第32話
年末は本当に忙しいですね。遅れて誠に申し訳ございません。
いつもありがとうございます!
「皆さん、お久しぶりです。」
「御機嫌よう~」
アンドロイドアイドルユニット「Signal」の巫女「ルビー」様とシスター「サファイア」様…
布教の目的で発足した「Signal」は著しく宗教性意味を大きく含んでいるアイドルユニットですがそれとは関係なく今も世界の人々から多く愛されているグループなんです。入学式で拝んだことはありましたがこんなに近くで見るのは初めてかも…
「神樹様」に仕える「神社」と「教会」の偉い方々なのにこの会議にもいらっしゃるんだ…
「あ、私達はあっちのようですね。」
その後を次ぐのは「Scum」のガールズバンド「Dirty」のボーカルであり副部長を務めている「人竜」、2年生の「結日優気」さんと「Scum」の一押しアイドル「夢魔」、1年生の「黒木クリス」さん。
特に黒木さんはあの「魔界王家」の王女で1年生の中でもすごく有名な人でその隣の不良っぽい「Scum」の副部長、結日さんの「Dirty」もすごく売れているバンドで…
ってあれ?そういえば「結日」って名字、どこかで聞いたような気がするんだけど…
「ぐへへ…♥可愛い女の子がこんなにいっぱい…♥もうたまんないよ…♥」
そして先からすごい顔で周りの女の子達を狙っている「百花繚乱」の団長さん!先から何しているんだ、あの人!?
って隣の人は誰!?モデルさん!?「百花繚乱」にはあんなきれいな人もいるの…!?
「あちらの方は「百花繚乱」の第3席「速水愛」さんですね。副団長でもない3席ですがあの人、青葉さんと同じくこの派閥争いの中心人物です。」
「そ…そうなんだ…」
やっぱり詳しいんだ、ゆりちゃん…
「今の学校は綱渡りをやっているような危うい状態ですからね。これくらいは当然です。」
「そ…そう?でも私、やっぱりちょっと嫌かな、こういうの…」
ゆりちゃんは仕方ないことだと言いましたが私はこういう情報、あまり嬉しくないと思います…だってここの皆はこの学校に自分の夢のために来たからもっと自分の夢のために、自分の好きなことに頑張って欲しいです。
私はちょっとした未練とかで来ちゃったわけですがそれでもこういう戦いのための情報とかは皆の夢のためにはいらないと思います。ここは皆が皆のために、そして自分のために夢に向かって頑張る場所だから…もっといい方向性を持つ方が…
「あれ?モリモリとユリユリじゃん。」
っと落ち込んでいた私のところに来たのは満面の笑顔を浮かべていつもの明るくさを周りにたっぷり振り撒いていたチア部の部長のかな先輩でした。
練習が終わってからすぐこっちへ直行してたのか、チアの格好のままで会場に現れたかな先輩。こんなにきれいな人がたくさんいるのにその中でもダントツで目立つとてつもない美少女の先輩の登場に皆の視線は自然にその先輩の隣りにいる私達の方に注ぎ込みましたが本人は全く気にしていないように平然、そのものでした。
「もしかしてミラミラの代わり?ごめんねーなんか電話にも出てなくてどこにいるのか全然分からないよー迷惑かけちゃったかな。」
「いえいえ、先輩のせいじゃないですから。」
さすがに今後の活動に支障ができちゃうって聞かれたらもう来ることしかありませんし…
「…」
ってな…なんか向こうの赤城さんからすごい顔で睨みつけているんですけど!?え!?何で!?
「先輩のチア服、私は初めてですね。すごくお似合いです。」
「そう?ありがとうー良かったら後でユリユリも着てみる?」
「本当ですか?はい、ぜひ。」
先輩、赤城さんのこと、全然気にしていないのかな…あんなに体に穴でも開けちゃう勢いで睨んでいるのに…それともわざと知らないふりをしているのかな…
「良かったんですね、みもりちゃん。」
「うん?何が?」
ゆりちゃん、すごく嬉しそう。チア服とかそういうの憧れたりしてたのかな。
「みもりちゃん、「頑張れ♥頑張れ♥」って言ってくれるの好きですから♥」
それ、絶対私の好きな「頑張れ」じゃないよね!?
