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皆で仲良しアイドル!異種族アイドル同好会!  作者: フクキタル
第2章「始まり」
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第27話

段落を分ける練習をしてみました。 もっと楽に見られば嬉しいです。

いつもありがとうございます!

「みもりちゃんのお肌、本当のきれいですね。ツルツルでツヤツヤでまるでお米みたい…」

「その例えはちょっと…嬉しいような嬉しくないような…でもありがとうございます…」

「本当だ。めっちゃ柔らかくてふにゃふにゃする。毛も細くて薄くてタンポポの綿毛みたい。うわぁ!?なにこれ!?真っピンクじゃん!」

「本当きれいですねー」

「ちょ…そっちばかり見ないでください、先輩…!先輩達だって十分きれいじゃないですか…!」

「そうでしょうか。でも私はみもりちゃんと違ってもじゃもじゃですから…」

「わ…わざわざ見せなくてもいいですから…!っていうか何で見せてやがるんだ、この人!?」

「あははっ!ツッコミが口で全部出ているよ、モリモリ!それにしてもミラミラって本当にでっかいんだよな。おっきいのは分かっていたけど生で見ると迫力が違うや。」

「た…確かにそうですね…私、今までこんな大きさは初めて見ます…先輩って本当に人間ですか…?」

「し…失礼です!私だってちゃんとした人ですから!かなちゃんやみもりちゃんだって十分大きいし!」

「何カップくらい?私はFくらいかな。」

「でっか!わ…私はゆりちゃんよりちょっと小さいですから多分C辺り…」

「えーモリモリ、絶対Dは超えてるよ。ミラミラはどう?」

「わ…私ですか?えっと…マミーですからMではないでしょうか…マミーだけに…なんちゃって…」

「先輩…」


***


あの夜はあまり寝られませんでした。悪い夢でも見てしまったように胸がそわそわで騒がしくて…

蒼白の月が黒幕の夜の空に浮かんでまだ眠ってない人々を照らし、薄暗い静寂はもうこんなに深く街に敷かられている。この静かさに乗じてたまに聞こえる車の音にふと過去から這い上がった仮面の悪夢を思い出して震えてしまう。


「ゆりちゃん…」


怖い。そう思ってしまった私は自分が一番で安心できるその名前をお母さんを探す子供みたいに何度も繰り返しました。


またあの人が私の前に現れてしまったらどうしようっと。私のことを諦めてくれたと思ったのに…もう私なんかに関わらないって言ってたのにどうして…

もう嫌です…私のことをほっといてください…私はただこうやっと皆と楽しい毎日を送りたいだけですから…これ以上私の人生に現れないでください、御祖母様…


「大丈夫ですよ、みもりちゃん。」


その時、寝ていたと思っていた先輩からの一言に私は今の自分が泣いていたことを気づいてしまったんです。

怖くて、苦しくていつの間にか泣いていた私を先輩はいつかのように温かく抱いてくれました。


「学校から派遣された「百花繚乱」と「Scum」の方も外にいますから。何も怖くないです。」

「それはそうですか…」


それでもやっぱり私は落ち着きませんでした。相手はあの薬師寺さんですから。あの人は私と同じ人間でも同じじゃないから…あの人が怖いのは感情がないからです…

もし私のせいで先輩達にまで危なくなってしまったら私は…


「みもりちゃん。」

「先輩…?」


ふと頭を包んでくるのはいつか感じたことがある先輩の温かい体温でした。

人並み以上たくさん食べてたくさん動いて体温が少し高い先輩。でもいつも私達を温めてくれるそのポカポカな肌の温度を私はとても大好きです。

ふくよかしてふにふにしていい匂いもする先輩の体温はこうやってギュッとしているだけで心から癒やされる魔法のおまじないです。この温もりに私はどれだけ励まされてきたのか…


