モテモテ43
飾霧と黒笠は、目隠しSMプレイ中徐々に打ち解け少しだけ仲良くなったみたいだ。今も二人で会話している。
「だいぶ、良くなってきたわね」
「飾霧先生。ありがとうこざいます」
いつの間にか先生になってやがる。
「いい子ね。もう今日は遅いからこの辺で帰るわよ」
「わかりました」
「……終わったのか」
これでやっと解放される。
「茂木先輩。本当にありがとうございました」
「いいよ。少しでも役に立てたなら」
黒笠の陽だまりのような笑顔で傷さえも癒えた気がした……いててて! そう。気がしただけだ。
「はい。少し変われた気がします」
「その意気ね」
飾霧の褒め方が雑。俺がお手本を見せてやる。
「ほんとに大分明るくなったし、何より可愛くなった」
「か、可愛いなんて、そんなことないです」
顔を紅潮させ、両手を前であわあわと振る仕草にキュンとした。
「セクハラね。通報するわよ」
「なんでだよ」
飾霧の蔑む視線と言葉がすぐに現実に戻してくれた。戻してくれとは頼んでないけどな。
「愚問ね。ここに犯罪者がいたからに決まっているわ」
「やってもない罪をなすりつけるな」
「そうなの? てっきりあのまま押し倒して欲望の赴くままに貪り尽くすのかと思ったのだけれど」
「そんなわけねぇだろ。--というか、黒笠さんも間に受けなくていいから」
飾霧の阿呆な発言により、身の危険を感じたのか黒笠が自分の体を両手で抱きしめる。それのせいで豊満な胸が押し潰され、ブラウスのボタンが三つも空いてるもんだから、谷間が強調され大変な事になっている。
黒のブラジャーが最高にエロい。誰かテッシュ持ってきてー!
「そ、そうですよね」
そうですよ。それより今の恰好やばいですよ? 流石にこれ以上見ると俺の息子がレッツパーリーしそうなので、全力で見る。
「黒笠雫。いつまでその恰好のままでいるつもりなのかしら? 変質者が見ているわよ」
「へっ? ーーきゃああ!」
飾霧の余計な忠告により自分の姿を一瞥した後、悲鳴を上げつつしゃがみ込んだ。顔はりんごのように真っ赤になり、相当恥ずかしいのがわかる。
だが、しゃがんだのが運の尽きだったな。黒のおパンティーはしっかりと目に焼き付けさせてもらった。ついにワンパンツを手に入れた。ここから怒涛の快進撃見せてやるぜ。
あたふたした手つきで服装を直した黒笠が俺に視線を向ける。
「……見ていたのですか?」
ワーオ。すごい冷たい瞳。こんな彼女は初めて見た。性格、少しは変わったようだね。悪い方向に。
「見てないよ。見えたんだよ」
「それって同じですよね?」
「通報するしかなさそうね」
黒笠の白い眼と飾霧の発言に慄く。
「わ、わかった。俺が悪かった」
「……仕方ないので、許します」
俺の心からの謝罪が効いたのか、すんなりと許してくれる黒笠は天使だ。
「甘いわね。でも今日はこの虫も頑張っていたから、大目にみてあげてもいいかもしれないわね」
虫はマジで余計だが、飾霧も少しだけ優しかった。
「ありがとうございます」
俺はお手本のような素晴らしいお辞儀をした後、ふと思い出したことを口にした。
「そういえば、もう帰るって言ってなかったか」
「そうね。誰かさんのせいで遅くなってしまったわ」
「そうですね」
二人は意気投合。俺は意気消沈。
「それでは、また明日」
「おい待て!」
「何かしら?」
「今また明日って聞こえたんだが」
「そう言ったもの」
「そっか……じゃねぇーよ。なんで明日も来るんだよ」
「明日からお休みだからよ。一日で性格を変えるなんて不可能だもの」
「それはそうかも知れないけど。なんで俺ん家?」
「そうね。強いて言うなら気分かしら」
「なんだよそれ」
「明日もお願いします」
「黒笠は大丈夫なのか?」
「はい」
「そっか」
「はい決まり。では、また明日」
「色々ありがとうございました。また明日お願いします」
三人で部屋を出る。玄関に着くと同時に「外も暗いし送るよ」っと言ったら、「車があるからいいわ」と言われた。
黒笠も一緒に乗って帰るみたいだから安心だろう。
にしても今日はかなりの重労働だった。昼に黒笠に声をかけて、放課後に来てくれた時は本当に嬉しかったな。
その後美容院で髪を切って、まさかあそこまで可愛くなるとは流石に驚いた。もう少しで惚れるところだったからな。
それで一番難関の性格。これに限ってはそんな簡単にはいかないと腹をくくっていたが、まさか目隠しSMプレイで変えるなんて、確かに効果覿面だったのは認めざるを得ない。悪い方に変わってないかは心配ではあるが。
今日の一番の収穫は俺がドⅯじゃないとわかったことだな。次はドSに挑戦するとしよう。
そう意気込んでいた俺は土日に調教され、新たな扉を開く寸前だったが我に帰ることに成功した。
後一日続いていたら、俺はもう戻ってこれなかったかもしれない。考えるだけで悍ましい。
ドSに挑戦とか言っていたけどもうSMには一切関わりたくないと思った。




