ってましたね、みもりちゃん♥私、こういうプレイずっと夢だったんです♥」
嫌な夢だな、それ!!
「あははっ!まあ、いいじゃん!せっかくだしパーッとやっちゃおうよ!」
何を!?っていうか上級生なら止めてくださいよ、先輩!
「さあ、行きましょう、みもりちゃん♥着替えるの手伝ってあげますから♥」
「ええー…」
ゆりちゃん、もうやる気まんまんじゃん!一緒に着替えなんて子供の時からいくらでもやったのに何で今更…
「でも試着室の中でやったことは一度もありませんでしたから♥」
何を!?
***
ー結局一緒に入りました。
「みもりちゃん、また胸大きくなったんじゃないですか。もうこんなにぷるんとしちゃって♥」
「ええ…そ…そうかな…ってちょ…!?」
「うふふっ♥お尻もこんなにずっしりになっちゃって♥いけない子ですね♥」
「ちょ…!ちょっと、ゆりちゃん…!そんなところ触っちゃダメ…!」
「みもりちゃんが悪いですからね?♥こんなけしからんボディーでこのゆりを誘惑しようとするだなんて♥」
「何でだよ!?」
「あら♥この衣装、腋の方がまる見えるんですね♥あのですね、みもりちゃん♥ちょっとだけでもいいですから私に見せてくれませんか♥みもりちゃんのいやらしい腋まん○♥」
「言い方!!!」
それからしばらく私は一緒に入った密室の試着室から幼馴染の女の子にさんさんいじめられなければなりませんでした。
「できましたかー?みもりちゃん。」
外から聞こえる先輩の声。でも私の体はなぜかゆりちゃんに掴まれていて身動きも取れなくなっている状態でした。
「あ…!せ…先輩…!ちょ…ちょっと待ってください…ま…まだ…」
なんとか顔だけをカーテンの外に出して少し待っていただきたいという意志を伝える私。後ろから私の体をぎっしり捕まっているゆりちゃんは先から
「いいです…♥いいですね、みもりちゃんとの密室プレイ…♥これ、本当にくせになっちゃうかも…♥」
って意味分からないことをぶつぶつしていてもう何が何なのか…!
「みもりちゃん…♥パンツ、脱がせますね…?♥」
「ちょ…!えええ…!?」
って中で何しているの!?離して…!脱がせないで…!
「もう♥暴れちゃダメじゃないですか♥悪い子はこうですよ?♥」
「なにっ…!ってえええええ!?」
なにこれなにこれ!?ゆりちゃん、今何しているの!?下から何かムニッてムズムズして…!
「大丈夫ですか?みもりちゃん…なんか顔、赤いですよ?それになんか揺れているし。」
「あ…!だ…大丈夫ですから…!あっ…ちょ…ちょっと、ゆりちゃん…!まさか今舐めてるの…!?」
「本当に大丈夫ですか…?良かったら私が手伝って…」
心配そうに私の様子を窺う先輩。何か問題でもあるのかなってカーテンを開いて試着室に入ろうとする先輩でしたが
「だ…大丈夫です…!ほ…本当に大丈夫ですから…!」
もし今中に入ったら先輩に全部見られてしまう…!そうなったら私は…!
「ごめんなさい、みもりちゃん♥良かったらもう少し足開けてもらえますか♥」
注文までしちゃうの!?っていうかもう止め…!
「みもりちゃんは毛も薄くて本当に柔らかいですね♥色だってこんなにきれいで♥」
「だから…先から何を…!」
引き止める私の声に微塵も反応せずどこかに夢中になっているゆりちゃん。離れるために何度も藻掻いてみましたがご存知のようにゆりちゃんはとんでもない力持ちですから…!私のくだらない悪あがきなんてこれっぽっちも効きません…!
効かないところか…
「足掻いちゃダメですってば…♥」
なんか先からどんどんエスカレーターされて…!