「大丈夫。大丈夫ですから。」


大丈夫。それは先輩がいつも私達に言ってくれる魔法の言葉でした。

ただの口癖と思った時もありましたが先輩はその言葉を口にする時誰より真剣で頼もしい顔をしていて私はその言葉を聞くたびにいつの間にかその魔法にかけらちゃいました。

先輩が大丈夫って言うのならきっと大丈夫。いつの間にか私の意識にはそのような根拠のない確信ができていて自分自身さえ戸惑ってしまいますが


「全部うまくいくはずですから。だからみもりちゃんはただ楽しく笑ってください。」


いつもそう言って私の肩を叩いてくれる先輩の魔法にまんまと騙されちゃいます。


「困った先輩ですよ、本当に…」


皆様は「言霊」という言葉のことをご存知ですか。「言葉には不思議な力が宿っている」というその言葉は私達に色んなことを教えてくれます。

いい話をすればいい方向へ、悪い話をすればよくない方向へ。例え楽観的とは言えない状況に嵌められても「大丈夫、きっとうまくいく」と自分を騙して奮い立たせたら何事もいい方向に向かって導き出せる。


私は先輩こそその「言霊」のことを強く信じて実行する人だと思います。ただ楽観的な人ではなくその力を信じていい結果に向かって進める人。例えそれは自分が望んだ結果に繋がらなくても多分先輩は途中で投げ出したり諦めたりはしないでしょう。

私はそういう先輩が大好きでした。


「ありがとうございます、先輩…」


また騙されちゃいましたね…先輩のでたらめのおまじない…でも私、すごく落ち着きちゃいました…


「今回新しく就任した理事長さんは生徒の身の安全を最優先する方だと聞きましたからきっとだいじょうぶですよ。最近ニュースとかで色んな事件が起きていますからちょっと不安な気持ちはありますがみもりちゃんには頼れる先輩達も、相思相愛の大好きなお嫁さん…じゃなく幼馴染もいますから。」

「先輩、今わざと間違えたんでしょう…」

「そ…そんなことないです…!」


今の言葉を誤魔化すためにより力を入れて私を埋め込む先輩。く…苦しい…!


「と…とにかくみもりちゃんにそんなに心配する必要はないということです…!赤城さんからゆりちゃんにも連絡を入れておいたようですから明日でもゆりちゃんが帰ってくると思います…!」

「赤城さん…」


ゆりちゃんに連絡…ですか。きっと大事になっているでしょうね…ゆりちゃん、「大家」のこと、特に私の付添人だった薬師寺さんと御祖母様のことが大嫌いですから…心配してくれるのは嬉しいですが無茶だけは止めて欲しいです。ただでさえ私をあの家から守るために散々無理してきましたから…


「やっぱりいい人ですね…赤城さん。」


ゆりちゃんのことと一緒に浮かぶのはやっぱり危険を顧みず薬師寺さんから私のことを助けてくれた赤城さんでした。


同好会のことが嫌って必ず潰してあげるっと言ったと言われた赤城さんは実際初めて合った時あまり私に好意的ではありませんでした。

でも私のことを命がけで助けてくれた赤城さんは本当に優しくてかっこいい人でした。

気品溢れて優雅で美しい人。私はそんな赤城さんがあんな辛そうな顔で歌うのが本当に苦しかったです。

何より窓の曇りに「カナ」と書いていたその横顔があまりにも悲しそうに見えてたので私はその顔がどうしても頭から離れなかったんです。


「私、赤城さんのことがちょっと気になりました。あんなにきれいでかっこいい人が同好会のことを潰そうとしているなんて全然考えられません。きっと何か理由があると思います。」


だからそんな赤城さんに些細なお礼がしたいです。多分私なんかでは全部解決できないかも知れませんがお話を聞くことくらいならできると思います。

そのおかげでもし赤城さんが同好会のことを、ひいてはひいて延いてはかな先輩のことをもう一度考え直して欲しいです。


「あの様子だと絶対かな先輩の間で何か絶対あったことに間違いないです。だって…」


赤城さん、かな先輩のことを聞いた時、なんだかほっとしたような、悲しいような顔をしてたんですもの…


「かな先輩、本当にいい人なんですから。絶対赤城さんを傷つけたりすることはしないと私は信じています。きっと何かの間違いがあったのではないかと…私、やっぱりかな先輩にも、赤城さんにもお力になりたいです。」