「でも私、本当に驚いちゃいました…この学校、こんなにいっぱいすごい人達がいてたんですね…」
特に自分が特別とは思いませんがさすがにこんなに囲まれると自分のことを果てしなく小さく感じてしまうんですね…
どこを見ても皆アイドルみたいにキラキラでおしゃれで…まるで私だけが世界から隔離されたような気分…
最近ちょっとマシになったかと思ってたのにすぐ落ち込んじゃって…やっぱり私はまだダメなまま…
「頑張れ♥」
「えええええ!?」
いきなり耳元にすごい声で「頑張れ」って囁くゆりちゃん!びっくりした!
「みもりちゃん、また「皆私なんかよりすごいんだな」とか思っていましたよね?見れば分かるんですから、私は。」
まるで会長さんみたいに心でも覗いたような言い草。でも私はゆりちゃんに何も言い返せませんでした。
「そんなことありませんから。みもりちゃんはここに誰より一番可愛い。それは私が保証します。だからもう少し胸を張って堂々といてください。」
「ゆりちゃん…」
多分ゆりちゃんは知っていたはずです。私がこういう場所に来てしまったらきっと周りに押しつぶされて勝手に凹んでしまうってことを。しかしその同時に強く思っていたんです。
自分の「虹森美森」って子は世界誰にも負けないくらい可愛いって。私はこんな取り柄なんて全くない私のことをそう信じてくれているゆりちゃんのその言葉が一番嬉しかったです。
やっぱり優しいんだな、ゆりちゃんは…こんな私なのに…
「うふふっ♥やはりみもりちゃんは私がいなければ何もできないんですね♥バカ♥ザコ♥このヤクタタズ♥」
っていきなり何がすごいことを言っているんですけど!?なんか私、罵られている!?
「ち…違いますよ、みもりちゃん…!別に罵るつもりでは…!ただこうすれば相手がすごく喜んでくれるって本で読んでたので…!」
誰が喜ぶか、そんなもん!?っていうかさっさと捨てて、そんな本!!
「あははっ!本当二人は仲良しだな!」
「わ…笑わないでくださいよ、先輩…!」
いつも部室でもやっている私達のコントを見て豪快に笑っているかな先輩。その笑顔は不安な気持ちなんて一気に吹っ飛んでしまうほど元気で快活なものでしたが
「モリモリとユリユリはいつもそうやって仲良くしててね?」
っと私の頭を撫でてくれるその手はなんだかすごく寂しそうでした…
「先輩…?」
「あ、会議始まるみたい。」
ちらっと見えてしまう寂しそうな表情。そんな先輩から何か変な気配でも感じ取ったような私は先輩に何か言いたいと思うようになりましたが
「皆揃ったみたいだね!☆」
いつの間にか会議所に現れてその始まりを告げるその声につい口を閉じてしまったのです。
「今日の進行役を務めさせてもらったルルちゃんです☆皆、忙しいのに今日こうやって集まってくれて本当にありがとう☆」
「ルルさん…」
今日の会議の進行役は「Fantasia」のメインダンサーでありながら同時に生徒会の書記を務めている「ファンタジースター」「ルル·ザ·スターライト」さんだったみたいです。
よくこんなまずい雰囲気であんな風に振る舞えるですね…だって…
「すごい雰囲気だね…」
皆きれいに分かれてお互いのことを睨み合っているんですもの…
会場に満ちた凄まじい殺気…仲が悪いって話は本当だったんだ…
「私、こういうの初めて見ます…」
仲が悪いところかこれはまさしく戦争…先輩から話は聞いてはいましたがまさかこれほどお互いのことを憎んでいるとは…
今ここで殴り合ってもおかしくないほど険悪な空気。私は今日、この学校で起きていることをやっと自分の目で覗くことができました。
「今年の1年生達は去年の影響を受けてないから私達よりマシかな。仲が悪いのは去年の1年生、つまり2年生からだから。」
「確かに…」
言われてみれば皆私みたいな1年生じゃなく2年生以上の上級生…1年生はせいぜいゆりちゃんを含めた何人かの生徒会の人達と私、「Scum」の黒木さんだけのようです。
うう…周りは全部上級生…それにこんなに怖い雰囲気だなんて…私、最後まで耐えられるのかな…って何で急にスカートを捲っているの?ゆりちゃん…
「え?そりゃみもりちゃんが怖がっていますから私の中に隠してあげようかと思って…」
誰が怖いからって幼馴染のスカートの中に入るのよ!!