「も…もうダメ…かも…!」
結局それから私は一瞬目の前が真っ白くてキラキラになってあの時の記憶を全部失ってしまいました。下からなんだかムラっとしてきてそれ以上我慢できなくなってしまいましたから。
下から感じられる妙な温かくて柔らかい触り心地。そして高まる変な感覚。私が覚えているのはそこまででした。
一体あの時のゆりちゃんが私の後ろから何をやっていたのかは今も分かりません。でも気がついた時は私はなぜかヘトヘトになっていて、ゆりちゃんは少し濡れた顔で心ゆくまで堪能したそうな満足感に満ちた表情をしていたそうでした。
***
「まあ!本当にお似合いですよ、みもりちゃんも、ゆりちゃんも!」
「うん!めっちゃ可愛いよ!」
「あ…ありがとうございます…」
ありがたい言葉で着替えを済ませた私達のことを褒めてくれる先輩達。すごく嬉しくて幸せな気分ですが何で私はこんなに疲れているんでしょうか…
「でも…」
鏡の向こうから今の自分を見つめていてるノースリーブのワンピースの黒髪の女の子。新緑の瞳と幼馴染の女の子に弄ってもらった三編みの髪型がとても似合うその子はかつて自分には全く知れない事情で一度大好きなアイドルを止めてしまいました。
その時どれだけ悲しくて苦しかったのか今もはっきりと覚えているようなその目はまた巡り合った自分の夢を見てこんなに胸を膨らましていました。
実に愛しくていじらしい夢。その一歩を踏み出せたということだけで少女は今でも泣き出そうな顔で鏡の向こうから私を見ていました。
二度と会えないと思ってた私…随分遠回りしたけどまた会えたんだ…
「本当にお似合いです、みもりちゃん。」
そして試着室から現れた懐かしい格好の大切な幼馴染の女の子。
色違いの衣装。でもあの時の輝きはまだ生きている彼女はあの時のように今の私を見て笑ってくれました。
ほこりっぽい記憶のアルバムから取り出した褪せた思い出の写真。その写真から飛び出たような和やかな笑顔でそう言ってくれるゆりちゃんを見て私はなんだか感慨深い感動まで感じてしまったのです。
「ど…どうでしょうか。変じゃないですか?」
少し自身がないように何度も自分のことを確かめて欲しいっと言っているゆりちゃん。でもそんな心配しなくてもいいのに…
ゆりちゃん、背も高くてすらっとしてモデルさんみたいだし。それにアイドルみたいにめっちゃ可愛くてしっとりした上品さもちゃんと備えていますから。
栗色の長い髪の毛と緑色の衣装がうまく調和してゆりちゃんの爽やかで清らかなイメージを引き立てて胸が晴れ渡るような爽快感を感じさせ、まるで山の中に入っている気分。
元々とんでもない美人さんで名門「緑山」家の令嬢さんですからこれくらいは普通かも知れませんが。
「ううん。すごく可愛いよ、ゆりちゃん。」
でもゆりちゃんにはもっと自分に自身を持って欲しいです。いつも私のことばかりじゃなくてもっと自分のことをちゃんと見て欲しいです。
そうじゃないともったいないですから。こんな可愛いゆりちゃんのことが。
「めっちゃ可愛いよ!ユリユリ!」
「そうですよ、ゆりちゃん!」
「あ…ありがとうございます、みもりちゃん。皆さん。」
恥ずかしそうにえへへ…って笑ってしまうゆりちゃん。照れるところも世界で一番可愛いです。
「気に入ってくれて本当に良かったです。」
喜んでくれる先輩達。その中で一番嬉しそうな顔をしているのは今日のことを用意してくれたみらい先輩の本人でした。
きっと大変な状況なのに入部したばかりの私達のためにこんなイベントまで用意してくれた先輩。先輩のおかげで素敵な思い出がもう一つ増えましたね。この恩をどうお返しすればいいのか…
「そんなことないです。私の方こそこんなに喜んでくれてもっとあげられなくてごめんなさい。」
「そ…そんな!」
そ…そんな風に思ってたんですか!?重いですから、そういうの!
「でもまさかここまで似合っちゃうとは。そうですよね?すみれちゃん。」
「うん。」
そして衣装のことで喜んでいる私達を見て先輩ほどの満足感を表すもう一人。
彼女こそ今回のこの素敵な衣装を作ってもらった手芸部の部長「灰島菫」さんでした。