きっとかな先輩も、赤城さんもお互いのことを見てすごく苦しんいるはずでしょう。お互いへの思いが強いほどその苦しみは大きいはずです。

私はその苦しくて辛い気持ちを少しでも減らしてあげたいです。大したことはできないかも知れませんがお話を聞いて少しずつその感情のしこりを解いていけばきっかけくらいは作れるのではないかと私はそう思います。


「だって私とゆりちゃんもいつもそうしますから。」


強くて和やかで私なんかよりずっと大人っぽいゆりちゃん。でもそんなゆりちゃんとも喧嘩くらいはいくらでもありました。


「ああ見えても結構意地っ張りでワガママなんですよ、ゆりちゃん。」


負け嫌いで勝負に拘って私のことがなったら目が見えなくなってどこまでも突っ走っちゃうゆりちゃんは思わず私を困らせちゃう時も結構ありました。暴走しちゃうと周りのことが全く見えなくなるから時々目的まで失ってしまうゆりちゃんとそれに困っていた私はたくさん喧嘩もしました。


「みもりちゃんはバカです!可愛いから何もかも許されるわけではありませんよ!?」

「何言ってんの!?」


でもいつもゆりちゃんの方が先に泣いちゃいますから先に謝っちゃうのは私…そういうところはまだまだお子様ですね。


「種族とか住んでいる世界とか違うのは大した問題ではないと思います。実際ゆりちゃんは元々神界の種族ですし。」


些細なことでも喧嘩は起きますが同じく仲直りするのもそんな大げさなものではないと私は今までの経験でよく知っています。そういうことで結ばれる思いは止められませんから。

だから私はどうかかな先輩と赤城さんにもそれを知ってもらいたいです。きっとお二人さんだってお互いにとって大切な人だと思いますから。


「っと偉そうに言っちゃいましたが本当はただ赤城さんと仲良くなりたいって思っているかも知れませんね…えへへ…」

「みもりちゃん…」


隣で寝ているかな先輩には聞こえないくらい小さな声で囁いている私の話から何か私が知らない何かを見つけたようなびっくりの先輩。

でも先輩は何も言わずただ


「本当にいい子なんですね。みもりちゃんって。」


そっと私の頭をナデナデしてくれるだけでした。

わ…私、何か変なこと言っちゃったんですか…?


「いいえ。偉い、すごく偉いですよ、みもりちゃん。私なんかとは比べられないほど。」

「先輩…?」

「私も少しはみもりちゃんみたいなことを思ってたら良かったものを…」


先輩はそう言って私をそっと自分の中に入れ込んでしばらくずっとそのまま頭をなでおろしてくれました。でも私は先輩のその行動がただ今の自分の顔を私に見せたくないのではないかとふとそう思ってしまったのです。

だって先輩の中からこんなに後悔しているような辛そうな鼓動が聞こえているんですもの…


「…なんか眠れなくなったんですね。」

「そ…そうですね…」


先輩、いい匂い…微かなシャンプーの匂いと甘みの肌の匂いが混ざってすごく落ち着く…


「ミルクでも飲みましょうか。」

「あ、はい。」

「待ってくださいね。今マミーが栄養たっぷりの特製ミルクを出してあげますから。」


って何で服捲ってMサイズの乳房を出しやがるんですか!?意味分かんない!!