「ちょっとうるさいぞ、みもりん!☆」
え!?私、なんか呼ばれた!?私のせい!?
「ダメじゃん、ゆりりん☆みもりんのところばかりいちゃったら☆こっちおいで☆」
「わ…分かりました…」
前に来ることを命じるルルさんの話にやむを得ず私から離れるゆりちゃん。すごくがっかりしているよ、ゆりちゃん…
「じゃ…じゃあ、みもりちゃん…後ほど…」
「あ、うん…何ていうか…元気出して、ゆりちゃん…」
後でちゃんと慰めてあげなきゃ…ってあれ…?なんかあそこの黒木さんってこっちのことを見ているのかな…
「じゃあ、早速今回の議題なんだけど…」
「その前に少しいいですか。」
やっと私の傍からゆりちゃんが離れたことを確認した後、早速今日の本題に入ろうとするルルさんの話を防いだのは
「昨日のことで少しお聞きしたいことがありますが。」
魔界側の真ん中から手を上げて昨日のある件について説明を求める「合唱部」部長、「伝説の歌姫」「青葉海」さんでした。
昨日の件…もしかして私と「大家」のことなのかなっとそっと心配になってきた私の不安な予感はその直後ピッタリと当たってしまいました。
「昨日の「Fantasia」のライブの後、本校の生徒の一人が「大家」の人間と接続してしまったことが発生したと聞きました。幸い近くの副会長から助けてくださったようですがそれは本当ですか。」
しゃきっとした目。ためらいもない堂々とした口調。いつも舞台の上からそのカリスマをまとって演じて歌っていたあの「伝説の歌姫」「天才歌劇少女」の青葉さんは昨日見えないところから起きてしまった不穏な事件について真実を求めていました。
降り注ぐ視線にも動揺せず堂々と凛々しく立っている青葉さん。私はそんな彼女から思いがけない敬意の気持ちまで抱いてしまいました。
っていうか私の話、もうそんなに広まったの!?
「うん、そうだよ☆別に隠す気はなかったけどうちの学校の一人があそこの関係者でね☆もちろんその本人に何の問題もないのは確認済みだから安心して☆」
確認済み…もしかして先の世界政府から来た人達はそれを確かめに来たってことかな…あえて誰なのか明かさないのはとても助かりますがやっぱりうしろめたい気持ちはありますね…
「別にモリモリのせいじゃないから。」
っとそっと隣から私の手を握ってくれるかな先輩。ただ手を取っているだけなのにすごい安心感…
「生徒の安全に責任を果たすべきの「百花繚乱」や「Scum」が自分達の役目をやり遂げられないなんて。それはまさしく言語道断。それはこちらの安全が掛かっている問題です。これは「百花繚乱」と「Scum」の資質を疑わせる一大事です。」
す…すごいですね、青葉さん…こんなに人がたくさんいるのに全然怖気づいたりしない…青葉さんより上級生の3年生だっていくらでもいるのにあんなに堂々と…それに「Scum」は今「合唱部」に従っているのにそれを肩を持つこともなく公平に扱って…
なんだかすごく憧れちゃいそう…って
「むむむ…」
な…なんかゆりちゃん、すごい目でこっち見ている…何か嫌なことでもあるかな…
「確か昨日のライブには「百花繚乱」からは団長のゆうな団長、「Scum」からは副部長のゆうきさんが配置されましたよね?まずはそちらの方を優先したいと思いますが。」
「そんなのあんたが気にすることではないからいい加減引っ込んでいるのはどうかしら?」
その時、青葉さんの話に割り込んで話の腰を折ってしまう女性の声。尖った口調はまるで私達のことは私達で処理するからこれ以上私達に関わるなって言っているようで私の不安な気持ちは先とは比べにならないほど増幅されてしまいました。
嵐のような空気。今でも爆発されそうな今のこの空気に更に油を注いだのは
「こっちは毎日命を張ってあんた達、魔界の子達も守っているのよ?守られるだけのあんた達にそんなこと言われる筋合いはないと思うんだけど?」
「百花繚乱」第3席であり現「百花繚乱」最高権威者、「霊」の「速水愛」さんのその一言でした。