「って今なんか変な音がしませんでしたか…?」

「そうですか?私には何も…」


別に先輩の特製ミルクを遠慮したくて適当に思い出したことではありませんが今確かに窓の方から変な音がしましたので私はそっとベッドから降りて窓の方に近づきました。


今の私は先の薬師寺さんのことで感覚が少し尖っているかも知れないかも…小さな声でもすぐ反応しちゃうくらい敏感に研ぎ澄ました感覚は確かに今窓の外から聞こえた妙な音を捕らえました。


「でもここ10階ですから…それにちゃんと警備もありますし…」

「それはそうですが…でも念のために一度確認しておかないと…」


だってあの薬師寺さんですから…私のことを殺したりする気はなさそうでしたが相手はあの「大家」です…もう使えないと判断したポンコツの私を口封じのために処分しちゃう可能性も…


っと思って窓のカーテンを開けたその瞬間…


「み…みもりちゃん…!!」


あそこにいたのは半分正気を失ったような顔で夜中に何度も私の名前を呼び続けて


「みもりちゃん…!みもりちゃああんっ…!!」


なぜかステルスヘリコプターの縄梯子に取り付いているゆりちゃんがいました。


***


「もう…いつもやりすぎんだから、ゆりちゃんって。」

「えへへ…もっと褒めてください…」


ええ!?今の、褒め言葉で聞こえたの!?


実家からヘリで直行で飛んできたゆりちゃんはその後ヘリのことを見つけた「百花繚乱」と「Scum」の先輩達に呼ばれてしばらく説教を受けました。


「あの先輩達、夜間訓練か何かと思ったらしい。まあ…そりゃそうか。こんな夜中にヘリなんてありえないもんだから…」

「す…すみません…でも私的には非常事態でしたから一番早いもので来る方法しかありませんでした。実際実家の方はもう大騒ぎになってましたし…」

「ええ!?そうなの!?じゃあ、うちの家も!?」

「はい…」


知られるの早っ!だからおばさんもヘリを出すの許してくれたんだ!


「お母様が近くの軍に連絡を通して一台お貸し頂きまして…」

「おばさん、やりすぎ!」


遺伝ってすごいかも…!


でも私には分かります。ここに来るヘリの中でゆりちゃんがどれだけ焦って心配していたのか。赤城さんから助けてくれたことを知っていてもいつまた薬師寺さんみたいな「大家」の人達が来るのか分からなっくてずっと心をひやひやしてたんでしょう。

私はゆりちゃんのその心に応えてあげなければなりませんでした。


「み…みもりちゃん!?」

「ありがとう、ゆりちゃん。」


いきなり抱きつく私の唐突な行動に相当びっくりしたようなゆりちゃん。私はこうお互いの体温を交わって私の無事をゆりちゃんに知ってもらいたかったです。


「心配掛けちゃってごめんね。でも私、本当になんともないから。」

「み…みもりちゃん…」


ほんのり甘しょっぱい汗の匂い。ここに車でどれだけ焦っていたのかを如実に教えてくれるようなその匂いはやっと帰るべきの場所に私を連れてきてくれたように大きな安心感を与えてくれました。


「ゆりちゃんの匂い、好き。」


いつ、いかなる場合でも最後まで私のことを信じて守ってくれる世界一の大切な幼馴染の匂い。私はその安堵の匂いに鼻を埋めてたっぷり酔いしれちゃいました。


「おかえり、ゆりちゃん。」


帰ってくれて嬉しい。こうやってまた抱き合えて嬉しい。私のこと、心配してくれて本当にありがとう、ゆりちゃん。

ちょっとだけでもいい。ちょっとだけこうさせて欲しい、ゆりちゃん。


「みもりちゃん…」


そんな私の甘えにやっと緩める表情のゆりちゃん。顔はよく見えないけどきっとそんな顔をしているってことを私にはよく分かりました。


「はい。ただいま。」


っと両腕で私を抱え込むゆりちゃん。触れ合った体とずっしりした抱き心地に先の怖いって気持ちは雪のように溶けてもうすっきりした気分…


先輩も眠ってしまった深い夜。私達はそうやってしばらくお互いを抱え込んでギュッとしました。

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